NFS サービスを使って共有されるファイルシステムは、「自動マウント」と呼ばれる方法によってマウントできます。クライアント側のサービスである autofs は、自動マウントを実現するファイルシステム構造です。autofs のファイルシステムは、automount で作成されます。automount は、システムを起動すると自動的に実行されます。automountd という常駐型の automount デーモンが、必要に応じてリモートディレクトリのマウントとアンマウントを行います。
automountd を実行しているクライアントコンピュータ上のユーザがリモートのファイルまたはディレクトリにアクセスしようとすると、そのファイルまたはディレクトリが所属するファイルシステムがこのデーモンによってマウントされます。このリモートファイルシステムは、必要な間はマウントされたままです。リモートファイルシステムが一定時間アクセスされないと、自動的にアンマウントされます。
ブート時にはマウントする必要はなく、ユーザはディレクトリをマウントするためにスーパーユーザのパスワードを知る必要はありません。ユーザが mount と umount コマンドを使用する必要もありません。autofs は、ユーザの介入なしに、必要に応じてファイルシステムをマウントしたり、アンマウントします。
automountd によって一部のファイル階層をマウントするということは、mount によってほかのファイル階層をマウントしないということではありません。ディスクレスコンピュータは、mount と /etc/vfstab ファイルを使って / (ルート)、 /usr、/usr/kvm をマウントしなければなりません。
autofs サービスの詳細については、第 5 章「autofs について」 で説明します。
autofs は、ローカルの名前空間に指定したファイルシステムで動作します。この情報は、NIS、NIS+、ローカルファイルに保存されます。
Solaris 2.6 には、完全にマルチスレッド化された automountd が含まれています。この拡張によって autofs はさらに信頼性が高まりました。また、複数のマウントを同時にサービスできるようになったため、サーバが使用できないときにサービスが停止することも避けられます。
この新しい automountd には、オンデマンドマウント機能もあります。今までのリリースでは、階層に含まれるすべてのファイルシステムがマウントされていました。これからは、一番上のファイルシステムしかマウントされません。そのマウントポイントに関係するほかのファイルシステムは、必要に応じてマウントされます。
autofs サービスで、間接マップを表示できるようになりました。これによりユーザは、どのディレクトリがマウントできるかを確認するためにファイルシステムを実際に 1 つずつマウントする必要がなくなります。autofs マップに -nobrowse オプションが追加されたので、/net や /home などの大きなファイルが自動的に表示されることはありません。また、automount に対して -n を使うことによって、autofs の表示機能を各クライアントでオフにすることもできます。