Solaris 8 のインストール (追補)

第 3 章 Solaris 8 Update リリースへのアップグレード

この章では、Solaris 8 Update リリースへのアップグレードに関する追加情報を記載します。完全なアップグレード手順は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』、『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』、または『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

WBEM のデータ消失防止のための WBEM レポジトリのアップグレード

所有するすべてのカスタム MOF (Managed Object Format) 形式のデータを、Solaris WBEM Services 2.4 で使用されている新しい Reliable Log レポジトリ形式に更新する必要があります。Solaris 8 4/01 オペレーティング環境にアップグレードする前に、JavaSpacesTM ソフトウェアの保存が必要な場合もあります。アップグレード後は、アップグレード前にシステムで動作していたオペレーティング環境に応じて、データの変換またはマージを行う必要があります。

データの変換またはマージを行わなかった場合、データが失われてしまいます。

アップグレードの前に JavaSpaces ソフトウェアを保存すべきかどうか、およびアップグレード後に WBEM データの変換またはマージを行うべきかどうかを決定するには、次の表を使用してください。

表 3-1 WBEM データの変換またはマージ

Solaris 8 4/01 へアップグレードする前のオペレーティング環境 

アップグレード前に JavaSpaces ソフトウェアを保存する必要があるか 

変換、マージのどちらを行うか 

Solaris 8 (Solaris WBEM Services 2.0)  

Solaris 8 6/00 (WBEM Services 2.1)  

Solaris 8 10/00 (WBEM Services 2.2)  

あり 

JavaSpaces ソフトウェアの保存方法の詳細は、『Solaris 8 4/01 ご使用にあたって (SPARC 版または Intel 版』を参照してください。

変換 

手順の詳細は、「WBEM データを変換するには」を参照してください。

 
 

Solaris 8 1/01 (WBEM Services 2.3) 

なし 

マージ 

手順の詳細は、「WBEM データをマージするには」を参照してください。

WBEM データを変換するには

Solaris 8 4/01 オペレーティング環境へのアップグレード後、WBEM データを変換する場合は、次の手順に従ってください。

  1. スーパーユーザーになり、CIM (Common Information Model) Object Manager を停止します。


    # /etc/init.d/init.wbem stop
    

    注意 - 注意 -

    wbemconfig convert コマンドを実行する前に CIM Object Manager を停止しなかった場合、ユーザーのデータが破壊される可能性があります。


  2. アップグレードの前に保存した JavaSpaces ソフトウェアを復元します。


    # mv /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar.2
    # mv /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar.tmp /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar
    
  3. 現在インストールされている JDKTM ソフトウェアとは別の場所に、Solaris 8 4/01 オペレーティング環境をインストールする前にインストールされていた JDK バージョンをインストールします。JDK ソフトウェアは http://java.sun.com/products/ からダウンロードすることができます。

  4. シンボリックリンクを、/usr/java から、Solaris 8 4/01 オペレーティング環境をインストールする前にインストールされていた JDK バージョンの場所へ変更します。たとえば、Solaris_JDK_1.2.1_04c を /old_sdk にインストールした場合は、次のようにします。


    # rm /usr/java
    # ln -s /old_sdk/Solaris_JDK_1.2.1_04c /usr/java
    
  5. JavaSpaces データを Reliable Log 形式へ変換します。


    # /usr/sadm/lib/wbem/wbemconfig convert
    
  6. Solaris 8 4/01 オペレーティング環境に含まれている outrigger.jar ファイルを復元します。


    # mv /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar.2 /usr/sadm/lib/wbem/outrigger.jar
    
  7. シンボリックリンクを、/usr/java から、Solaris 8 4/01 オペレーティング環境に含まれている JDK ソフトウェアのロケーションへ変更します。たとえば、次のようにします。


    # rm /usr/java
    # ln -s /usr/java1.2 /usr/java
    
  8. CIM Object Manager を停止します。


    # /etc/init.d/init.wbem stop
    
  9. CIM Object Manager を起動します。


    # /etc/init.d/init.wbem start
    

WBEM データをマージするには

Solaris 8 4/01 オペレーティング環境へのアップグレード後、WBEM データをマージする場合は、以下の手順に従ってください。

  1. スーパーユーザーになり、CIM (Common Information Model) Object Manager を停止します。


    # /etc/init.d/init.wbem stop
    


    注意 - 注意 -

    wbemconfig convert コマンドを実行する前に CIM Object Manager を停止しないと、データが破壊される場合があります。


  2. Solaris 8 1/01 Reliable Log データを Solaris 8 4/01 Reliable Log にマージします。


    # /usr/sadm/lib/wbem/wbemconfig convert
    

Solaris 8 オペレーティング環境からのアップグレード

すでに Solaris 8 オペレーティング環境を実行していて、システムに個別のパッチがインストールされている場合、Solaris 8 Update リリースへのアップグレードを行うと、パッチは次のようになります。

削除されるパッチを確認するには、次の節で説明するようにパッチアナライザを使用してください。

パッチの解析

パッチアナライザはシステムを解析し、Solaris 8 Update リリースへのアップグレードを行うことで削除されるパッチがどれであるかを判断します。パッチアナライザは次のような方法で使用できます。

Solaris Web Start 3.0 のアップグレードによるパッチアナライザの使用

この節は、『Solaris 8 インストールガイド (SPARC 版)』の「システムのアップグレード」、および『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』の「システムのアップグレード」の情報を補足するものです。

Solaris Web Start 3.0 インストールでは、パッチアナライザの使用によりシステム上のパッチを解析するオプションが提供されます。「アップグレードインストール」を選択すると、「パッチを解析」画面が表示されます。

  1. 「パッチを解析」画面で「はい」を選択し、「次へ」ボタンをクリックします。

    パッチアナライザがシステム上のパッチを解析します。

    「パッチの解析 - 一覧」画面に、削除、ダウングレード、置き換えられ削除されるパッチの個々の合計数が表示されます。

  2. 削除、ダウングレード、置き換えられ削除される個々のパッチを参照するには、「詳細」ボタンをクリックします。

  3. パッチの置換や削除を行うかどうかを決定します。

    • Solaris 8 Update リリースによるパッチの置換や削除を行う場合は、「次へ」ボタンをクリックしてアップグレードを続けます。

    • Solaris 8 Update リリースによるパッチの置換や削除を行わない場合は、「終了」ボタンをクリックしてアップグレードを中止します。Solaris 8 Maintenance Update および『Solaris 8 Maintenance Update ご使用にあたって』を使用して、Solaris 8 システムに必要なパッチを個別にインストールすることもできます。