Solaris 8 で新しく提供される日本語入力システム ATOK12 に関する、注意事項とバグ情報について説明します。
ATOK12 は、CDE (共通デスクトップ環境) での使用のみがサポートされています。OpenWindows 環境での使用はサポートされていません。OpenWindows 環境では、Wnn6、ATOK8、または cs00 を使用してください。
「Caps Lock」、「Num Lock」、「かな」のような修飾キーをロックしている場合、ATOK パレット上でメニューを表示することができません。
回避方法 : 修飾キーのロックを解除してからメニューを表示してください。環境設定など ATOK パレット上にボタンのある機能については、ボタンを使用することによって、修飾キーをロックしたままでも起動できます。
ATOK12 の一部として提供される以下の 2 つのコマンド行ユーティリティのマニュアルページが提供されていません。
atok12migs(1)
atok12mngtool(1M)
回避方法 :
atok12migs(1) について
『日本語入力システムの概要とセットアップ』の「ユーザー登録単語および環境ファイルの移行」の中の「ATOK12 への移行」を参照してください。ただし、補足として以下の点に注意してください。
出力先の ATOK12 スタイルファイルがすでに存在する場合でも、その内容は参照されず、変換結果により上書きされます。
オプション -k または -r を指定した場合、変換対象とならない方の環境 (-k の場合はローマ字、-r の場合は機能のキー割り当て) については ATOK12 のデフォルトの内容になります。
atok12mngtool(1M) について
以下の記述を参照してください。
atok12mngtool(1M) は、ATOK12 のユーザー情報を参照・変更する場合に使用します。このユーティリティは同時に 1 つしか起動できません。
起動方法 :スーパーユーザーになり、以下のコマンド行を使って起動します。
# /usr/sbin/atok12mngtool |
機能 :atok12mngtool(1M) が起動されると、プロンプト文字列が出力されます。ここで内部コマンドを指定することができます。内部コマンドには 4 種類あります。
ユーザー名を指定して登録します。ATOK12 のデフォルトの設定 (今回のリリースでは、この設定だけがサポートされます) では、登録されていないユーザーが ATOK12 を使おうとした時点で自動的に登録が行われるので、この機能を使用して事前にユーザーを追加する必要はありません。
ユーザーを登録から削除します。
ATOK12 を使用するために登録されているユーザーの名前を出力します。全ユーザーの情報を処理してからユーザー名の出力を開始しますが、ユーザー名の出力が始まるまでの間、処理した数 100 ユーザーごとに文字「+」を出力します。
この管理ツールを終了します。
辞書ユーティリティへの入力に使用する単語ファイルは、日本語 EUC (eucJP) または Unicode (UCS-2) で記述してください。辞書ユーティリティから出力される単語ファイルのコードセットは、「Unicode で出力する」を選択した場合は Unicode (UCS-2)、「Unicode で出力する」を選択しなかった場合は日本語 EUC (eucJP) となります。
単語ファイルの内容を表示したり編集したりする場合は、ロケールに応じて iconv コマンドでコードセットを変換してください。
辞書ユーティリティの単語一括処理機能を使用した単語登録で、ユーザー定義文字を正しく登録できません。Solaris 外字ツール (sdtudctool) から出力された単語ファイルを使用した場合も、この問題が発生します。上記の操作を行なった場合、登録操作は成功しますが、実際に登録される内容は 1 個または複数個のげた記号 (〓) になります。
回避方法 : iconv コマンドを使って、単語ファイルのコードセットを日本語 EUC から Unicode (UCS-2) に変換して使用してください。
例 : 日本語 EUC で作成された単語ファイル名が atok12udc.txt の場合
% iconv -f eucJP -t UTF-8 atok12udc.txt | iconv -f UTF-8 -t UCS-2 > atok12udc.ucs2.txt |
変換後のファイルの名前 atok12udc.ucs2.txt を、辞書ユーティリティ上で単語ファイル名として指定します。この回避方法を使用した場合でも辞書ユーティリティ上では単語はげた記号 (〓) として表示されますが、辞書への登録は正しく行われます。変換操作時の未確定文字列としての表示や候補表示では正しい文字が表示され、確定も正しく行われます。
コード入力と記号入力でコード体系として「区点」を選択し、日本語 EUC での領域割り当てに基づいた区点を指定しても、正しい文字が入力されません。たとえば、ユーザー定義文字領域の先頭の文字は日本語 EUC では JIS X 0208 の 85 区 1 点に相当するコード位置に割り当てられますが、85 区 1 点を指定してもその文字が入力されません。
回避方法 : 区点を指定する際に、次の表の右端の値を区として指定してください。
入力したい文字が属する区 | 日本語 EUC での割り当て | 指定する区 |
---|---|---|
ユーザー定義文字 1 区 | JIS X 0208 85 区 | 95 区 |
ユーザー定義文字 2 区 | JIS X 0208 86 区 | 96 区 |
: | ||
ユーザー定義文字 10 区 | JIS X 0208 94 区 | 104 区 |
ユーザー定義文字 11 区 | JIS X 0212 85 区 | 105 区 |
ユーザー定義文字 12 区 | JIS X 0212 86 区 | 106 区 |
: | ||
ユーザー定義文字 20 区 | JIS X 0212 94 区 | 114 区 |
Java 2 アプリケーションを起動した場合、デフォルトでは「システム入力方式」(プラットフォームの入力システム) を使用します。
今回の Solaris 8 リリース上で実行している場合は、実行環境によって、CDE または OpenWindows 上の X アプリケーションが使用するのと同様の方法で、日本語入力システムと接続します。したがって、ATOK12 (CDE の場合のみ)、Wnn6、ATOK8、cs00 のいずれかの、設定されている入力システムと接続します。
プラットフォームに依存せずに、直接 Java 2 実行環境が入力システムと接続する方式を「ネットワーク入力方式」といいます。今回の Solaris 8 リリースに付属する Java 2 実行環境を使用する場合に限り、今回の Solaris 8 リリースでは ATOK12 はネットワーク方式としても利用できます。この方式で使用するには、必要な設定や制限事項があります。以降の記述を参照してください。
この設定ファイルを用意してから Java 2 アプリケーションを起動すると、ウィンドウのフレームから起動できるメニューで入力方式を選択できます。「ネットワーク入力方式」から「日本語」を選択すると、ATOK12 に接続します。
ファイル名 | .iiimp |
ファイルを置くディレクトリ | アプリケーションを使用するユーザーのホームディレクトリ |
内容 | 次の 2 行 : |
iiimp.server=iiimp://localhost | |
iiimf.object.download=true |
Java 2 アプリケーションから「ネットワーク入力方式」として ATOK12 を使用する場合、X アプリケーションから使用する場合のバグ・制限に加えて、以下の表示に関するバグ・制限があります。
候補一覧
ATOK パレット
記号入力、コード入力、エラーメッセージ
辞書ユーティリティなど ATOK パレットから起動できるユーティリティ
バグ・制限の内容は次のとおりです。
CDE の入力システムとして ATOK12 を使用している場合は表示されない
デスクトップ (X サーバー) 上で最初に起動した Java 2 アプリケーションだけに対して表示される
辞書ユーティリティを起動できない
ATOK12 文字パレットの和文コード表で体系として JIS を選択すると文字化けする