Solaris インストールプログラムを実行するときに全体ディストリビューションを選択していれば、UUCP ソフトウェアは自動的に組み込まれています。あるいは、pkgadd を使って UUCP を単独で追加することもできます。UUCP のプログラムは、デーモン、管理プログラム、ユーザプログラムの 3 種類に分類されます。
UUCP システムのデーモンには、uucico、uuxqt、uusched、in.uucpd の 4 つがあります。これらのデーモンは、UUCP のファイル転送とコマンド実行を取り扱います。必要な場合は、これらのデーモンを、シェルから手動で実行することもできます。
uucico - リンクに使用するデバイスを選択し、リモートコンピュータへのリンクを確立し、必要なログインシーケンスとアクセス権の検査を行い、データを転送し、ファイルを実行し、結果をログに記録し、転送の完了を mail によりユーザに通知します。uucico は、UUCP ログインアカウント用の「ログインシェル」として働きます。ローカル uucico デーモンはリモートマシンを呼び出して、セッションの間、リモート uucico デーモンと直接通信します。
uucp、uuto、uux の各プログラムは、必要なファイルをすべて作成してから、uucico デーモンを実行して、リモートコンピュータに接続します。uusched と Uutry は、どちらも uucico を実行します (詳細は、uucico(1M) のマニュアルページを参照してください)。
uuxqt - リモート実行要求を処理します。uuxqt は、スプールディレクトリを検索して、リモートコンピュータから送られた実行ファイル (名前は常に X.file) を見つけます。X.file が見つかると、uuxqt はそのファイルをオープンして、実行に必要なデータファイルのリストを取得します。次に、必要なデータファイルが使用可能でアクセスできるかどうかを確認します。ファイルが使用可能であれば、uuxqt は Permissions ファイルを調べて、要求されたコマンドを実行する権限があるかどうかを確認します。uuxqt デーモンは、cron により起動される uudemon.hour シェルスクリプトから実行されます (詳細は、uuxqt(1M) のマニュアルページを参照してください)。
uusched - スプールディレクトリ内でキューに入っている作業をスケジュールします。uusched は、ブート時に、cron から起動される uudemon.hour シェルスクリプトにより、最初に実行されます (詳細は、uusched(1M) のマニュアルページを参照してください)。uucico デーモンの起動の前に、uusched は、リモートコンピュータを呼び出す順序をランダム化します。
in.uucpd - ネットワークを介した UUCP 接続をサポートします。リモートホスト上の inetd は、UUCP 接続が確立されるたびに in.uucpd を呼び出します。そして、uucpd はログイン名の提示を求めます。呼び出し側ホストの uucico は、これに対してログイン名を応答しなければなりません。次に、in.uucpd は、不要な場合を除き、パスワードを要求します (詳細は、in.uucpd(1M) のマニュアルページを参照してください)。
ほとんどの UUCP 管理プログラムは、/usr/lib/uucp に入っています。基本データベースファイルの多くは、/etc/uucp に入っています。ただし、uulog だけは例外で、これは /usr/bin に入っています。uucp ログイン ID のホームディレクトリは /usr/lib/uucp です。su または login を用いて管理プログラムを実行するときは、uucp ユーザ ID を使用してください。このユーザ ID は、プログラムとスプールデータファイルを所有しています。
uulog - 指定したコンピュータのログファイルの内容を表示します。ログファイルは、このマシンが通信する各リモートコンピュータごとに作成されます。ログファイルには、uucp、uuto、uux の使用が記録されます (詳細は、uucp(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uucleanup - スプールディレクトリをクリーンアップします。これは、通常、cron により起動される uudemon.cleanup シェルスクリプトから実行されます (詳細は、uucleanup(1M) のマニュアルページを参照してください)。
Uutry - 呼び出し処理機能をテストし、簡単なデバッグを行うことができます。uucico デーモンを呼び出して、このマシンと指定されたリモートコンピュータとの間の通信リンクを確立します (詳細は、Uutry(1M) のマニュアルページを参照してください)。
uucheck - UUCP のディレクトリ、プログラム、サポートファイルの有無を検査します。また、/etc/uucp/Permissions ファイルの所定の部分に、明らかな構文エラーがないかどうかも検査します (詳細は、uucheck(1M) のマニュアルページを参照してください)。
UUCP のユーザプログラムは /usr/bin に入っています。これらのプログラムを使用するのに、特別な権限は必要ありません。
cu - このマシンをリモートコンピュータに接続して、ユーザが両方のマシンに同時にログインできるようにします。cu を使用すれば、接続したリンクを切断することなく、どちらのマシンでもファイルを転送したり、コマンドを実行したりできます (詳細は、cu(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uucp - あるマシンから別のマシンへファイルをコピーします。uucp は作業ファイルとデータファイルを作成し、転送するジョブをキューに入れ、uucico デーモンを呼び出します。このデーモンは、リモートコンピュータへの接続を試みます (詳細は、uucp(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uuto - ローカルマシンから、リモートマシン上の公共スプールディレクトリ /var/spool/uucppublic/receive にファイルをコピーします。uucp が、リモートマシン上のアクセス可能な任意のディレクトリにファイルをコピーするのに対し、uuto は、所定のスプールディレクトリにファイルを収め、リモートユーザに uupick を使ってそのファイルを取り出すよう指示します (詳細は、uuto(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uupick - uuto を用いてコンピュータにファイルが転送されてきたときに、/var/spool/uucppublic/receive からファイルを取得します (詳細は、uuto(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uux - リモートマシン上でコマンドを実行するために必要な作業ファイル、データファイル、実行ファイルを作成します (詳細は、uux(1C) のマニュアルページを参照してください)。
uustat - 要求された転送 (uucp、uuto、uux) の状態を表示します。これはまた、キューに入っている転送を制御する手段も提供します (詳細は、uustat(1C) のマニュアルページを参照してください)。