メールシステムの管理

メールボックス

「メールボックス」は、電子メールメッセージの最終宛先であるメールサーバー内のファイルです。メールボックスの名前は、ユーザー名、またはポストマスタ (郵便局長) のような特定の職務を持つ人にメールを届ける場所の名前でもかまいません。メールボックスは、ユーザーのローカルシステムかリモートのメールサーバーのいずれかの /var/mail/username ファイルにあります。ただし、いずれの場合でも、メールボックスはメールが配信されるシステム上にあります。

ユーザーエージェントがメールスプールからメールを取り出し、ローカルメールボックスに容易に格納できるように、メールは常にローカルファイルシステムに配信される必要があります。ユーザーのメールボックスの宛先として、NFS でマウントしたファイルシステムを使用しないでください。特にリモートサーバーから /var/mail ファイルシステムをマウントしているメールクライアントには、直接メールを送信しないでください。この場合ユーザー宛のメールは、クライアントのホスト名ではなく、メールサーバーにアドレス指定する必要があります。 NFS でマウントしたファイルシステムは、メールの配信と処理に問題を起こすことがあります。/var/mail を NFS でマウントしたクライアントは「リモートモード」となり、サーバーにメールの送信と受信を行うように要求を出します。

/etc/mail/aliases ファイルと NIS や NIS+ といったネームサービスは、電子メールのアドレスに別名を作成するメカニズムを持っているため、ユーザーは、ユーザーのメールボックスの正確なローカル名を知る必要はありません。

表 1-2 に、特殊な目的のメールボックスに対する共通の命名規則をいくつか示します。

表 1-2 メールボックス名のフォーマットについての規則

フォーマット 

説明 

username

多くの場合、ユーザー名はメールボックス名と同じ 

Firstname.Lastname Firstname_Lastname Firstinitial.Lastname Firstinitial_Lastname

ユーザー名は、ドット (または下線) でファーストネームとラストネームに区切ったフルネームか、またはファーストネームがイニシャルで、ドット (または下線) でイニシャルとラストネームを区切ったもの 

postmaster

ユーザーは、postmaster のメールボックスに質問を送ったり、問題点を報告したりできる。通常は各サイトとドメインに postmaster メールボックスがある

MAILER-DAEMON

sendmail は、MAILER-DAEMON 宛のすべてのメールを自動的にポストマスタに送る

x-interest

ダッシュ付きの名前は、配布リストまたはメーリングリストと考えられる。このフォーマットは一般にネットワークメールグループに使用される 

x-interest-request

-request で終わる名前は配布リストの管理アドレス

owner-x-interest

owner- で始まる名前は配布リストの管理アドレス

local%domain

パーセント記号 (%) は、メッセージがその宛先に着くと展開されるローカルアドレスを示す。ほとんどのメールシステムは、% 記号つきのメールボックス名を全メールアドレスとして翻訳する。%@ と置き換えられ、メールはそれに応じてリダイレクトされる。多くの人が % を使用するが、これは正式な標準ではない。電子メールの世界では「パーセントハック」と呼ばれている