クライアントアプリケーションは、WBEM のオペレーション (CIM クラスの作成や CIM インスタンスの更新など) を実行する必要があるたびに、CIM Object Manager に接続します。アプリケーションは、CIMClient クラスを使用して CIM Object Manager 上のクライアントのインスタンスを作成します。CIMClient クラスには、次の 3 つの引数を指定できます。
ネームスペース
このクライアント接続のために使用するホスト名とネームスペース名が入っている CIMNameSpace オブジェクトです。デフォルトはローカルホスト上の root\cimv2 です。
ユーザー名
有効な Solaris のユーザーアカウント名。CIM Object Manager は、CIM オブジェクトに対してどのタイプのアクセスを許可するかを決定するために、ユーザーのアクセス権を確認します。デフォルトのユーザーアカウントは guest です。guest アカウントでは、デフォルトで、すべてのネームスペースのすべての CIM オブジェクトへの読み取りアクセス権がユーザーに与えられます。
パスワード
ユーザーアカウントのパスワード。パスワードは、ユーザーの Solaris アカウントとして有効なパスワードにする必要があります。デフォルトのパスワードは guest です。
CIM Object Manager への接続が完了すると、その後の CIMClient オペレーションはすべて指定されたネームスペース内で発生します。
次の例は、CIMClient インタフェースを使用して CIM Object Manager に接続する 2 つの方法を示しています。
例 4–2 では、アプリケーションはすべてデフォルト値を使用しています。つまり、デフォルトのユーザーアカウントとパスワード guest を使用し、ローカルホスト (クライアントアプリケーションが動作しているホスト) のデフォルトのネームスペース (root\cimv2) で動作している CIM Object Manager に接続します。
/* パスワード guest を持つユーザー guest として ローカルホスト上の root\cimv2 ネームスペースに接続 */ cc = new CIMClient();
例 4–3 のアプリケーションは、ローカルホストのデフォルトネームスペース (root\cimv2) で動作している CIM Object Manager に接続し、root アカウントの UserPrincipal オブジェクトを作成します。このオブジェクトは、デフォルトネームスペース内のすべての CIM オブジェクトに対する読み取り/書き込みアクセス権を備えています。
{ ... root としてのホスト。2 つの null 文字列によって初期化される ネームスペースオブジェクトを作成する。2 つの null 文字列は デフォルトのホスト (ローカルホスト) とデフォルトの ネームスペース (root\cimiv2) を表す */ CIMNameSpace cns = new CIMNameSpace("", ""); UserPrincipal up = new UserPrincipal("root"); PasswordCredential pc = new PasswordCredential("root_password"); /* root パスワードを使い、root として ネームスペースに接続する */ CIMClient cc = new CIMClient(cns, up, pc"); ... }
例 4–4 では、アプリケーションはホスト happy 上のネームスペース A に接続します。アプリケーションは、初めにこのネームスペースの文字列名 (A) を含むためにネームスペースのインスタンスを作成します。続いて、CIMClient クラスを使用して CIM Object Manager に接続し、ネームスペースオブジェクト、ユーザー名、およびホスト名を渡します。
{ ... /* ホスト happy 上のA (ネームスペース名) に よって初期化されるネームスペースオブジェクトを作成する */ CIMNameSpace cns = new CIMNameSpace("happy", "A"); UserPrincipal up = new UserPrincipal("Mary"); PasswordCredential pc = new PasswordCredential("marys_password"); // このネームスペースにユーザー Mary として接続 cc = new CIMClient(cns, "Mary", "marys_password"); ... }
ユーザーの役割を認証するには、SolarisUserPrincipal と SolarisPasswordCredential クラスを使用する必要があります。次のコード例では、Mary の役割を Admin として認証します。
{ ... CIMNameSpace cns = new CIMNameSpace("happy", "A"); SolarisUserPrincipal sup = new SolarisUserPrincipal("Mary", "Admin"); SolarisPasswordCredential spc = new SolarisPasswordCredential("marys_password", "admins_password"); CIMClient cc = new CIMClient(cns, sup, spc);