SunVTS 4.6 テストリファレンスマニュアル

第 5 章 オーディオテスト (audiotest)

audiotest は、オーディオサブシステムのハードウェアとソフトウェア部品を検査します。いくつかの異なったサンのオーディオ処理系があり、それぞれにサブテストが用意されています。

このテストは、排他的アクセスデバイス (1 度に 1 つのプロセスまたはアプリケーションしか使用できないデバイス)、または Solaris 8 オペレーティング環境で使用可能なソフトウェアミキサー機能をサポートする最新のオーディオデバイスを使用して行うことができます。


注 -

audiotest は、ランタイム時にミキサーを自動的に無効にします。オンラインモードがサポートされていないため、すべてのオーディオアプリケーションをシャットダウンしてから audiotest を実行してください。ミキサーは、テストを終了した後、有効に戻されます。


このテストはスケーラブルテストではありません。

以下のサブテストが使用できるかどうかは、テストするオーディオ処理系に依存します。

audiotest のサブテスト

表 5-1 audiotest のサブテスト

サブテスト 

説明 

録音・再生テスト(Record/Play test) 

このテストは、1 秒間のデータの再生と録音をします。データ検査は行われません。このテストは、すべてのオーディオ処理系に対して実行されます。 

クリスタルテスト(Crystal test) 

このテストは、サンプリングレートクロックを生成するクリスタル (水晶発振器) の精度を測定します。このテストでは、1 秒の信号を再生し、その信号の再生に要した実際の時間を測定します。この測定は、8 つの標準サンプリングレートごとに行われます。このテストを利用できるのは、dbri(7)audiocs(7) のオーディオ処理系です。

ループバックテスト(Loopback tests) 

このテストは、オーディオポートの機能と信号品質を検査します。既知の信号の再生と録音を行います。録音信号に対しては、さまざまなサンプリングレート、復号化、精度、チャンネルでループ利得と S/N 比に加えて、ひずみが解析されます。 

 

テスト可能なオーディオポートは、テストするオーディオ処理系によって異なります。audiocs(7) 処理系では、ヘッドホンとライン出力、マイク、ライン入力に対してループバックテストを行うことができます。dbri(7) スピーカーボックス処理系では、行えるループバックテストは、これより少なくなります。audioamd(7) 処理系に、ループバックテストを行うことはできません。大部分のテストでは、ステレオループバックケーブルが必要です。

 

注 - マイクループバックテストは、特別なハードウェアを必要とし、製造センターおよび特別なテスト施設で使用されます。必要とされるハードウェアがない場合は、マイクループバックテストを実行しないでください。 

制御テスト (Controls test) 

このテストは、Sun speakerbox にある 3 つの制御ボタンを検査します。このテストでは、音楽の再生中に、Volume Down、Volume Up、Mute の各ボタンを一定の順序で押します。30 秒の間にボタンを押さないと、テストは失敗します。このテストは、dbri(7)/ スピーカーボックス処理系に対してのみ行うことができます。

オーディオテスト(Audio test) 

このテストは、30 秒の音楽ファイルをスピーカーまたはヘッドホンから再生します。このテストでは、ユーザーが実際に音を聞いて問題の有無を判断する必要があります。音が聞こえないか、ひどく歪んでいる場合は問題があります。このテストは、すべてのオーディオ処理系に対して行うことができます。 

audiotest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.6 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 5-1 audiotest テストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic


注 -

SunVTS のプローブユーティリティは、起動時に、存在しているオーディオ処理系を判断し、audiotest のオプションダイアログボックスを適切に調整します。実際に表示されるダイアログボックスが以下に示す画面と異なる場合がありますが、これらのオプションのすべて、または一部が含まれています。



注 -

内部ループバックは、オーディオジャックが未使用の (何も接続されてない) 場合にのみ有効です。


一部のオプションは、コマンド行でのみ選択することができます。audiotest のコマンド行構文」のコマンド行オプションの説明を参照してください。

表 5-2 audiotest のオプション

オプション 

説明 

Audio Output 

音楽再生テストの出力ポートを選択します。 

Volume 

音楽再生テストの音量を設定します。 

Audio test 

音楽再生テストを有効または無効にします。デフォルトでは有効になっています。 

Loopback test 

ループバックテストを有効または無効にします。外部ループバックテストを実行するには、選択するポート間をループバックケーブルで接続する必要があります。このテストは、デフォルトでは無効になっています。 

Loopback type 

実行するループバックテストのタイプを選択します。 

Crystal test 

クリスタルテストを有効または無効にします。このテストは、デフォルトでは無効になっています。 

Controls test 

スピーカーボックスの制御テストを有効または無効にします。これは対話形式のテストであり、テスト中にスピーカーボックスの制御ボタンを押すように求められます。このテストは、デフォルトでは無効になっています。 


注 -

他の SunVTS テストの実行中にクリスタルテストを実行しないでください。クリスタルテストはタイミングに依存するため、システムがビジー状態になっていると、時間切れエラーによってテストが失敗します。


audiotest のテストモード

表 5-3 audiotest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

○ 

オープン/クローズのみをテストします。データは転送しません。デバイスを正常にオープン/クローズできた場合、このテストはパスを返します。ビジーが原因でデバイスをオープンできなかった場合は、他のプロセスにデバイスを正常に接続できたものとして、このテストには通ったとみなされます。 

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

録音/再生のテストに加え、任意のテストを選択して実行できます。デバイスがビジーの場合は、テストは失敗したとみなされます。 

audiotest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/audiotest 標準引数 -o dev=/dev/sound/ユニット番号,I=/dev/入出力制御デバイス,M,L,Q,S,T=ループバックテストタイプ, X,E,LE,CD,CDD=CD_デバイス名,CDT=トラック番号,CDG=再生利得,CDL=再生時間,W,MF=ファイル名,TF=ファイル名

表 5-4 audiotest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=/dev/オーディオ デバイス

テストするオーディオデバイスを指定します。デフォルトは dev=/dev/audio です。

I=/dev/入出力制御 デバイス

テストするオーディオ入出力制御デバイスを指定します。デフォルトは /dev/audioctl です。

M

音楽再生テストを有効にします。 

L

ループバックテストを有効にします。 

Q

音質テストを有効にします。終了後に特別な状態メッセージが表示されること以外は、L オプションと同じ働きをします。 

S

スピーカーボックスの制御テストを有効にします。 

T=ループバックテスト タイプ

ループバックテストのタイプを指定します。以下の値から選択することができ、デフォルトは 1 です。 

  • 0-コーデック内部ループバック (CS4231 オーディオのみ)

  • 1-ライン入力/ライン出力

  • 2- ヘッドホン/ライン入力

  • 3-ヘッドホン/マイク

  • 4-スピーカー/CD 入力

  • I1-内蔵ライン入力/ライン出力

  • I2-内蔵スピーカー/マイク

  • I3-内蔵ヘッドホン/AUX1

  • I4-内部スピーカー/AUX1

  • I5-ヘッドホン/マイク

 

注 - テストタイプ 0 は、CS4231 オーディオが実装されているシステムで常にデフォルトで実行されます。テストタイプ 3、4 は、特別なハードウェアを必要とし、製造センターや特別なテスト施設で使用されます。必要とされるハードウェアがない場合は、これらのテストを実行しないでください。 

X

オーディオクリスタルテストを有効にします。 

E

エラーが発生してもテストを継続します。 

LE

エラー時にループします。連続ループで信号データが再生されます。 

CD

cdtest を有効にします。これは、CD-ROM ドライブを内蔵しているシステム用です。このテストの実行前に、音楽トラックのある CD-ROM をセットしておきます。 

CDD=CD デバイス名

CD-ROM ドライブの raw デバイス名を指定します。デフォルトは CDD=/dev/rdsk/c0t6d0s0 です。

CDT=番号

再生する CD-ROM の曲番号を指定します。デフォルトでは、ディスク上の 1 曲目を再生します。 

CDG=再生利得

CD 再生テストの再生利得 (0〜255) を指定します。デフォルトは 120 です。 

CDL=再生時間

CD 再生テストを実行する秒数を指定します。デフォルトは 30 秒です。 

W

ループバックテスト中に警告メッセージを表示します。 

MF=ファイル名

オプションの音楽ファイルを選択します。 

TF=ファイル名

オプションの許容誤差ファイルを指定します。 

 

注 - 許容誤差ファイルは、製造センターや特別なテスト施設で使用します。許容誤差ファイルの形式の知識がない場合は、このオプションは使用しないでください。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。