Sun WBEM SDK 開発ガイド

WQL の使用

WQL (WBEM Query Language) は、ANSI SQL (ANSI 構造化照会言語、ANSI Structured Query Language) のサブセットです。WQL には、Solaris で WBEM をサポートするためにセマンティクスの変更が加えられています。SQL とは異なり、このリリースの WQL は検索だけが可能な言語です。つまり、WQL では、情報の変更、挿入、削除を行うことはできません。

SQL はデータベースの照会を行うために作成された言語です。SQL では、データは、行列構造からなるテーブル (表) に格納されています。WQL は、CIM データモデルを使って格納されたデータを照会できるようになっています。CIM モデルでは、オブジェクトの情報は CIM クラスや CIM インスタンスに格納されています。CIM インスタンスには、名前、データ型、値からなるプロパティを持つことができます。WQL は CIM オブジェクトモデルを SQL テーブルにマップします。

表 4–2 SQL データと WQL データの対応

SQL 

WQL での表現 

テーブル 

CIM クラス 

行 

CIM インスタンス 

列 

CIM プロパティ 

サポートされる WQL キーワード

Sun WBEM SDK では、Level 1 WBEM SQL がサポートされます。Level 1 WBEM SQL では、join のない簡単な select 操作を行うことができます。次の表に、Sun WBEM SDK でサポートされる WQL キーワードを示します。

表 4–3 サポートされる WQL キーワード

キーワード 

説明 

AND 

2 つのブール式を結合し、両方の式が TRUE なら TRUE を返す。 

FROM 

SELECT 文にリストされているプロパティを持つクラスを指定する。 

NOT 

NULL と共に使用される比較演算子。 

OR 

2 つの条件を結合する。1 つの文に複数の論理演算子が使用されていると、OR 演算子 (論理和演算子) は AND 演算子 (論理積演算子) より後に評価される。 

SELECT 

照会で使用されるプロパティを指定する。 

WHERE 

照会のスコープを狭める。 

WQL の演算子

次の表に、SELECT 文の WHERE 節で使用できる標準の WQL 演算子を示します。

表 4–4 WQL 演算子

演算子 

説明 

等しい 

より小さい 

より大きい 

<= 

以下 

>= 

以上 

<> 

等しくない