Solaris 8 のシステム管理 (追補)

Solaris 環境における USB について

次の節では、Solaris 環境における USB について知っておくべきことを説明します。

USB キーボードとマウス

Solaris 環境では複数の USB キーボードとマウスをサポートしていないため、USB キーボードとマウスは常に 1 つだけシステムに接続するようにしてください。次の項目の説明も参照してください。

USB ホストコントローラとルートハブ

USB ハブは次のことを行います。

USB ホストコントローラはルートハブという埋め込みハブを持っています。背面パネルに見えるポートはルートハブのポートです。USB ホストコントローラは次のことを行います。

USB ハブデバイス

USB ストレージデバイス

Solaris 8 10/00 リリースでは、USB の Zip、Jaz、Clik、SmartMedia、CompactFlash、および ORB のリムーバブル大容量ストレージデバイスをサポートします。Solaris 環境でサポートされるデバイスの完全なリストについては、scsa2usb(7D) のマニュアルページを参照してください。

これらのデバイスは、ボリューム管理を使用しても使用しなくても管理することができます。ボリューム管理を実行している状態でのデバイス管理についての情報は、vold(1M) のマニュアルページを参照してください。

vold を実行している状態で USB 大容量ストレージデバイスを管理する

Solaris 共通デスクトップ環境 (CDE) が実行されている場合は、USB リムーバブル大容量ストレージデバイスは、CDE ファイルマネージャのコンポーネントであるリムーバブルメディア・マネージャによって管理されます。CDE ファイルマネージャについての詳細は、dtfile(1) のマニュアルページを参照してください。


注 -

この節に記載されているマニュアルページを表示するには、MANPATH 変数に /usr/dt/man を含める必要があります。これらのコマンドを使用するには、パスに /usr/dt/bin を含め、さらに CDE を実行している必要があります。また、これらのコマンドをリモートで使用する場合は、DISPLAY 変数を設定する必要があります。


次の表に、リムーバブルメディア・マネージャが CDE 環境からストレージデバイスを管理する際に使用するコマンドを示します。

リムーバブルメディア・マネージャが使用するコマンド 

実行内容 

sdtmedia_format(1)

USB デバイスのフォーマットおよびラベル付けを行う 

sdtmedia_prop(1)

デバイスのプロパティを表示する  

sdtmedia_prot(1)

デバイスのアクセス権を変更する 

sdtmedia_slice(1)

デバイス上のスライスを作成または変更する 

USB デバイスのフォーマットが終了すると、通常は /rmdisk/label ディレクトリの下にマウントされます。リムーバブルストレージデバイスの構成についての詳細は、rmmount.conf(4) または vold.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

以下の手順は、ボリューム管理を実行している状態で USB 大容量ストレージデバイスを管理する方法を示しています。デバイスノードは /vol/dev ディレクトリの下に作成されます。詳細は、scsa2usb(7D) のマニュアルページを参照してください。以下の手順では、ホットプラグ可能な USB 大容量ストレージデバイスを追加および取り外す方法についても記載しています。デバイスのホットプラグとは、オペレーティングシステムをシャットダウンすることなくあるいはシステムの電源を切ることなく、デバイスを追加したり取り外したりすることを指します。

vold を実行している状態で USB 大容量ストレージデバイスをマウントまたはマウント解除するには

  1. すべてのリムーバブル大容量ストレージデバイス (USB 大容量ストレージデバイスを含む) について、デバイスの別名を表示します。


    $ eject -n
    .
    .
    .
    rmdisk0 -> /vol/dev/rdsk/c4t0d0/clik40    (Generic USB storage)
    cdrom0 -> /vol/dev/rdsk/c0t6d0/audio_cd   (Generic CD device)
    zip1 -> /vol/dev/rdsk/c2t0d0/fat32        (USB Zip device)
    zip0 -> /vol/dev/rdsk/c1t0d0/zip100       (USB Zip device)
    jaz0 -> /vol/dev/rdsk/c3t0d0/jaz1gb       (USB Jaz device)
  2. 上記のようにリストされたデバイス別名を使用して、USB 大容量ストレージデバイスをマウントします。


    $ volrmmount -i device-alias
    

    次の例では、USB Jaz ドライブを /rmdisk/jaz0 の下にマウントします。


    $ volrmmount -i jaz0 
    

  3. USB ストレージデバイスをマウント解除します。


    $ volrmmount -e device-alias
    

    次の例では、USB Zip ドライブを /rmdisk/zip0 からマウント解除します。


    $ volrmmount -e zip0
    
  4. USB デバイスを、汎用の USB ドライブから取り出します。


    $ eject device-alias
    

    次に例を示します。


    $ eject rmdisk0
    

    注 -

    eject コマンドは、デバイスがまだマウント解除されていない場合は、そのデバイスのマウント解除も行います。また、eject コマンドは、そのデバイスにアクセスしているアクティブなアプリケーションがある場合は、それらを終了させます。


vold の実行中にホットプラグ可能な USB 大容量ストレージデバイスを取り外すには

以下の手順では、vold の実行中にホットプラグ可能な USB デバイスを取り外す例として、Zip ドライブを使用しています。

  1. デバイスをマウント解除します。


    $ volrmmount -e zip0
    
  2. そのデバイスを使用しているアクティブなアプリケーションがある場合は、それらを終了させます。

  3. デバイスを取り出します。


    $ eject zip0
    
  4. スーパーユーザーになり、vold を停止します。


    # /etc/init.d/volmgt stop
    
  5. USB 大容量ストレージデバイスを取り外します。

  6. vold を開始します。


    # /etc/init.d/volmgt start
    

vold の実行中にホットプラグ可能な USB 大容量ストレージデバイスを追加するには

以下の手順は、vold の実行中にホットプラグ可能な USB デバイスを追加する方法を示します。

  1. vold を停止します。


    # /etc/init.d/volmgt stop
    
  2. USB 大容量ストレージデバイスを追加します。

  3. vold を開始します。


    # /etc/init.d/volmgt start
    
  4. デバイスが追加されたことを確認します。


    $ ls device-alias
    

vold を使用せずに USB 大容量ストレージデバイスを管理する

USB 大容量ストレージデバイスは、ボリュームマネージャ (vold) を使用せずに管理することもできます。ボリュームマネージャを使用しないようにする方法は、次の 2 とおりあります。

vold を使用せずに USB 大容量ストレージデバイスを管理するには

以下の手順は、vold(1M) を使用せずに USB 大容量ストレージデバイスを管理する方法を示しています。デバイスノードは、文字型デバイスについては /dev/rdsk ディレクトリ、ブロック型デバイスについては /dev/dsk ディレクトリの下に作成されます。詳細は、scsa2usb(7D) のマニュアルページを参照してください。

vold を使用せずに USB 大容量ストレージデバイスをマウントまたはマウント解除するには

  1. スーパーユーザーになります。

  2. USB 大容量ストレージデバイスをマウントします。


    # mount -F fs-type /dev/rdsk/cntndnsn /mount-point
    
  3. USB 大容量ストレージデバイスをマウント解除します。


    # umount /mount-point
    
  4. デバイスを取り出します。


    # eject /dev/[r]dsk/cntndnsn
    

vold を使用せずにホットプラグ可能な USB 大容量ストレージデバイスを取り外すには

以下の手順は、vold を使用せずにホットプラグ可能な USB デバイスを取り外す方法を示しています。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ホットプラグ可能な USB デバイスを取り外します。

    1. デバイスをマウント解除します。


      # umount /mount-point
      
    2. そのデバイスを使用しているアクティブなアプリケーションがある場合は、それらを停止します。

    3. デバイスを取り外します。

vold を使用せずにホットプラグ可能な USB 大容量ストレージデバイスを追加するには

以下の手順は、vold を使用せずにホットプラグ可能な USB デバイスを追加する方法を示しています。

  1. ホットプラグ可能な USB デバイスを USB ポートに追加します。

  2. USB デバイスが追加されたことを確認します。


    $ ls /dev/rdsk/cntndnsn
    

SPARC のみ: USB 電源管理

システムが電源管理を有効にしている場合、USB のフレームワークはすべてのデバイスを電源管理しようと最大限に努力します。USB デバイスの電源管理には、デバイスが接続されているポートのハブドライバによる中断も含まれます。リモートウェイクアップ (呼び起こし) をサポートするかしないかは、デバイスによって異なります。デバイスがリモートウェイクアップをサポートしている場合は、イベントの発生時 (たとえば、マウスが移動したときなど) に、接続されているハブをウェイクアップします。アプリケーションが入出力を送信した場合も、ホストシステムはデバイスをウェイクアップできます。

リモートウェイクアップ機能がサポートされている場合、すべての HID (キーボードやマウスなど)、ハブ、およびストレージデバイスは、デフォルトで電源管理されます。USB プリンタが電源管理されるのは、2 つの印刷ジョブ間だけです。

電源管理で電源消費を抑えるときは、まず、USB リーフデバイスの電源が切断され、しばらくしてから、親ハブの電源が切断されます。当該ハブのポートに接続されているすべてのデバイスの電源が切断されると、しばらくしてから、ハブの電源が切断されます。最も効率的な電源管理は、あまり多くのハブを多段接続しないことです。

USB デバイスのホットプラグ

USB デバイスは、プラグインするとすぐにシステムのデバイス階層に表示されます(prtconf(1M) コマンドで確認)。また、デバイスが使用中でない限り、USB デバイスを取り外すとシステムのデバイス階層から消えます。

使用中の USB デバイスを取り外した場合、ホットプラグの動作は少しだけ異なります。使用中の USB デバイスを取り外した場合、デバイスノードは残り、このデバイスを制御しているドライバはデバイス上のすべての動作を停止します。それ以降、このデバイスに発行される新しい入出力動作はエラーで戻されます。

このような場合、システムは元のデバイスを接続するようにユーザーにプロンプトを表示します。間違って使用中の USB デバイスを取り外してしまった場合は、次のようにして回復します。

  1. 元のデバイスを同じポートに接続します。

  2. そのデバイスを使用しているアプリケーションを停止します。

  3. デバイスを取り外します。

元のデバイスが再びプラグインされるまで、USB ポートは使用できません。デバイスが使用できない場合は、USB ポートは次にリブートするまで使用できません。


注 -

アクティブな、つまり開いているデバイスを削除すると、データの整合性が損なわれる可能性があります。デバイスを取り外す前には、必ず、デバイスを閉じるようにしてください。ただし、コンソールキーボードとマウスは例外で、アクティブなときでも移動することができます。


USB ケーブル

市販されている USB ケーブルエクステンダは絶対に使用しないでください。デバイスを接続するときは、必ず、ハブと充分な長さのあるケーブルを使用してください。USB デバイスを接続するときは、必ず、フルレイト (12M ビット/秒) の 20/28 AWG ケーブルを使用してください。