Sun Enterprise Authentication Mechanism ガイド

ホスト上のサービスの認証を一時的に無効にするには

ネットワークアプリケーションサーバー上のサービス (rloginftp など) の認証機能を一時的に無効にする必要がある場合もあります。たとえば、保守を行なっているときに、そのシステムにユーザーがログインできないようにしたい場合などです。ktutil コマンドを使用して、サービスのプリンシパルをサービスの keytab から削除すれば、kadmin 特権を持っていなくても、ユーザーのログインを防ぐことができます。もう一度認証を有効にするには、保存しておいた元の keytab を元の場所にコピーします。


注 -

ほとんどのサービスではデフォルトで認証が動作する必要があります。そうでない場合、サービスの認証を無効にしても、そのサービスは動作し続けます。


  1. keytab を持つホスト上でスーパーユーザーになります。


    注 -

    他のユーザーが所有する keytab も作成できますが、keytab のデフォルトの位置には root の所有権が必要です。


  2. 現在の keytab を一時ファイルに保存します。

  3. ktutil コマンドを起動します。


    # /usr/krb5/bin/ktutil
    
  4. read_kt コマンドを使用して、keytab を鍵リストバッファに読み込みます。


    ktutil: read_kt keytab
    
  5. list コマンドを使用して、鍵リストバッファを表示します。


    ktutil: list
    

    現在の鍵リストバッファが表示されます。無効にしたいサービスのスロット番号に注意してください。

  6. ホストのサービスを一時的に無効にするには、delete_entry コマンドを使用して、特定のサービスプリンシパルを鍵リストから削除します。


    ktutil: delete_entry slot_number
    

    slot_number

    削除したいサービスプリンシパルのスロット番号。list コマンドで表示される

  7. write_kt コマンドを使用して、鍵リストバッファを keytab に書き出します。


    ktutil: write_kt keytab
    
  8. ktutil コマンドを終了します。


    ktutil: quit
    
  9. もう一度サービスを有効にするには、一時的な (元の) keytab を元の場所にコピーします。

例 - ホスト上のサービスを一時的に無効にする

次の例では、denver ホスト上の host サービスを一時的に無効にします。もう一度ホストサービスを denver で有効にするには、krb5.keytab.temp ファイルを /etc/krb5/krb5.keytab ファイルにコピーします。


denver # cp /etc/krb5/krb5.keytab /etc/krb5/krb5.keytab.temp
denver # /usr/krb5/bin/ktutil
    ktutil:read_kt /etc/krb5/krb5.keytab
    ktutil:list
slot KVNO Principal
---- ---- ---------------------------------------
   1    8 root/denver@ACME.COM
   2    5 host/denver@ACME.COM
    ktutil:delete_entry 2
    ktutil:list
slot KVNO Principal
---- ---- --------------------------------------
   1    8 root/denver@ACME.COM
    ktutil:write_kt /etc/krb5/krb5.keytab
    ktutil: quit