SunVTS 4.6 テストリファレンスマニュアル

第 62 章 Sun Fire Link Interconnect テスト (wrsmtest)

wrsmtest は、クラスタのネットワークハードウェアをチェックして、Sun FireTM Link Interconnect の機能を検証するテストです。


注 -

このテストが役立つのは、クラスタを構成している環境だけです。


wrsmtest は、ICMP (Internet Control Message Protocol) を使って、クラスタのノード間接続をテストします。ICMP は DLPI (Data Link Protocol Interface) に基づく通信プロトコルです。

wrsmtest は、最初にテストで使用するクラスタノード (ターゲットホスト) を特定します。ターゲットホストは、wrsmtest のテストパラメタメニューで明示的に指定できます。この指定が省略された場合、wrsmtest は自身が属するクラスタのネットワークから ICMP ブロードキャストを送信し、ターゲットホストを自動検出します。必要なターゲットが見つからないときには、wrsmtest は RPC ポートマッパーデーモンに RPC ブロードキャストを送信します。

クラスタノード (ターゲット) の検出後、wrsmtest は次の各サブテストを実行します。


注 -

wrsmtest はスケーラブルなテストであり、 WIB カード 1 枚あたり 2 つまでインスタンスを実行できます。



注 -

wrsmtest を実行できるのは、64 ビットのオペレーティング環境だけです。


wrsmtest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.6 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 62-1 wrsmtest の テストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic

表 62-1 wrsmtest のオプション

オプション 

説明 

Target Host 

テストのターゲットとなるクラスタノードを 1 台以上指定します。ターゲットホストは、ホスト名とインターネットアドレスのどちらでも指定できます。ターゲットホストの指定を省略すると、必要なホストがブロードキャストによって自動検出されます。デフォルトでは、このフィールドは空です。 

Test Type 

実行するサブテストを指定します。 

  • ランダムテスト (Random Test) - 任意長のランダムデータを含む 256 個のパケットを送出します。

  • 増分テスト (Incremental Test) - 増分データを使用して最小から最大までのパケットサイズでパケットを送出します。

  • パターンテスト (Pattern Test) - 最大長のパケット 256 個を送信します。各パケットには 1 つのテストパターンが含まれており、すべてのバイトパターン (0 〜 0xFF) が使用されます。

デフォルトでは、すべてのサブテストが選択されます。 

Number of Packets 

テストに使用するパケットの数を指定します。デフォルトは 256 個です。 

Receive Timeout 

受信がタイムアウトするまでの時間を秒単位で指定します。0 〜 600 秒の範囲内の値を指定してください。デフォルトは 120 秒です。 

Number of Retries 

エラーフラグを立てるまでの再試行回数を指定します。0 〜 128 の範囲内の値を指定してください。デフォルトは 3 回です。 

Print Warning 

警告エラー (retry on timeout など) を表示する場合は、有効にします。デフォルトでは無効になっています。

Link Max Error Limit 

テストに合格するためのリンクエラーの上限数。テスト中に通知されたリンクエラー数がこの上限を超過すると、テスト対象のデバイスは不合格と判定され、エラーメッセージが通知されます。 

Link Average Error Limit 

テストに合格するための平均リンクエラーの上限数。平均リンクエラーとは、1 時間あたりのリンクエラー数の平均値です。テスト中に通知された平均リンクエラーがこの上限を超過すると、テスト対象のデバイスは不合格と判定され、エラーメッセージが通知されます。デフォルトの平均リンクエラーは 40 件です。 

wrsmtest のテストモード

wrsmtest では、接続テストモードと機能テストモードがサポートされています。選択するテストモードによって、クラスタ相互接続デバイスに実行されるテストの方式も異なります。

表 62-2 wrsmtest のテストモード

テストモード 

サポート 

説明 

接続テスト 

○ 

wrsmtest は、ターゲットデバイスが接続されているかどうかを調べます。DLPI を通じて wrsmd のインタフェースを検索し、指定されたデバイス名の有無を調べます。その結果、ターゲットデバイスが接続されていなければテストは失敗し、接続されている場合には wrsmtest が次のメッセージを戻します。 device is connected.

機能テスト 

(オフライン) 

○ 

wrsmtest によって、3 つのテスト (ランダム、増分、パターン) が順次実行されます。このモードでは、オプションを指定することによって、wrsmtest に非常に負荷の大きいテストを実行させることもできます。

wrsmtest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/wrsmtest 標準引数 -o dev=インタフェース, test=タイプ,packets=n,pattern=16進数,delay=秒数,timeout=秒数, retry=n,warn= E|D,maxerr=n,avgerr=n

表 62-3 wrsmtest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=インタフェース

クラスタネットワークのインタフェース名を指定します。デフォルト値は wrsmd0 (DLPI クラスタネットワークの場合) です。

test=タイプ

実行するサブテスト。randomincrementpattern のいずれかを指定します。+ 記号で連結し、複数のサブテストを指定することも可能です。 デフォルト値は random+increment+pattern です。

packets=n

ランダムまたはパターンのパケット数を指定します。デフォルトは 256 個です。

pattern=16進数

データパターンを 16 進形式で指定します。デフォルト値は 00xff のすべてのパターンです。

delay=秒数

連続するサブテスト間の実行間隔を秒単位で指定します。デフォルトは 30 秒です。

timeout=秒数

タイムアウトまでの待機時間を秒単位で指定します。デフォルトは 1 秒です。

retry=n

テストのタイムアウト後に再試行する回数を指定します。デフォルトは 3 回です。 

warn=E|D

有効 (E) にすると、警告メッセージが出力されます。 

maxerr=n

テストに合格するためのリンクエラーの上限数。テスト中に通知されたリンクエラー数がこの上限を超過すると、テスト対象のデバイスは不合格と判定され、エラーメッセージが通知されます。 

avgerr=n

テストに合格するための平均リンクエラーの上限数。平均リンクエラーとは、1 時間あたりのリンクエラー数の平均値です。テスト中に通知された平均リンクエラーがこの上限を超過すると、テスト対象のデバイスは不合格と判定され、エラーメッセージが通知されます。デフォルトの平均リンクエラーは 40 件です。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。