Solaris DHCP サーバーが使用するすべてのデータは、データストアと呼ばれるプレーンテキストファイル、NIS+ テーブル、バイナリ形式ファイルに格納されます。管理者は、DHCP サービスを構成するときに、どの形式のデータストアを使用するかを選択します。データストアの形式の違いについては、データストアの選択を参照してください。データストアのフォーマットは、DHCP マネージャまたは dhcpconfig コマンドを使って変換できます。
さらに、個々のサーバーで異なるデータストアフォーマットを使用している場合でも、それぞれのデータストアで動作するエクスポートユーティリティやインポートユーティリティを使用すれば、DHCP サーバーのデータストアにあるデータを別のデータストアに移動することができます。 DHCP マネージャや dhcpconfig コマンドを使用して、データストアの内容全体またはその一部をエクスポートまたはインポートすることができます。
Solaris DHCP (サーバーツールと管理ツール) とデータベース間のインタフェースになる独自のコードモジュールを開発する場合には、DHCP データ領域のデータベースやファイルのフォーマットはどのようなものでもかまいません。詳細は、『Solaris DHCP サービス開発ガイド』を参照してください。
Solaris DHCP データストアには、次に示す 2 種類のテーブルがあります。このテーブルの内容を表示、管理するには、DHCP マネージャまたはコマンド行ユーティリティを使用します。
dhcptab テーブル – クライアントに提供することが可能な構成情報が入っています。
DHCP ネットワークテーブル – テーブル名が示すネットワーク上にある DHCP クライアントや BOOTP クライアントの情報が入っています。たとえば、ネットワーク 134.20.0.0 のテーブル名には 134_20_0_0 が含まれています。
dhcptab テーブルには、クライアントが DHCP サーバーから取得できるすべてのデータが入っています。DHCP サーバーは、起動されるたびに dhcptab テーブルをスキャンします。dhcptab のファイル名は、使用されるデータストアによって異なります。たとえば、NIS+ データストア SUNWnisplus によって作成された dhcptab は SUNWnisplus1_dhcptab になります。
DHCP プロトコルは、クライアントに渡すことができる情報の標準的な項目を多数定義しています。これらの項目は、パラメータ、シンボル、またはオプションと呼ばれます。DHCP プロトコルでは、オプションは数値コードとテキストラベルで定義されており、値は与えられていません。例として、一般的に使用される標準オプションの一部を示します。
表 1–1 DHCP 標準オプションの例
コード |
ラベル |
説明 |
---|---|---|
1 |
Subnet |
サブネットマスク IP アドレス |
3 |
Router |
ルーターの IP アドレス |
6 |
DNSserv |
DNS サーバーの IP アドレス |
12 |
Hostname |
クライアントホスト名を表すテキスト文字列 |
15 |
DNSdmain |
DNS ドメイン名 |
オプションの中には、管理者がサーバーの構成中に情報を提供すると、自動的に値が割り当てられるものがあります。また、管理者は後で、他のオプションに値を明示的に割り当てることもできます。オプションとその値はクライアントに渡され、構成情報を形成します。たとえば、オプションと値のペアである DNSdmain=Georgia.Peach.COM は、クライアントの DNS ドメイン名を Georgia.Peach.COM に設定します。
オプションは、マクロとして知られているコンテナ内で他のオプションと共にグループ化することができ、これによりクライアントへ容易に情報を渡すことができます。マクロの中には、サーバー構成時に自動的に作成され、構成時に値が割り当てられるオプションを含むものがあります。また、マクロには他のマクロを含めることもできます。
dhcptab ファイルのフォーマットについては、dhcptab(4) のマニュアルページを参照してください。 DHCP マネージャでは、「オプション (Options)」タブや「マクロ (Macros)」タブに示されるすべての情報は dhcptab ファイルから得られます。オプションについては オプションについてを、マクロについては マクロについて をそれぞれ参照してください。
dhcptab テーブルをテキストエディタで編集しないでください。オプションやマクロの作成、削除、変更には、dhtadm コマンドまたは DHCP マネージャを使用する必要があります。
DHCP ネットワークテーブルは、クライアントの識別子を IP アドレスと、各アドレスに関連した構成パラメータに対応付けます。ネットワークテーブルのフォーマットについては、dhcp_network(4) のマニュアルページを参照してください。 DHCP マネージャでは、「アドレス (Addresses)」タブに示されるすべての情報はネットワークテーブルから得られます。