SunVTS 4.3 テストリファレンスマニュアル

第 58 章 テープドライブテスト (tapetest)

tapetest の同期入出力テストは、指定された数のブロック (SCSI テープドライブの場合はテープの最後) にパターンを書き込んでからテープを巻き戻し、書き込んだデータを読み取って照合します。tapetest の非同期入出力テストは、最高 5 つの一連の非同期読み取り・書き込み要求をテープドライブに発行してテープに書き込みを行い、データを読み取って照合します。この章、および "method" フィールドで使用する「非同期」および「同期」という用語は、scsi におけるメッセージ交換での同じ名前の用語とは関係がありません。tapetest のファイルテストは、テープに 4 つのファイルを書き込んで同じファイルを読み取り、データを照合します。テープライブラリのテストでは、ライブラリ内のすべてのテープをテストし終えた後にのみ、パスカウントが増分されます。

tapetest テストの条件

システムにテープドライブがある場合は、SunVTS エクササイザを起動する前に、未使用の書き込み可能なテープ (スクラッチテープ) を読み込みます。読み込まれていない場合は、tapetest のオプションメニューに drive type:unknown と表示されます。

tapetest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.3 ユーザーマニュアル』を参照してください。

tapetest は、4 mm、8 mm、DLT、1/4 インチカートリッジ、フロントロード 1/2 インチテープドライブのテストをサポートしています。選択できるテストオプションは、テープデバイスごとに異なります。一部のデバイスのオプションダイアログボックスの例を図 58-1 に示します。

非同期入出力サブテストは、Solaris テープドライバの非同期読み取り・書き込み機能を使用して、テープドライブをテストします。読み取り専用モードでは、それぞれにランダムなサイズとオフセットを持つ非同期読み取りパケットを、最高 4 つテープドライブに送信し、それに関連する入出力処理がすべて完了するのを待ってから、次回分のパケットの送信に進みます。このプロセスは、テストする領域全体のテストが終えるまで繰り返されます。読み取り・書き込みモードでは、読み取りパケットを 4 つ発行するたびに書き込みパケットを 1 つ発行し、書き込みのスポット検査が行われるようにします。このときテストが正しく行われるよう、テープのテスト対象部分にまず書き込みが行われます。このテストは、Solaris 2.6、Solaris 7、Solaris 8 オペレーティング環境、およびそれらの互換リリースでのみ実行することができます。

図 58-1 tapetest のテストパラメタオプションダイアログボックス (4 mm テープドライブ)

Graphic


注 -

このテストは、無効にしてから停止するまでに時間がかかることがあります。



注 -

デフォルト以外のオプションを選択すると、実行時間が増加します。



注 -

1/4 インチ 、1/2 インチ、DLT、8 mm テープドライブ用のオプションダイアログボックスは、図 58-1 とは異なります。


表 58-1 tapetest のオプション

オプション 

説明 

Type 

通常のテープドライブまたはテープライブラリ (スタッカ) です。 

# of Tapes 

テープライブラリ内のテープの数です。tapetest は、ライブラリパス内のすべてのテープの後に、単一のテープライブラリパスだけを登録します。

Density 

大部分のテープドライブで以下のいずれかを選択することができます。 

  • Low: l テープデバイスをテストします。

  • Medium: m テープデバイスをテストします。

  • Compression: c テープデバイスをテストします。

  • All: lmc テープデバイスをテストします。

 

1/2 インチテープドライブに対しては、800、1600、6250 BPI (1 インチあたりのブロック数) のいずれかを選択することができます。 

一部の QIC ドライブに対しては、QIC-11 (1 バイトブロック ID) モード、QIC-24 (4 バイトブロック ID) モード、またはその両方を選択してください。 

注 - DLT ドライブについては、l および m の設定ではともに圧縮なしが使用されます。tapetest では、フロントパネルに示された DLT 容量の変更はサポートされていません。 

Mode 

書き込み・読み取りモードを有効にすると、最初にテープに書き込みを行ってから読み戻して比較します。読み取りだけのモードでは、テストは、テープに正しく書き込まれていると見なし、読み取りと比較だけを行います。このモードは、ヘッド位置がずれていないかどうかを調べるときに有効です。 

注 - 現在設定されているのと同じテストパラメタを使用して、テープが事前に tapetest で書き込まれていない状態で、読み取り専用パスを試みると、「重大な読み取り障害」が発生します。 

Length 

以下のいずれかを選択し、テストするテープの長さを指定します。 

  • EOT: (デフォルト) テープ全体をテストします。

  • Long: SCSI テープは 70,000 ブロックをテストします。

  • Short: 先頭の 1,000 ブロックだけがテストされます。

  • Specified: テストするブロック数を、# of blocks フィールドに入力する必要があります。

# of Blocks 

Length オプションで Specified を選択した場合は、このフィールドにテストするブロック数を入力する必要があります。 

Blocksize 

ブロックサイズを指定します。このオプションは、Tangberg QIC テープドライブでのみ使用することができます。512 バイト (転送サイズに制限がある旧式のテープ媒体用) または 64 K バイト (現行の高密度テープ媒体用) のいずれかの値を使用することができます。 

注 1 - このオプションは、コマンド行インタフェースモードでだけ使用できます。 

注 2 - パッチ 110278-01 または 110211-01 が適用されると、このパラメタの設定に応じて、DLT は 512 バイトブロックまたは 65536 バイトブロックを書き込みます。 

File Test 

テープファイルのテスト順序は、以下のとおりです。 

 

  1. 3 つのファイルを書き込みます。

  2. 巻き戻します。

  3. 先頭ファイルの一部を読み取ります。

  4. 2 番目のファイルの先頭まで順方向に空白を挿入します。

  5. 2 番目のファイルを読み取ります。

  6. 3 番目のファイルの先頭まで順方向に空白を挿入します。

  7. 3 番目のファイルの終わりまで読み取りを試みてから (SCSI テープのみ)、2 番目のファイルの先頭まで戻り、読み取りを試みます。

Retension 

有効にすると、テープの巻き具合いを均等にします。 

Media Test Method 

Sync I/O - Length で指定したブロック数の読み取り・書き込みをします。 

Async I/O - テープドライブに対して 4 つの非同期読み取り要求を行います。テストは要求が完了した後も継続されます。 

 

注 - Tangberg QIC テープドライブのテスト中は、Async I/O テストは読み取り専用に制限されます。これは、非同期の動作が他のテープドライブと異なるためです。 

注 - このオプションは、同期データ転送要求 SCSI メッセージとは関係がありません。読み取りと書き込みの数は相互に同期しないので、本来の意味で同期か非同期かというだけです。SDTR メッセージは呼び出されません。 

tapetest のテストモード

tapetest は、3 つのテストモードをすべてサポートしています。テープデバイスに対しては、選択されたモードに従って、異なるテスト方法が使用されます。

表 58-2 tapetest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

○ 

ドライブを開くことができるかどうか、また、ドライブの種類を判定することができるかどうかを調べます。両方の検査に成功するか、ドライブがビジーの場合は、テストは成功です。ビジー以外の何らかの理由でドライブを開くことができない場合は、テストは失敗になります。 

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

デバイスの状態を調べてテープを巻き戻し、データを消去してテープの巻き具合いを均等にします。デバイスがカートリッジテープの場合は、nblk または eot (デフォルト) にパターンを書き込んでテープを巻き戻し、読み取りを行ってパターンの比較を行います。

tapetest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/tapetest 標準引数 -o dev=デバイス名,s=ブロック数, d=密度,m=モード,l=長さ,method=method,ft=enables|disables, ret=enables|disables, dat=DATの種類,8mm=8mm の種類,num=マガジンサイズ,blocksize=ブロックサイズ

表 58-3 tapetest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするテープドライブのデバイス名を指定します (必須)。

s=ブロック数

テストするブロック数を指定します。 

d=密度

使用するテープの記録密度を指定します。 

m=モード

write_read または read_only のテストを有効にします。 

l=長さ

テストする長さを指定します。EOT、Specified、Long、Short のうちの 1 つを指定します。 

method=方法

操作のテスト方法として、SyncI/O または AsyncI/O を指定します。 

注 - このオプションは、SCSI メッセージ "同期データ転送要求" を呼び出しません。本来の意味で同期か非同期かというだけです。 

ft=enables/disables

ファイルテストを有効または無効にします。 

ret=enables/disables

テープの巻き具合いの均等化を、有効または無効にします。 

dat=DAT 種類

DAT (デジタルオーディオテープ) ドライブをテストする場合は、DAT (通常の DAT ドライブ) または DAT_Stacker (DAT スタッカ) を指定します。

8mm=8mm 種類

8 mm テープドライブをテストする場合は、8 mm (通常の 8 mm テープ)、または 8mm_Library (8 mm テープライブラリ) を指定します。

num=マガジンサイズ

テープライブラリをテストする場合は、マガジンサイズを指定します。 

blocksize=ブロックサイズ

このオプションは Tandberg QIC テープドライブおよび DLT ドライブでのみ使用できます。使用する転送サイズ (512 バイトまたは 64 K バイト)を指定します。ドライブで旧式のテープ媒体を使用する場合は、512 バイトを選択します。DLT は、512バイトと 65536 バイトモードをサポートします。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。