アイコン・エディタは、アイコンまたは背景として使用できるように、ビットマップ・イメージ・ファイルとピックスマップ・イメージ・ファイルを作成するためのツールです。
この章では、次の内容について説明します。
表 13-1 に示すように、アイコン・エディタにより、次の 2 つの形式でイメージを作成および編集できます。
表 13-1 アイコン形式
形式 |
説明 |
ファイル名 |
---|---|---|
X ピックスマップ (XPM) |
カラーとダイナミックカラーを使用している複数カラー・イメージ |
*.pm |
X ビットマップ (XBM) |
フォアグラウンド・カラーとバックグラウンド・カラーに対して制限されている 2 色のイメージ (黒色アイコンと白色アイコンで使用されます。) |
*.bm |
描画ツールとカラーを選択して、作業領域でイメージを作成します。アイコン・エディタは描画するときに、アイコンの実サイズのコピーを 2 色バージョンと多色バージョンの両方の形式で表示します。ワークスペースで使用可能なフリー・カラーが十分にない場合は、アイコンは 2 色に戻るため、カラー・システムで使用できるようにイメージを描画している場合でも、2 色バージョンのアイコンについて理解しておく必要があります。
アイコンの設計の詳細は、『共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』の第 4 章「視覚的な設計」を参照してください。
次のいずれかの方法で、アイコンを作業領域に読み込んで、アイコン・エディタを起動できます。
ファイル・マネージャで、アイコン・ファイルを指して、その上でダブルクリックします (ピックスマップ・ファイルとビットマップ・ファイルのデフォルト・アクションは、アイコン・エディタを実行し、ファイルを読み込みます)。
/usr/dt/bin が .cshrc ファイルに設定されていない場合は、/usr/dt/bin/dticon と入力して、コマンド行からアイコン・エディタを実行してください。
この節では、アイコンの作成および編集方法と、アイコン・エディタ描画ツールの使用方法について説明します。
[ファイル] メニューの [開く] を選択します。
まだ保存していない変更がある場合は、別のアイコンを読み込むとその変更が失われますという警告が表示されます。[開く] コマンドを取り消すには、[取消し] をクリックします。変更を保存しない場合は、[了解] をクリックします。
[ファイル名を入力してください] フィールドに読み込むファイル名を入力するか、[ファイルを開く] ダイアログ・ボックスの [ファイル] 選択から読み込むアイコン・ファイルを選択します。
[開く] をクリックします。
ファイルを読み込むと、([オプション] メニューの) [出力形式] に読み込んだファイルの形式を自動的に設定します。
ファイル・マネージャにあるアイコン・ファイルをダブルクリックして、既存のアイコンを開くこともできます。
[ファイル] メニューの [新規] を選択します。
まだ保存していない変更がある場合は、新規アイコンを開くとその変更が失われますという警告が表示されます。[新規] を取り消すには、[取消し] をクリックします。変更を保存しない場合は、[了解] をクリックします。
アイコン・エディタは作業領域を消去し、デフォルト・サイズ (32*32) にサイズを変更します。
アイコンをすでに読み込んでいる場合は、[編集] メニューの [アイコンの消去] を選択して、すでに読み込んでいたアイコンとサイズと名前が同じである新規アイコンを開くことができます。
(表 13-2 にリストされている) 描画ツールの 1 つを選択します。
カラー (カラー、グレー、またはダイナミックカラー) を選択します。
選択したツールで描画を開始します。
各ツールによる描画の詳細は、次の節で説明します。
図 13-2 は、アイコン・エディタの描画ツールです。
ツール |
使用目的 |
操作 |
---|---|---|
鉛筆 |
フリーハンドの直線と個々のピクセルを描画します。 |
押したままにして、フリーハンドの線を描画します。 |
直線 |
まっすぐな線を描画します。 |
押したままにして、線を伸ばします。離すと線を描画します。 |
矩形 |
塗りつぶされた、または輪郭のある矩形を描画します。 |
押したままにして、矩形の輪郭を伸ばします。離すと矩形を描画します。 |
円 |
塗りつぶされた、または輪郭のある円を描画します。 |
円の中心を定めて押したまま、希望のサイズにドラッグして離します。 |
消去 |
イメージの大きい領域を消去します。 |
押したまま、消去する領域でドラッグします。 個々のピクセルを消去するには、[鉛筆] ツールと [透明] カラーを選択して行います。 |
塗りつぶし |
選択されたカラーで 1 つのカラーの領域を塗りつぶします。 |
塗りつぶす領域内のピクセルをクリックします。選択されたピクセルと同じカラーのその周りにあるピクセルすべてが、選択されたカラーで再度色づけされます。塗りつぶされる領域は、すべての方向に拡張され、境界を引くには、違う色のピクセルを使用します。 |
折れ線 |
直線がつながったものを描画します。 |
起点をクリックしてから各セグメントでクリックします。 最後のセグメントを終了するには、ダブルクリックします。 |
多角形 |
直線がつながったものを描画し、最初の線と最後の線をつなげて閉じた多角形を描きます。 |
起点をクリックしてから各セグメントでクリックします。 最後のセグメントを終了するには、ダブルクリックします。 |
楕円 |
塗りつぶされた、または輪郭のある楕円を描画します。 |
押したまま、希望のサイズと図形にドラッグしてから離します。 |
選択 |
作業する領域を選択します。[編集] メニューのコマンドの中には、領域の選択を必要とするものがあります。 |
選択する領域の隅のピクセルを指し、押したまま希望の領域にドラッグして離します。 |
塗りつぶし |
チェック・ボックスで選択すると、自動的に図形を塗りつぶすようになります。輪郭を描画するようにツールを戻すには、チェック・ボックスの選択を解除します。 |
[編集] メニューの [元に戻す] を選択します。
一番最後に実行した 1 つの変更だけを元に戻すことができます。
アイコン・ファイルを保存するときには、適切なファイル名接尾辞を使用しなければなりません。アイコンのベース名に付け加えられる接尾辞は 2 つあり、1 つはサイズを表し、もう 1 つは形式を表します。アイコン名の大部分は、次のような形式になります。
basename.size.format basename.format
basename は、イメージを参照するのに使用されるイメージ名です。
size は、アイコンの標準サイズを示す単一文字です。l は大型アイコン (48x48 ピクセル)、m は中型アイコン (32x32)、s は小型アイコン (24x24)、t は極小アイコン (16x16) を表します (詳細は、「アイコン・サイズの規則」を参照してください) 。アイコンが標準サイズではない場合は、この文字を省略できます。
format は、pm は X ピックスマップ (カラー・アイコン形式)、bm は X ビットマップ (モノクローム・アイコン形式) を表します。
透明カラーを持っているアイコンを XBM 形式で保存する場合は、アイコン・マスク・ファイルも保存されます。アイコン・マスク・ファイルには basename.size_m.format という名前が付けられます。保存したアイコンを別のフォルダに移動する場合は、マスク・ファイルも移動しなければなりません。
たとえば、書き込んだ mail という名前のアイコンにファイル・タイプを指定したとします。カラー・ディスプレイを持っていて、ファイル・マネージャの選択が極小アイコンを使用するように設定している場合は、予想されるアイコン名は mail.t.pm です。透明カラーを持っていて、それを XBM 形式で保存した場合は、mail.t.bm と mail.t_m.bm という 2 つのファイルが作成されます。
表 13-3 は、CDE での使用に合わせて新規アイコンを作成するために推奨されるサイズ (幅x高さ (ピクセル単位)) の一覧です。256x256 がアイコンの上限です。
表 13-3 アイコン・サイズ規則
用途 |
最大 |
通常 |
最小 |
---|---|---|---|
ファイル・マネージャ (大型) |
32x32 |
32x32 |
32x32 |
ファイル・マネージャ (小型) |
16x16 |
16x16 |
16x16 |
アプリケーション・マネージャ (大型) |
32x32 |
32x32 |
32x32 |
アプリケーション・マネージャ (小型) |
16x16 |
16x16 |
16x16 |
フロントパネル |
48x48 |
48x48 |
32x32 |
フロントパネルのサブパネル |
32x32 |
32x32 |
16x16 |
アイコン化されたウィンドウ |
48x48 |
48x48 |
32x32 |
ワークスペース |
32x32 |
32x32 |
32x32 |
XBM は、2 色の X ビットマップ形式を表します。
XPM は、マルチカラーの X ピックスマップ形式を表します (デフォルト)。
[ファイル] メニューの [保存] を選択します。
アイコンに名前が付いていなかったり、[別名保存] を選択したりする場合は、アイコン・エディタはファイル名を入力するよう要求します。名前を入力してから、[保存] をクリックします。
透明カラーを持っている XBM 形式でアイコンを保存する場合は、アイコン・マスク・ファイルも保存されます。アイコン・マスク・ファイルには、basename.size_m.format. という名前が付けられます。保存したアイコンを別のフォルダに移動する場合は、マスク・ファイルも移動しなければなりません。
[ファイル] メニューの [別名保存] を選択します。
[ファイル名を入力してください] の下にファイル名を入力 (または選択) します。
[了解] をクリックします。
ファイルがすでに存在する場合は、警告ダイアログ・ボックスにある [了解] をクリックして、既存のファイルを上書きする必要があります。
デスクトップにあるアイコンは、次のような 22 色のパレットを使用します。
8 色のグレー
8 色のカラー - 赤、青、緑、シアン、マゼンダ、黄、黒、白
5 色のダイナミックカラー - フォラグラウンド、バックグラウンド、トップシャドウ、ボトムシャドウ、選択
バックグラウンドを表示可能にする透明「カラー」
これらのカラーは、アイコン・エディタのデフォルト・カラーです。このカラーのセットにより、アイコンの作成に使いやすいパレットを提供します。この制限されたパレットを選択すると、不要な数のカラーを使用せずに、アイコンの特徴と読みやすさを最大限に引き出すことができます。
ダイナミックカラーは、アイコンが表示されるアプリケーションを表示するのに使用されるカラーを表します。アイコンがファイル・マネージャに表示されると、ファイル・マネージャはバックグラウンド・カラーを決めます。ダイナミックカラーは、スタイル・マネージャで選択された別のカラー・パレットに合わせてカラーを変更するアイコンに使用すると便利です。ダイナミックカラーは、アイコンが 2 つ以上の場所で使用され、そのアイコンが表示されるアプリケーションのカラーを使用したい場合にも便利です。
トップシャドウとボトムシャドウは、アイコンの下に図形を描画するのに使用できます。これらのカラーを使用して、アイコンの表面をエッチングして表示できます。この方法は、フロントパネルのスタイル・アイコンにだけお勧めできます。
透明カラーを使用すると、アイコンの背後にカラーを表示できるので、矩形でないものを浮かび上がらせるアイコンを作成するときに便利です。アイコンが境界ボックス全体を塗りつぶしていない場合は、未使用の領域を透明カラーで塗りつぶさなければなりません。
アイコン・エディタの基本描画機能に慣れてきたら、拡張機能を使用したい場合があります。これらの操作の大部分は、最初にアイコンの領域を「選択」する必要があります。アイコンの領域の選択は、選択ツール ([消去] の横にあります) を使用して行います。
アイコンの領域を選択すると、次の操作を実行できます。
カット、コピー、または移動
サイズ変更 (大きさを変える)
反転 (水平方向または垂直方向)
回転 (右方向または左方向)
アイコンの一部をカットすると、切り取られた領域は「透明」になります (つまり、[透明] カラーで塗りつぶされます)。
ある領域をカットした後で、[編集] メニューの [領域のペースト] を選択すると、その領域をアイコンにペーストし直すことができます。
選択ツールを使用して、コピーするアイコンの領域を選択します。
[編集] メニューの [領域のコピー] を選択します。
[編集] メニューの [領域のペースト] を選択します。
コピーをペーストする部分の輪郭を決めてからクリックします。
コピーした領域の複数コピーをペーストするために、手順 3 と 4 を必要な回数繰り返すことができます。
選択ツールを使用して、移動するアイコンの領域を選択します。
[編集] メニューの [領域のカット] を選択します。
[編集] メニューの [領域のペースト] を選択します。
コピーをペーストする部分の輪郭を決めてからクリックします。
カットした領域の複数コピーをペーストするために、手順 3 と 4 を必要な回数繰り返すことができます。
選択ツールを使用して、回転するアイコンの領域を選択します。
[編集] メニューの [領域の回転] を選択してから、[左] か [右] を選択します。
回転した領域をペーストする部分の輪郭を決めてからクリックします。
領域を反転すると、選択された領域のピクセル単位のミラー・イメージが作成されます。
アイコン全体またはアイコンの領域のサイズを変更できます。
[編集] メニューの [アイコンのサイズ変更] を選択します。
アイコン・エディタは、新しいサイズの入力を求めるダイアログ・ボックスを表示します。
現在の幅と高さを編集して、新しいサイズを指定します。
アイコンを小さくすると、右と下部の端が切り取られます。アイコンを大きくすると、既存のイメージがアイコンの左上にそのまま残ります。
選択ツールを使用して、サイズ変更するアイコンの領域を選択します。
[編集] メニューの [領域のスケール] を選択します。
大きさを変えたイメージになるように、サイズと形を定義するボックスをドラッグします。
ボックスのサイズは、右上の領域に表示されます。これにより、イメージの選択された部分の大きさを変える方法を決定します。その結果をどこに置くかは決定しません。
大きさを変えたコピーをペーストする部分の輪郭を決めてからクリックします。
ビットマップ・イメージ (XBM 形式) は、特別なマウス・ポインタの形として使用できます。ホットスポットは、マウス・ポインタの真の「ポイント」であるイメージ内の一つのピクセルをマークします。
アイコンにホットスポットを 1 つだけ持つことができます。
[編集] メニューの [ホットスポットの削除] を選択します。
画面のどの部分からでも、アイコン・エディタに領域をコピーできます。表示されているテキストまたはグラフィックをコピー (「グラブ」) して、アイコン・エディタの作業領域に読み込むことができます。
必要に応じて、現在のアイコンを保存します。
[編集] メニューから [画面イメージをグラブ] を選択します。
取り込むワークスペースの部分をボックスで囲んでドラッグします (マウス・ボタン 1 を押してドラッグしてから離します) 。
ディスプレイの領域を取り込むと、そのアイコンはデスクトップで使用可能なカラーのいくつかを使うようになります。
拡大率を変更したり、グリッドを使用したりすることにより、アイコン・エディタ作業領域にあるアイコンの表示を変更できます。
[オプション] メニューの [グリッド表示] を選択します。
これにより、グリッドは隠れます。グリッドを表示するには、[オプション] メニューの [グリッド表示] をもう一度選択してください。グリッドはデフォルトでは表示されています。