Solaris 8 のシステム管理 (追補)

第 9 章 システムパフォーマンスの管理

Solaris 8 ソフトウェアリリースで、システムパフォーマンス向上のための新しい方法が追加されました。詳細は、次の各節を参照してください。


注 -

最新のマニュアルページを参照するには、man コマンドを使用してください。Solaris 8 Update リリースのマニュアルページには、「Solaris 8 Reference Manual Collection」には記載されていない新しい情報も提供されています。


DNLC 機能の向上

この機能は、Solaris 8 6/00 ソフトウェアリリースで更新されました。

ディレクトリ名検索キャッシュ (DNLC) の機能が Solaris 8 6/00 ソフトウェアリリースで拡張され、1000 以上のファイルを持つ大規模なディレクトリ内のファイルにアクセスするときの性能が向上しました。このマニュアルで説明する情報は、『Solaris のシステム管理 (第 2 巻)』の「システム性能の概要」におけるシステム性能の管理についての情報を補足するものです。

DNLC は一般的なファイルシステムサービスであり、最近参照されたディレクトリ名とそれに関連する v ノードをキャッシュに書き込みます。UFS ディレクトリエントリはディスクに直線的に格納されます。つまり、エントリを見つけるには、各エントリを名前で検索する必要があります。新しいエントリを追加する際は、ディレクトリ全体を検索して、その名前が存在していないことを確認する必要があります。この性能における問題を解決するため、DNLC はディレクトリ全体をメモリー (キャッシュ) に書き込みます。

このリリースにおける DNLC のもう一つの新機能は、検索したが存在しなかったファイルオブジェクトをキャッシュに書き込むことです。これは「ネガティブキャッシング」と呼びます。ファイルが存在するかどうかを繰り返しテストするアプリケーションに便利です。

次の節では、調整可能な新しい DNLC パラメータについて説明します。このようなパラメータは最適に設定されており、通常は変更すべきではありません。


注 -

MAXUINT は符号なし整数の最大値です。


dnlc_dir_enable

説明

大規模ディレクトリキャッシングを有効にする

データ型

符号なし整数

デフォルト値

1 (有効)

範囲

0 (無効)、1 (有効)

変更するとき

ディレクトリキャッシングに現在既存の障害はありません。しかし、問題が発生した場合は、dnlc_dir_enable を 0 に設定し、キャッシングを無効にしてください。

dnlc_dir_min_size

説明

1 つのディレクトリに対してキャッシュできるエントリの最小数

データ型

符号なし整数

デフォルト値

40

範囲

0 から MAXUINT まで

変更するとき

小規模ディレクトリのキャッシングで性能の問題が発生した場合、dnlc_dir_min_size の値を増やしてください。個々のファイルシステムがディレクトリのキャッシングについて独自の制限を持つ場合もあるので注意してください。たとえば、UFS は各エントリが 16 バイトであると仮定し、ディレクトリの最小数を ufs_min_dir_cache バイト (約 1024 エントリ) に制限します。

dnlc_dir_max_size

説明

キャッシュされるまでのディレクトリエントリの最大数

データ型

符号なし整数

デフォルト値

MAXUINT

範囲

0 から MAXUINT まで

変更するとき

大規模ディレクトリで性能の問題が発生した場合、dnlc_dir_max_size の値を減らしてください

Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

Solaris 8 1/01 リリースで『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』が更新されました。semsys:seminfo_semmnu パラメータの情報がマニュアルに追加されています。

詳細は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』を参照してください。