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Solaris 8 10/00 リリースで、次の新しい機能が更新されました。
Generic LAN ドライバ (GLD) により、Solaris ネットワークドライバに STREAMS および Data Link Provider Interface (DLPI) 機能の大部分が実装されます。
Solaris 8 10/00 より前のリリースでは、GLD モジュールを利用できるのは、Solaris Intel 版のネットワークドライバに限定されていました。Solaris 8 10/00 からは、Solaris SPARC 版のネットワークドライバでも GLD を利用できます。
詳細は、次のマニュアルページを参照してください。gld(7D)、 dlpi(7P)、 gld(9E)、 gld(9F)、 gld_mac_info(9S)、 gld_stats(9S)
GLD は、Solaris ローカルエリアネットワークデバイスドライバをサポートする、クローン化可能でロード可能なマルチスレッド化カーネルモジュールです。Solaris のローカルエリアネットワーク (LAN) デバイスドライバは、DLPI を使用してネットワークプロトコルスタックと通信する、STREAMS ベースのドライバです。これらのプロトコルスタックは、ネットワークドライバを使用して、ローカルエリアネットワーク上でパケットを送受信します。ネットワークデバイスドライバは、DDI/DKI 仕様、STREAMS 仕様、DLPI 仕様、およびデバイスそのもののプログラム式インタフェースの要件を満たすように実装する必要があります。
GLD には、Solaris LAN ドライバに必要な STREAMS および DLPI 機能の大部分が実装されています。いくつかの Solaris ネットワークドライバは GLD を使用して実装されています。
GLD を使用して実装された Solaris ネットワークドライバは、2 種類の部分で構成されます。STREAMS および DLPI インタフェースを扱う汎用コンポーネント、および特定のハードウェアデバイスを扱うデバイス固有のコンポーネントです。デバイス固有のモジュールは、GLD モジュール (/kernel/misc/gld に存在する) への依存を意味し、ドライバの attach(9E) 関数内から GLD に自身を登録します。正常に読み込まれると、ドライバは DLPI に準拠することになります。ドライバのデバイス固有の部分は、データを受信するとき、または GLD のサービスが必要になったときに、gld(9F) 関数を呼び出します。GLD は、デバイス固有のドライバが GLD に登録するときに提供したポインタを介して、デバイス固有のドライバの gld(9E) エントリポイントを呼び出します。gld_mac_info(9S) 構造体が GLD とデバイス固有のドライバ間のメインデータインタフェースです。
GLD 機能が現在サポートしているデバイスのタイプは、DL_ETHER、DL_TPR、および DL_FDDI です。GLD ドライバは、フルフォームの MAC レイヤーパケットを処理することが想定されており、論理リンク制御 (LLC) の処理は想定されていません。
状況によっては、GLD 機能を使用しないで 、DLPI に完全に準拠したドライバを実装する場合もあるでしょう。これには、ISO 8802 スタイル (IEEE 802) ではない LAN デバイスの場合、または GLD ではサポートされないデバイスタイプまたは DLPI サービスが必要な場合、などがあります。
タイプとして DL_ETHER が指定されたデバイスについては、GLD は Ethernet V2 と ISO 8802-3 (IEEE 802.3) の両方のパケット処理をサポートします。Ethernet V2 によって、データリンクサービスのユーザーは、プロバイダのプロトコルを特に知らなくても、さまざまな適合するデータリンクサービスプロバイダにアクセスして利用することができます。サービスアクセスポイント (SAP) は、ユーザーがサービスプロバイダと通信するときに通過するポイントです。
0 〜 255 の範囲の SAP 値と結合された Stream は、ユーザーが 8802-3 モードの使用を求めていることを示します。DL_BIND_REQ の SAP フィールド値がこの範囲内にある場合、GLD はその Stream の各後続の DL_UNITDATA_REQ メッセージ長 (14 バイトのメディアアクセス制御 (MAC) ヘッダーは含まない) を計算し、MAC フレームのヘッダーの type フィールドにその長さの 8802-3 フレームを送信します。この長さは 1500 を超えてはなりません。
0 〜 1500 の範囲の type フィールドを持つメディアから受信されたフレームはすべて、8802-3 フレームとみなされ、8802-3 モードのオープンなすべての Stream (0 〜 255 の範囲の SAP 値に結合された Stream) にルーティングされます。8802-3 モードの Stream が複数ある場合、着信フレームがコピーされて、該当するそれぞれの Stream にルーティングされます。
1500 より大きい SAP 値 (Ethernet V2 モード) と結合された Stream は、Ethernet MAC ヘッダーの type 値が、Stream と結合された SAP 値と正確に一致する着信パケットを受信します。
メディアタイプ DL_TPR および DL_FDDI については、GLD は 255 より大きい SAP 値と結合された Stream に、最小限の SNAP (Sub-Net Access Protocol) 処理を実装します。0 〜 255 の範囲の SAP 値は LLC SAP 値であり、メディアパケットフォーマットによって通常どおりに伝送されます。255 より大きい SAP 値には、LLC ヘッダーに従属し、16 ビット Ethernet V2 スタイルの SAP 値を伝送する SNAP ヘッダーが必要です。
SNAP ヘッダーは、宛先 SAP 0xAA が指定された LLC ヘッダーとして伝送されます。SAP 値が 255 より大きい発信パケットには、GLD は LLC+SNAP ヘッダーを作成します。このヘッダは、必ず次のような形式になります。
AA AA 03 00 00 00 XX XX |
XX XX は、Ethernet V2 スタイルの type に対応する 16 ビットの SAP を表します。これがサポートされる唯一の SNAP ヘッダーのクラスです。ゼロ以外の OUI フィールドおよび 03 以外の LLC 制御フィールドは、SAP 0xAA を持つ LLC パケットとみなされます。これ以外の SNAP フォーマットを使用するクライアントは、LLC を使用し、SAP 0xAA に結合する必要があります。
着信パケットは上記のフォーマットに準拠しているかどうかが検証されます。このフォーマットに準拠するパケットは、そのパケットの 16 ビット SNAP タイプに結合された Stream と照合されるとともに、LLC SNAP SAP 0xAA と一致するとみなされます。
LLC SAP として受信されたパケットは、メディアタイプ DL_ETHER の箇所で説明したように、LLC SAP と結合されているすべての Stream に渡されます。
タイプ DL_TPR デバイスについては、GLD は最小限のソースルーティングサポートを実装します。ソースルーティングにより、ブリッジングされたメディア上でパケットを送信するステーションは、ネットワーク上でパケットがたどるルートを決定づけるルーティング情報を (パケットの MAC ヘッダーに) 指定できます。
GLD が提供するソースルーティングは、ルートを学習し、可能性のある複数のルートについて情報を要求するように指示し、要求に応答し、使用できるルートの中から選択する機能があります。さらに、発信パケットの MAC ヘッダーに Routing Information Fields を追加したり、着信パケット内のこのようなフィールドを認識したりします。
GLD のソースルーティングは、ISO 8802-2 (IEEE 802.2) の Section 9 で指定されている Route Determination Entity (RDE) を完全に実装するわけではありません。しかし、同じ (または縮約された) ネットワークに存在し得るソースルーティング実装方式と相互運用を行うように設計されています。
GLD は、Style 1 および Style 2 の DLPI プロバイダを両方とも実装します。Physical Point of Attachment (PPA) は、システムが物理通信メディアと接続するポイントです。その物理メディア上の通信はすべて、PPA を通過します。Style 1 のプロバイダは、オープンされているメジャー/マイナーデバイスに基づいて、特定の PPA に Stream を接続します。Style 2 のプロバイダは、DLS ユーザーが DL_ATTACH_REQ を使用して必要な PPA を明示的に特定するよう要求します。その場合、open(9E) がユーザーと GLD 間の Stream を作成し、その後、DL_ATTACH_REQ が所定の PPA とその Stream を対応付けます。Style 2 はゼロのマイナー番号で示されます。マイナー番号がゼロ以外のデバイスノードがオープンしている場合、Style 1 が示され、対応する PPA はマイナー番号から 1 を差し引いたものになります。Style 1 と Style 2 が両方とも open の場合、デバイスはクローン化されます。
GLD は、いくつかの DLPI プリミティブを実装します。DL_INFO_REQ プリミティブは、DLPI Stream に関する情報を要求します。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックで構成されます。GLD はこの要求に対する DL_INFO_ACK 応答で、gld_register() に渡された gldm_mac_info(9S) 構造体に GLD ベースのドライバが指定した情報に基づいて、デバイスに依存する値を返します。ただし、GLD は、すべての GLD ベースのドライバに代わって次の値を返します。
バージョンは DL_VERSION_2 です。
サービスモードは DL_CLDLS です。GLD はコネクションレスモードのサービスを実装します。
プロバイダスタイルは、Stream がどのようにオープンされたかにより、DL_STYLE1 または DL_STYLE2 になります。
オプションの Quality Of Service (QOS) サポートはありません。QOS フィールドはゼロです。
DLPI 仕様と異なり、GLD は、Stream が PPA に接続される前であっても、DL_INFO_ACK でデバイスの正確なアドレス長およびブロードキャストアドレスを返します。
PPA と Stream を対応付けるために、DL_ATTACH_REQ プリミティブが使用されます。この要求は、Style 2 の DLS プロバイダが通信を行う物理メディアを特定するために必要です。完了すると、状態が DL_UNATTACHED から DL_UNBOUND に変わります。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックで構成されます。ドライバを Style 1 モードで使用している場合は、この要求は許可されません。Style 1 を使用してオープンされた Stream は、オープンの完了時には PPA にすでに接続されているからです。
DL_DETACH_REQ プリミティブは、Stream から PPA を切り離すことを要求します。これが認められるのは、Stream が Style 2 を使用してオープンされた場合だけです。
DL_BIND_REQ プリミティブおよび DL_UNBIND_REQ プリミティブは、DLSAP と Stream の結合および結合解除を行います。1 つの Stream と対応付けられた PPA は、Stream の DL_BIND_REQ の処理が完了する前に初期化を完了します。複数の Stream を同じ SAP に結合できますが、このような Stream はそれぞれ、その SAP で受信したパケットのコピーを受け取ります。
DL_ENABMULTI_REQ プリミティブおよび DL_DISABMULTI_REQ プリミティブは、個々のマルチキャストグループアドレスの受け付けを可能または不可能にします。アプリケーションまたは他の DLS ユーザーは、これらのプリミティブを繰り返し使用して 1 組のマルチキャストアドレスを Stream 単位で作成または変更することが可能です。これらのプリミティブが受け入れられるように、Stream を PPA に接続する必要があります。
DL_PROMISCON_REQ プリミティブおよび DL_PROMISCOFF_REQ プリミティブは、物理レベルまたは SAP レベルのどちらかで、プロミスキュアス (promiscuous) モードを Stream 単位で有効または無効にします。DL Provider は、DL_DETACH_REQ または DL_PROMISCOFF_REQ を受信するまで、または Stream がクローズされるまで、そのメディアで受信したすべてのメッセージを DLS ユーザーにルーティングします。物理レベルのプロミスキュアスの受信を、そのメディア上の全パケットに指定することも、マルチキャストパケットに限定して指定することもできます。
これらのプロミスキュアスモードのプリミティブが受け入れられるように、Stream を PPA に接続する必要があります。
DL_UNITDATA_REQ プリミティブは、コネクションレス型転送でデータを送信する場合に使用します。これは未承認のサービスなので、配信の保証はありません。メッセージは 1 つの M_PROTO メッセージブロックとそれに続く 1 つ以上の M_DATA ブロック (1 バイト以上のデータを含む) で構成されます。
DL_UNITDATA_IND タイプは、パケットを受信してアップストリームに渡す場合に使用します。パケットは、プリミティブを DL_UNITDATA_IND に設定した M_PROTO メッセージに格納されます。
DL_PHYS_ADDR_REQ プリミティブは、Stream に接続された PPA にその時点で対応付けられている MAC アドレスを要求します。このアドレスは、DL_PHYS_ADDR_ACK プリミティブによって返されます。Style 2 を使用している場合、このプリミティブが有効なのは DL_ATTACH_REQ が成功した場合に限られます。
DL_SET_PHYS_ADDR_REQ プリミティブは、Stream に接続された PPA にその時点で対応付けられている MAC アドレスを変更します。このプリミティブは、現在および将来にわたりこのデバイスに接続された他のすべての Stream に作用します。いったん変更すると、現在オープンしている、または今後オープンされてこのデバイスに接続されるすべての Stream が、この新しい物理アドレスを取得します。新しい物理アドレスは、このプリミティブを使用して再び物理アドレスを変更するまで、またはドライバがリロードされるまで有効です。
スーパーユーザーは、他の Stream が同じ PPA に結合されている際には PPA の物理アドレスを変更することができます。
DL_GET_STATISTICS_REQ プリミティブは、Stream に接続された PPA に対応する統計情報を収めた DL_GET_STATISTICS_ACK 応答を要求します。DL_ATTACH_REQ を使用して Style 2 の Stream を特定の PPA に接続しておかないと、このプリミティブは成功しません。
GLD は、以下で説明する ioctl ioc_cmd 関数を実装します。認識できない ioctl コマンドを受信した GLD は、gld(9E) に記述されているように、デバイス固有のドライバの gldm_ioctl() ルーチンにそのコマンドを渡します。
DLIOCRAW ioctl 関数は、snoop(1M) コマンドをはじめ、一部の DLPI アプリケーションで使用されます。DLIOCRAW コマンドは、Stream を raw モードにし、それによってドライバが、着信パケットの報告に通常使用される DL_UNITDATA_IND 形式に変換するのではなく、M_DATA メッセージで MAC レベルの着信パケット全体をアップストリーム送信するようにします。パケット SAP のフィルタリングは、raw モードの Stream にも実行されます。Stream のユーザーがすべての着信パケットの受け取りを希望する場合は、適切なプロミスキュアスモード (複数可) も選択しなければなりません。raw モードを正しく選択しているアプリケーションは、フルフォーマットのパケットを伝送する M_DATA メッセージとしてドライバに送ることもできます。DLIOCRAW は引数を使用しません。raw モードが有効になった Stream は、クローズされるまでそのモードのままです。
GLD ベースのドライバには、ヘッダーファイル <sys/gld.h> が組み込まれていなければなりません。
また、GLD ベースのドライバには次の宣言が含まれていることも必要です。
char _depends_on[] = "misc/gld"; |
GLD はデバイス固有のドライバのために、open(9E) および close(9E) 関数の他に、要求される STREAMS の put(9E) および srv(9E) 関数を実装します。さらに、ドライバ用に getinfo(9E) 関数も実装します。
module_info(9S) 構造体の mi_idname 要素は、ドライバ名を指定する文字列です。ファイルシステムに存在するドライバモジュールの名前と正確に一致しなければなりません。
読み取り側の qinit(9S) 構造体では、次の要素を指定する必要があります。
NULL
gld_rsrv
gld_open
gld_close
書き込み側の qinit(9S) 構造体では、次の要素を指定する必要があります。
gld_wput
gld_wsrv
NULL
NULL
dev_ops(9S) 構造体の devo_getinfo 要素では、getinfo(9E) ルーチンとして gld_getinfo を指定する必要があります。
ドライバの attach(9E) 関数は、ハードウェア固有のデバイスドライバと GLD 機能を対応付け、デバイスとドライバを使用できるように準備を整える一切の作業を行います。
attach(9E) 関数は、gld_mac_alloc() を使用して gld_mac_info(9S) (macinfo) 構造体を割り当てます。ドライバは通常、1 つのデバイスについて、macinfo 構造体で定義されているより多くの情報を保存しなければならないので、必要な追加分のデータ構造体を割り当て、gld_mac_info(9S) 構造体の gldm_private メンバーにそのデータ構造体へのポインタを保存する必要があります。
attach(9E) ルーチンは、gld_mac_info(9S) に記述されているように macinfo 構造体を初期化し、その後 gld_register() を呼び出して、ドライバと GLD モジュールを結びつけなければなりません。ドライバは必要に応じてレジスタをマップし、完全に初期化して、gld_register() を呼び出す前に割り込みを受け付けるように準備する必要があります。attach(9E) 関数が割り込みを追加することはあっても、デバイスに割り込みを発生させてはなりません。ドライバは、ハードウェアが確実に静止しているように、gld_register() を呼び出す前に、ハードウェアをリセットする必要があります。gld_register() の呼び出し前に、デバイスが起動されたり、割り込みが発生するような状態になったりしてはなりません。これは、gld(9E) に記載されているように、後に GLD がドライバの gldm_start() エントリポイントを呼び出した時点で行います。gld_register() が正常に完了すると、GLD はいつでも gld(9E) エントリポイントを呼び出すことができます。
attach(9E) ルーチンは、gld_register() が正常に完了した場合は、DDI_SUCCESS を返します。gld_register() がエラーになった場合は、DDI_FAILURE を返し、gld_register() を呼び出す前に割り当てられたあらゆるリソースを、attach(9E)ルーチンで割り当て解除する必要があります。そして、DDI_FAILURE を返します。どのような状況でも、エラーの起きた macinfo 構造体を再利用することがあってはなりません。gld_mac_free() を使用して、割り当てを解除する必要があります。
detach(9E) 関数は、GLD からドライバの登録を解除しようとします。これは、gld(9F) に記載されている gld_unregister() を呼び出すことによって行います。detach(9E) ルーチンは、ddi_get_driver_private(9F) を使用することによって、デバイスの専用データから必要な gld_mac_info(9S) 構造体に対するポインタを取得できます。gld_unregister() は、一定の条件をチェックして、ドライバを切り離せないかどうかを調べます。このチェックに失敗すると、gld_unregister() は DDI_FAILURE を返します。その場合、ドライバの detach(9E) ルーチンはデバイスを動作状態にしたまま、DDI_FAILURE を返さなければなりません。
チェックが成功すると、gld_unregister() は、(必要に応じてドライバの gldm_stop() ルーチンを呼び出して) デバイスの割り込み中止を確認し、ドライバを GLD フレームワークから切り離し、DDI_SUCCESS を返します。この場合、detach(9E) ルーチンは割り込みを削除し、attach(9E) ルーチンに割り当てられていたすべてのデータ構造を (macinfo 構造体の割り当てを解除する gld_mac_free() を使用して) 割り当て解除したうえで、DDI_SUCCESS を返さなければなりません。gld_mac_free() を呼び出す前に割り込みを削除することが重要です。
Solaris ネットワークドライバは統計変数を実装しなければなりません。一部のネットワーク統計については、GLD 本体で記録されますが、他のネットワーク統計は GLD ベースのドライバごとにカウントする必要があります。GLD は、GLD ベースのドライバによるネットワークドライバ統計の標準セットのレポートをサポートします。統計は、kstat(7D) および kstat(9S) メカニズムを使用して、GLD が報告します。DLPI コマンドの DL_GET_STATISTICS_REQ を使用して、現在の統計カウンタを検索することもできます。統計は特に指定が無い限り、いずれも符号無しで維持され、32 ビットです。
GLD が維持および報告する統計は、次のとおりです。
インタフェース上で正常に受信したトータルのバイト数 (64 ビット)
インタフェース上で正常に受信したトータルのバイト数
インタフェース上で送信を要求したトータルのバイト数 (64 ビット)
インタフェース上で送信を要求したトータルのバイト数
インタフェース上で正常に受信したトータルのパケット数 (64ビット)
インタフェース上で正常に受信したトータルのパケット数
インタフェース上で送信を要求したトータルのパケット数 (64 ビット)
インタフェース上で送信を要求したトータルのパケット数
グループおよび機能アドレスを含め、正常に受信したマルチキャストパケット (long
)
グループおよび機能アドレスを含め、送信を要求したマルチキャストパケット (long
)
正常に受信したブロードキャストパケット (long
)
送信を要求したブロードキャストパケット (long
)
どの Stream も受け付けなかった有効な受信パケット (long
)
送信バッファが使用中だった、または送信バッファを割り当てることができなかったために、出力で廃棄されたパケット (long
)
キューがフロー制御にされていたために、受信パケットを Stream に格納できなかった回数 (long
)
リソース不足のために送信が遅延された後で、送信が再試行された回数 (long
)
インタフェースの現在の「プロミスキュアス」状態 (文字列)
デバイス依存型のドライバは、次の統計情報をカウントし、専用のインスタンス別構造体でその記録を保管します。統計情報を報告するように求められた GLD は、gld(9E) に記述されているように、ドライバの gldm_get_stats() エントリポイントを呼び出して、gld_stats(9S) 構造体のデバイス固有の統計情報を更新します。GLD は次に、以下に示す名前付き統計変数を使用して、更新された統計情報を報告します。
ビット/秒で表したインタフェースの現在の帯域幅の見積り (64ビット)
デバイスが現在使用しているメディアタイプ (文字列)
割り込みハンドラが呼び出され、割り込みが要求された回数 (long)
受信バッファを割り当てることができなかったために、有効な着信パケットが廃棄されたことが判明している回数 (long)
エラーが含まれていたために処理できなかったトータルの受信パケット (long)
エラーが原因で正常に送信されなかったトータルのパケット (long)
受信時にハードウェアによってドロップされたことが判明しているパケット (long)
送信時の FIFO アンダーフロー回数 (long)
受信時の受信側オーバーフロー回数 (long)
次の統計グループは、DL_ETHER タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。
フレーム指示エラーの起きた受信パケット (オクテットの整数ではない) (long)
CRC エラーの起きた受信パケット (long)
インタフェースの現在の二重モード (文字列)
送信試行時にキャリアが失われたか、または全く検出されなかった回数 (long)
送信時の Ethernet の衝突 (long)
送信時に発生した衝突が多すぎて、送信エラーとなったフレーム (long)
遅れて (512 ビットタイム) 発生した送信衝突の回数 (long)
衝突は発生しなかったが、メディアがビジー状態だったために最初の送信試行が遅延されたパケット (long)
1 回の衝突だけで正常に送信されたパケット
複数の衝突が起きたが正常に送信されたパケット
SQE テストエラーが報告された回数
キャリアおよび衝突エラー以外の送信 MAC エラーが検出されたパケット
align_errors、fcs_errors、toolong_errors 以外の、MAC エラーが起きた受信パケット
許容される最大長を超えていた受信パケット
許容される最小長に満たなかった受信パケット (long)
次の統計グループは、DL_TPR タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。
非データビットまたは FCS エラーのあった受信パケット
ハーフビットタイマー 5 回の間に変位が発生しなかったことが検出された回数
リングでシグナル損失状態が検出された回数
AMP フレームの介入の無い、別の同様の SMP フレームが続く、A、C が共に 0 の AMP または SMP フレームの数
ステーションが内部エラーを認識した回数
送信中に TRR タイマが期間満了した回数
このステーション宛てのフレームが、FS フィールドの「A」ビットを 1 に設定して受信された回数
アクティブモニターとして動作しているステーションが、トークンの送信を必要とするエラー状態を認識した回数
着信信号の周波数が予期された周波数と異なっていた回数
次の統計グループは、DL_FDDI タイプのネットワークに適用されます。これらの統計は、前述のように、そのタイプのデバイス固有のドライバによって維持されます。
別の MAC ではエラーが検出されず、この MAC ではエラーが検出されたフレーム
フレームが取り除かれるなどのフォーマットエラーが起きた受信フレーム数
受信トークン数 (制限無しと制限付きの合計)
TVX が期間満了になった回数
この MAC がリセットされて以後、またはトークンの受信以後、TRT が期間満了になった回数
リングが「Ring Not Operational」状態から「Ring_Operational」状態になった回数
GLD の MAC 情報 (gld_mac_info) 構造体は、デバイス固有のドライバと GLD 間のメインデータインタフェースです。この構造体には、GLD が必要とするデータ、およびオプションの追加のドライバ固有情報の構造体に対するポインタが含まれます。
gld_mac_info 構造体は、gld_mac_alloc() を使用して割り当て、gld_mac_free() を使用して割り当てを解除します。ドライバ側でこの構造の長さを想定してはなりません。長さは Solaris の各リリース、各 GLD、またはその両方によって異なる可能性があるためです。このマニュアルには記載されていない GLD 専用の構造体のメンバーをデバイス固有のドライバで設定したり読み取ったりしてはなりません。
gld_mac_info(9S) 構造体には、次のフィールドがあります。
caddr_t gldm_private; /* Driver private data */ int (*gldm_reset)(); /* Reset device */ int (*gldm_start)(); /* Start device */ int (*gldm_stop)(); /* Stop device */ int (*gldm_set_mac_addr)(); /* Set device phys addr */ int (*gldm_set_multicast)(); /* Set/delete multicast addr */ int (*gldm_set_promiscuous)(); /* Set/reset promiscuous mode */ int (*gldm_send)(); /* Transmit routine */ uint_t (*gldm_intr)(); /* Interrupt handler */ int (*gldm_get_stats)(); /* Get device statistics */ int (*gldm_ioctl)(); /* Driver-specific ioctls */ char *gldm_ident; /* Driver identity string */ uint32_t gldm_type; /* Device type */ uint32_t gldm_minpkt; /* Minimum packet size */ /* accepted by driver */ uint32_t gldm_maxpkt; /* Maximum packet size */ /* accepted by driver */ uint32_t gldm_addrlen; /* Physical address length */ int32_t gldm_saplen; /* SAP length for DL_INFO_ACK */ unsigned char *gldm_broadcast_addr; /* Physical broadcast addr */ unsigned char *gldm_vendor_addr; /* Factory MAC address */ t_uscalar_t gldm_ppa; /* Physical Point of */ /* Attachment (PPA) number */ dev_info_t *gldm_devinfo; /* Pointer to device's */ /* dev_info node */ ddi_iblock_cookie_t gldm_cookie; /* Device's interrupt */ /* block cookie */
デバイスドライバは、gld_mac_info 構造体のメンバーを認識できます。
この構造体のメンバーは、デバイス固有のドライバ専用であり、GLD が使用したり変更したりすることはありません。これは、従来専用データに対するポインタとして使用されたもので、ドライバが定義し、またドライバが割り当てたインスタンス別データ構造体を指し示します。
次の構造体メンバーのグループは、gld_register() を呼び出す前にドライバで設定しなければなりません。以後は、ドライバ側で変更してはなりません。gld_register() がこれらの構造体のメンバーの値を使用またはキャッシュすることがあるので、gld_register() を呼び出した後でドライバが変更を行うと、予期せぬ結果を招く可能性があります。
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。gld(9E) を参照
ドライバのエントリポイントに対するポインタ。NULL にすることができる。gld(9E) を参照
デバイスに関する短い記述を含む文字列に対するポインタ。システムメッセージ内のデバイスを識別する場合に使用します。
ドライバが処理するデバイスのタイプ。GLD で現在サポートしている値は、DL_ETHER (ISO 8802-3 [IEEE 802.3] および Ethernet Bus)、DL_TPR (IEEE 802.5 Token Passing Ring)、および DL_FDDI (ISO 9314-2 Fibre Distributed Data Interface) です。GLD を正しく動作させるには、この構造体のメンバーを適切に設定する必要があります。
最小の Service Data Unit サイズ - デバイスが送信する最小パケットサイズです (MAC ヘッダーは含まない)。デバイス固有のドライバが必要なすべてのパディングを処理する場合は、このサイズをゼロにすることができます。
最大の Service Data Unit サイズ - デバイスが送信できる最大パケットサイズです (MAC ヘッダーは含まない)。Ethernet の場合、この値は 1500 です。
デバイスが処理する物理アドレスの長さ (バイト数)。Ethernet、Token Ring、および FDDI の場合、この構造体のメンバーの値は 6 でなければなりません。
ドライバが使用する SAP アドレスの長さ (バイト数)。GLD ベースのドライバでは、これは常に -2 に設定します。この値は、2 バイトの SAP 値がサポートされること、および DLSAP アドレスで物理アドレスの後に SAP が来ることを意味します。詳細は、DLPI 仕様の「Message DL_INFO_ACK」を参照してください。
送信に使用されるブロードキャストアドレスが格納されるバイト配列の長さ gldm_addrlen に対するポインタ。ドライバはブロードキャストアドレスを収めるスペースを提供し、そのスペースに適切な値を入れ、その値を指すように gldm_broadcast_addr を設定する必要があります。Ethernet、Token Ring、および FDDI の場合、ブロードキャストアドレスは通常、0xFF-FF-FF-FF-FF-FF です。
ベンダーが提供したデバイスのネットワーク物理アドレスが格納される、バイト配列の長さ gldm_addrlen に対するポインタ。ドライバはこのアドレスを収めるスペースを提供し、そのスペースにデバイスから読み取った情報を入れ、その情報を指すように gldm_vendor_addr を設定する必要があります。
デバイスのこのインスタンスに対応する PPA 番号。通常、ddi_get_instance(9F) から返されたインスタンス番号に設定します。
このデバイスの dev_info ノードに対するポインタ
ddi_get_iblock_cookie(9F)、 ddi_add_intr(9F)、 ddi_get_soft_iblock_cookie(9F)、 または ddi_add_softintr(9F) から返された割り込みブロック cookie。これは、gld_recv() の呼び出し元となる、デバイスの受信割り込みに対応しなければなりません。
GLD 統計 (gld_stats) 構造体は、gld(9E) および gld(7D) で記述されているように、ドライバの gldm_get_stats() ルーチンから戻るときに、GLD ベースのドライバから GLD に統計情報および状態情報を伝えるために使用します。この構造体のメンバーは、GLD ベースのドライバによってセットされ、GLD が統計情報を報告するときに使用されます。後出の表では、GLD が報告する統計変数の名前がコメントで示されています。個々の統計情報の詳細については、gld(7D) のマニュアルページを参照してください。
ドライバはこの構造体の長さに関して仮定することができません。Solaris、GLD、またはその両方のリリースごとに異なる可能性があります。このマニュアルに記載されていない GLD 専用の構造体のメンバーは、デバイス固有のドライバによって設定したり読み取ったりしてはなりません。
次の構造体のメンバーは、すべてのメディアタイプに対して定義されます。
uint64_t glds_speed; /* ifspeed */ uint32_t glds_media; /* media */ uint32_t glds_intr; /* intr */ uint32_t glds_norcvbuf; /* norcvbuf */ uint32_t glds_errrcv; /* ierrors */ uint32_t glds_errxmt; /* oerrors */ uint32_t glds_missed; /* missed */ uint32_t glds_underflow; /* uflo */ uint32_t glds_overflow; /* oflo */
次の構造体のメンバーは、メディアタイプ DL_ETHER に対して定義されます。
uint32_t glds_frame; /* align_errors */ uint32_t glds_crc; /* fcs_errors */ uint32_t glds_duplex; /* duplex */ uint32_t glds_nocarrier; /* carrier_errors */ uint32_t glds_collisions; /* collisions */ uint32_t glds_excoll; /* ex_collisions */ uint32_t glds_xmtlatecoll; /* tx_late_collisions */ uint32_t glds_defer; /* defer_xmts */ uint32_t glds_dot3_first_coll; /* first_collisions */ uint32_t glds_dot3_multi_coll; /* multi_collisions */ uint32_t glds_dot3_sqe_error; /* sqe_errors */ uint32_t glds_dot3_mac_xmt_error; /* macxmt_errors */ uint32_t glds_dot3_mac_rcv_error; /* macrcv_errors */ uint32_t glds_dot3_frame_too_long; /* toolong_errors */ uint32_t glds_short; /* runt_errors */
次の構造体のメンバーは、メディアタイプ DL_TPR に対して定義されます。
uint32_t glds_dot5_line_error /* line_errors */ uint32_t glds_dot5_burst_error /* burst_errors */ uint32_t glds_dot5_signal_loss /* signal_losses */ uint32_t glds_dot5_ace_error /* ace_errors */ uint32_t glds_dot5_internal_error /* internal_errors */ uint32_t glds_dot5_lost_frame_error /* lost_frame_errors */ uint32_t glds_dot5_frame_copied_error /* frame_copied_errors */ uint32_t glds_dot5_token_error /* token_errors */ uint32_t glds_dot5_freq_error /* freq_errors */
次の構造体のメンバーは、メディアタイプ DL_FDDI に対して定義されます。
uint32_t glds_fddi_mac_error; /* mac_errors */ uint32_t glds_fddi_mac_lost; /* mac_lost_errors */ uint32_t glds_fddi_mac_token; /* mac_tokens */ uint32_t glds_fddi_mac_tvx_expired; /* mac_tvx_expired */ uint32_t glds_fddi_mac_late; /* mac_late */ uint32_t glds_fddi_mac_ring_op; /* mac_ring_ops */
上記の統計変数のほとんどは、特定のイベントが検出された回数を示すカウンタです。例外は次のとおりです。
インタフェースの現在の帯域幅の概算値 (ビット/秒)。帯域幅の変動のないインタフェース、または正確な推定ができないインタフェースの場合、このオブジェクトには公称の帯域幅が入ります。
ハードウェアで使用されているメディア (配線) またはコネクタのタイプ。現在サポートされているメディア名には、 GLDM_AUI、GLDM_BNC、 GLDM_TP、GLDM_10BT、 GLDM_100BT、 GLDM_100BTX、 GLDM_100BT4、 GLDM_RING4、 GLDM_RING16、 GLDM_FIBER、 および GLDM_PHYMII が含まれます。GLDM_UNKNOWN を指定することもできます。
インタフェースの現在の二重状態。サポートされる値は、GLD_DUPLEX_HALF および GLD_DUPLEX_FULL です。GLD_DUPLEX_UNKNOWN を指定することもできます。
gld_mac_info(9S) 構造体に対するポインタ。
有効な MAC アドレスが格納されたキャラクタ配列の先頭に対するポインタ。この配列は、gld_mac_info(9S) 構造体の gldm_addrlen 要素で、ドライバによって指定された長さになります。
マルチキャスト、グループ、または機能アドレスが格納されたキャラクタ配列の先頭に対するポインタ。この配列は、gld_mac_info(9S) 構造体の gldm_addrlen 要素で、ドライバによって指定された長さになります。
マルチキャストアドレスの受け付けを可能にするか不可能にするかを示すフラグ。この引数は、GLD_MULTI_ENABLE または GLD_MULTI_DISABLE として指定します。
有効になっているプロミスキュアスモードのタイプを示すフラグ。この引数は、GLD_MAC_PROMISC_PHYS、GLD_MAC_PROMISC_MULTI、または GLD_MAC_PROMISC_NONE として指定します。
gld_ioctl() は、実行する ioctl が格納されている STREAMS メッセージブロックへのポインタとして mp を使用します。gld_send() は、送信するパケットが格納されている STREAMS メッセージブロックへのポインタとして mp を使用します。gld_recv() は、受信パケットが格納されているメッセージブロックへのポインタとして mp を使用します。
統計カウンタの現在値が入る、gld_stats(9S) 構造体に対するポインタ。
ioctl への応答で使用される、queue(9S) 構造体に対するポインタ。
デバイスの dev_info 構造体に対するポインタ。
デバイスのインタフェース名
これらのエントリポイントは、GLD とのインタフェースとして設計されたデバイス固有のネットワークドライバによって実装される必要があります。
gld(7D) で記述されているように、デバイス固有のドライバと GLD モジュール間の通信に関するメインデータ構造は、gld_mac_info(9S) 構造体です。この構造体の一部の要素は、ここで説明するエントリポイントへの関数ポインタです。デバイス固有のドライバは、attach(9E) ルーチンで、これらの関数ポインタを初期化してから gld_register() を呼び出さなければなりません。
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gldm_reset() は、ハードウェアを初期状態にリセットします。
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gldm_start() により、デバイスは割り込みを発生させ、受信データパケットを GLD に配信する目的で、ドライバが gld_recv() を呼び出せるようにします。
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gldm_stop() は、デバイスが割り込みを発生させることを不可にし、データパケットを GLD に配信する目的でドライバが gld_recv() を呼び出すことを止めさせます。GLD は gldm_stop() ルーチンによって、デバイスがこれ以上割り込みをかけなくなることを確実に保証しなければなりません。この関数は常に、GLD_SUCCESS を返します。
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gldm_set_mac_addr() は、ハードウェアがデータの受信に使用する物理アドレスを設定します。この関数は、デバイスを渡された MAC アドレス macaddr にプログラムしなければなりません。現在利用できるリソースが不足していて要求を満たすことができない場合は、GLD_NORESOURCES を返します。要求された関数がサポートされていない場合は、GLD_NOTSUPPORTED を返します。
int prefix_set_multicast(gld_mac_info_t * macinfo, unsigned char * multicastaddr, int multiflag); |
gldm_set_multicast() は、特定のマルチキャストアドレスのデバイスレベルでの受け付けを可能または不可能にします。3 番目の引数 multiflag が GLD_MULTI_ENABLE に設定されている場合、この関数は 2 番目の引数によって示されたマルチキャストアドレスを持つパケットを受信するよう、インタフェースを設定します。multiflag が GLD_MULTI_DISABLE に設定されている場合、ドライバは指定されたマルチキャストアドレスの受け付けを不可にすることが許可されます。
この関数は、GLD がマルチキャスト、グループ、または機能アドレスの受け付けを可能または不可能に設定するたびに呼び出されます。GLD は、デバイスがどのような方法でマルチキャストをサポートするのか、どのような方法でこの関数を呼び出して特定のマルチキャストアドレスを有効または無効にするのかについて、何も想定を行いません。デバイスによっては、ハッシュアルゴリズムとビットマスクを使用して、マルチキャストアドレスの集合を有効にするものもあります。この手順は認められており、GLD が余分なパケットをフィルタリングして除外します。1 つのアドレスを無効にするとデバイスレベルで複数のアドレスが無効になる可能性がある場合、GLD が有効にしているアドレスを無効にしてしまうことがないように、必要な情報を保存するのはデバイスドライバ側の役目です。
gldm_set_multicast() は、すでに有効になっている特定のマルチキャストアドレスを有効にするために呼び出されることはなく、また現在有効になっていないアドレスを無効にするために呼び出されることもありません。GLD は同じマルチキャストアドレスに対する複数の要求を追跡し、特定のマルチキャストアドレスを有効にすることを求める最初の要求、または無効にすることを求める最後の要求に限り、ドライバのエントリポイントを呼び出します。そのとき、利用できるリソースが不足していて要求を満たせない場合は、GLD は GLD_NORESOURCES を返します。要求された関数がサポートされていない場合は、GLD_NOTSUPPORTED を返します。
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gldm_set_promiscuous() は、プロミスキュアスモードを有効または無効にします。この関数は、GLD がメディア上のすべてのパケットの受信、またはメディア上のすべてのマルチキャストパケットの受信を可能または不可能に設定するたびに呼び出されます。2 番目の引数 promiscflag が GLD_PROMISC_PHYS の値に設定されている場合は、この関数は物理レベルのプロミスキュアスモードを有効にし、その結果、メディア上のすべてのパケットが受信されます。promiscflag が GLD_PROMISC_MULTI に設定されている場合は、すべてのマルチキャストパケットの受信が可能になります。promiscflag が GLD_PROMISC_NONE に設定されている場合は、プロミスキュアスモードが不可になります。
プロミスキュアスマルチキャストモードの要求の場合、マルチキャスト専用プロミスキュアスモードを備えていないデバイスのドライバは、デバイスを物理プロミスキュアスモードに設定して、すべてのマルチキャストパケットが受信されるようにしなければなりません。その場合、ルーチンは GLD_SUCCESS を返さねばなりません。GLD ソフトウェアが余分なパケットをフィルタリングして除外します。そのとき、利用できるリソースが不足していて要求を満たせない場合、GLD_NORESOURCES を返します。要求された関数がサポートされていない場合は、GLD_NOTSUPPORTED を返します。
上位互換性を維持するために、gldm_set_promiscuous() ルーチンは、promiscflag として認識できないすべての値を GLD_PROMISC_PHYS のように扱う必要があります。
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gldm_send() は、デバイスへのパケットを送信待ちのキューに入れます。このルーチンには、送信されるべきパケットが入った STREAMS メッセージが渡されます。メッセージには複数のメッセージブロックが含まれることがあり、送信されるパケット全体にアクセスするために、送信ルーチンはそのメッセージ内のすべてのメッセージブロックを通らなければなりません。連結内の長さがゼロのメッセージ継続ブロックを認識してスキップするように、ドライバを準備する必要があります。ドライバでは、パケットが許容される最大パケットサイズを超えていないかどうかをチェックし、必要であれば、許容される最小パケットサイズになるまでパケットにパディングをしなければなりません。送信ルーチンがパケットを正常に送信した場合、またはキューに格納した場合は、GLD_SUCCESS を返します。
送信ルーチンは、送信パケットをすぐに受け付けることができない場合、GLD_NORESOURCES を返します。その場合、GLD は後で再試行を行います。gldm_send() が GLD_NORESOURCES を返した場合、ドライバはリソースが利用できるようになった時点で、gld_sched() を呼び出さなければなりません。この gld_sched() への呼び出しは、ドライバが以前送信用のキューに入れることができなかったパケットを再試行するように、GLD に通知します (ドライバの gldm_stop() ルーチンが呼び出されても、後に gldm_send() ルーチンから再び GLD_NORESOURCES を返すまで、ドライバはこの義務を免除されます。ただし、gld_sched() を余分に呼び出しても、誤った動作になることはありません)。
ドライバの送信ルーチンが GLD_SUCCESS を返し、ドライバとハードウェアでそのメッセージがもう不要になったときに、メッセージを解放するのはドライバの役目です。送信ルーチンがデバイスにメッセージをコピーした場合、または専用バッファにコピーした場合は、コピー後に送信ルーチンでメッセージを解放できます。ハードウェアが DMA を使用して、メッセージデータブロックから直接データを読み取る場合は、ハードウェアによるデータの読み取りが完了するまで、ドライバはメッセージを解放してはなりません。この場合、ドライバは割り込みルーチンでメッセージを解放するか、または将来の送信動作の開始時にバッファ再請求動作でメッセージを解放するのが一般的です。送信ルーチンが GLD_SUCCESS 以外のものを返した場合、ドライバはメッセージを解放してはなりません。ネットワークまたはリンクパートナーとの間に物理接続が無いときに gldm_send() が呼び出された場合は、GLD_NOLINK を返します。
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gldm_intr() は、デバイスに割り込みがかけられている可能性がある場合に呼び出されます。割り込みを他のデバイスと共有する可能性があるので、ドライバはデバイスの状態を調べ、実際に割り込みが発生したかどうかを判別しなければなりません。ドライバが制御しているデバイスで割り込みが起きなかった場合、このルーチンは DDI_INTR_UNCLAIMED を返さなければなりません。それ以外の場合は、割り込みに対処し、DDI_INTR_CLAIMED を返さなければなりません。パケットの正常な受信によって割り込みが発生した場合、このルーチンは受信パケットを M_DATA タイプの STREAMS メッセージに格納し、メッセージを gld_recv() に渡す必要があります。
gld_recv() は、着信パケットをアップストリーム方向に、ネットワークプロトコルスタックの該当する次のレイヤーに渡します。gld_recv() を呼び出す前に、STREAMS メッセージの b_rptr および b_wptr メンバーを正しく設定しておくことが重要です。
ドライバは、gld_recv() の呼び出し時に、相互排他 (mutex) ロックまたは他のロックを保持していないようにしなければなりません。特に、送信スレッドが使用する可能性のあるロックは、gld_recv() の呼び出し時に保持されていてはなりません。場合によっては、gld_recv() を呼び出す割り込みスレッドが、発信パケットの送信を含めた処理を実行してしまい、その結果、ドライバの gldm_send() ルーチンが呼び出されてしまうことがあるためです。gldm_intr() ルーチンが gld_recv() を呼び出すときに保持していた相互排他ロックを、gldm_send() ルーチンが取得しようとした場合、相互排他エントリが繰り返されることになり、パニックに陥る可能性があります。gld_recv() を呼び合いドライバが保持する相互排他ロックを他のドライバのエントリポイントが取得しようとした場合、デッドロックに陥る可能性があります。
割り込みコードは、あらゆるエラーに関する統計カウンタを増分しなければなりません。このエラーには、受信データ用バッファの割り当てエラーをはじめ、CRC エラーやフレーミングエラーなどのハードウェア固有のエラーが含まれます。
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gldm_get_stats() は、ハードウェア、ドライバ専用カウンタ、またはその両方から統計情報を収集し、stats で指し示された gld_stats(9S) 構造体を更新します。このルーチンは、統計要求を受けた時に GLD によって呼び出され、GLD が統計要求に対する応答を作成する前に、ドライバからデバイスに依存する統計情報を得るためのメカニズムを提供します。定義されている統計カウンタの詳細は、gld_stats(9S) および gld(7D) のマニュアルページを参照してください。
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gldm_ioctl() は、すべてのデバイス固有の ioctl コマンドを実装します。ドライバが ioctl 関数を全く実装しない場合、この要素は NULL として指定できます。メッセージブロックを ioctl 応答メッセージに変換し、GLD_SUCCESS を呼び出す前に greply(9F) 関数を呼び出すのは、ドライバの役目です。この関数は常に GLD_SUCCESS を返すべきです。ドライバに報告させる必要のあるエラーは、greply(9F) に渡すメッセージで返させる必要があります。gldm_ioctl 要素が NULL として指定されている場合、GLD は M_IOCNAK タイプのメッセージを EINVAL というエラーとともに返します。
これまでに説明した戻り値および制限事項のほかに、一部の GLD エントリポイント関数は次の値を返すことができます。
関数が不適切な引数、たとえば、不良マルチキャストアドレス、不良 MAC アドレス、不良パケット、不良パケット長などを検出した場合
ハードウェア障害の場合
成功した場合
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gld_mac_alloc() は、新しい gld_mac_info(9S) 構造体を割り当て、その構造体に対するポインタを返します。この構造体の GLD 専用の要素のなかには、gld_mac_alloc() を返す前に初期化されるものがありますが、他の要素はすべてゼロに初期化されます。デバイスドライバは、mac_info 構造体へのポインタを gld_register() へ渡す前に、gld_mac_info(9S) に記述されているように、一部の構造体メンバーを初期化する必要があります。
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gld_mac_free() は、以前に gld_mac_alloc() によって割り当てられていた gld_mac_info(9S) 構造体を解放します。
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gld_register() は、デバイスドライバの attach(9E) ルーチンから呼び出され、GLD ベースのデバイスドライバと GLD フレームワークを結びつけるために使用されます。デバイスドライバの attach(9E) ルーチンは、gld_register() を呼び出す前に、gld_mac_alloc() を最初に使用して gld_mac_info(9S) 構造体を割り当て、その構造体の要素のいくつかを初期化しなければなりません。詳細は、gld_mac_info(9S) のマニュアルページを参照してください。gld_register() が正常に呼び出されると、次の動作が発生します。
デバイス固有のドライバを GLD システムに接続する
デバイス固有のドライバの専用データポインタが (ddi_set_driver_private(9F) を使用して) macinfo 構造体を指し示すように設定する
マイナーデバイスノードを作成する
DDI_SUCCESS を返す
gld_register() に渡すデバイスインタフェース名は、ファイルシステムに存在しているドライバモジュール名と完全に一致しなければなりません。
ドライバの attach(9E) ルーチンは、gld_register() が正常に完了した場合に DDI_SUCCESS を返す必要があります。gld_register() が DDI_SUCCESS を返さなかった場合、attach(9E) ルーチンは gld_register() を呼び出す前に割り当てたすべてのリソースの割り当てを解除し、その後 DDI_FAILURE を返さなければなりません。
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gld_unregister() は、デバイスドライバの detach(9E) 関数によって呼び出され、成功した場合は次の作業を実行します。
デバイスの割り込みが中止されたことを確認し、必要に応じてドライバの gldm_stop() ルーチンを呼び出す
マイナーデバイスノードを削除する
GLD システムとデバイス固有のドライバ間のリンクを切断する
DDI_SUCCESS を返す
gld_unregister() が DDI_SUCCESS を返した場合、detach(9E) ルーチンは attach(9E) ルーチンで割り当てられたすべてのデータ構造体を割り当て解除し、gld_mac_free() を使用して、macinfo 構造を割り当て解除し、DDI_SUCCESS を返します。gld_unregister() が DDI_SUCCESS を返さなかった場合、ドライバの detach(9E) ルーチンはデバイスを動作状態にしたまま、DDI_FAILURE を返さなければなりません。
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gld_recv() は、ドライバの割り込みハンドラによって呼び出され、受信したパケットをアップストリームに渡します。ドライバは raw パケットを格納した STREAMS M_DATA メッセージを作成して渡さなければなりません。gld_recv() がパケットのコピーを受け取るべき STREAMS キュー (あれば) を判別し、必要に応じてコピーします。さらに、必要であれば DL_UNITDATA_IND メッセージをフォーマットして、データを該当するすべての Stream に渡します。
ドライバは、gld_recv() の呼び出し時に、相互排他 (mutex) ロックまたは他のロックを保持していないようにしなければなりません。特に、送信スレッドが使用するロックは、gld_recv() の呼び出し時には保持できません。場合によっては、gld_recv() を呼び出す割り込みスレッドが、発信パケットの送信を含めた処理を実行してしまい、その結果、ドライバの gldm_send() ルーチンが呼び出されることがあるためです。gldm_intr() ルーチンが gld_recv() を呼び出すときに保持していた相互排他ロックを、gldm_send() ルーチンが取得しようとした場合、相互排他エントリが繰り返されることになり、パニックになる可能性があります。gld_recv() を呼び合いドライバが保持する相互排他ロックを他のドライバのエントリポイントが取得しようとした場合、デッドロックに陥る可能性があります。
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gld_sched() は、据え置かれていた発信パケットを再スケジューリングするために、デバイスドライバによって呼び出されます。ドライバの gldm_send() ルーチンが GLD_NORESOURCES を返すたびに、ドライバは後で gld_sched() を呼び出して、以前送信できなかったパケットについて再試行するように、GLD フレームワークに通知しなければなりません。gld_sched() は、リソースが利用可能になった時点で、できるかぎり迅速に呼び出され、GLD がドライバの gldm_send() ルーチンに対する発信パケットの受け渡しを、タイミングよく再開できるようにしなければなりません (ドライバの gldm_stop() ルーチンが呼び出されても、gldm_send() ルーチンから再び GLD_NORESOURCES が返されるまで、ドライバはこの義務を免除されます。ただし、gld_sched() を余分に呼び出しても、誤った動作になることはありません)。
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gld_intr() は、GLD のメインの割り込みハンドラです。通常、デバイスドライバの ddi_add_intr(9F) 呼び出しで、割り込みルーチンとして指定します。割り込みハンドラに対する引数 (ddi_add_intr(9F) 呼び出しに int_handler_arg として指定) は、gld_mac_info(9S) 構造体へのポインタでなければなりません。gld_intr() は、該当する場合、デバイスドライバの gldm_intr() 関数を呼び出し、そのポインタを gld_mac_info(9S) 構造体に渡します。しかし、ドライバが上位レベルの割り込みを使用する場合は、独自の上位割り込みハンドラを提供し、その中からソフト割り込みを起動しなければなりません。この場合、gld_intr() は通常、ddi_add_softintr() 呼び出しにソフト割り込みハンドラとして指定されます。gld_intr() は、割り込みハンドラに適した値を返します。