NIS+ の名前空間は、NIS+ によって格納された情報を配置したものです。この名前空間は、組織のニーズに合わせていろいろな方法で配置することができます。たとえば、3 つの部門を持つ組織の場合、その NIS+ の名前空間も各部門ごとに 1 つずつで 3 つの部分に分割されます。分割した各部分は、その部門のユーザー、ワークステーション、およびネットワークサービスについての情報を格納しますが、互いに通信することも簡単です。このような配置により、ユーザーによる情報へのアクセスや、管理者による情報の管理が更に容易に行えます。
NIS+ の名前空間の配置はサイトごとに異なりますが、ディレクトリ、テーブル、グループという構成はすべてのサイトが使用します。これらの構成は NIS+「オブジェクト」と呼ばれます。NIS+ オブジェクトは、UNIX のファイルシステムに似た階層形式に配置できます。たとえば、次の図を参照してください。左側の名前空間は、3 つのディレクトリオブジェクト、3 つのグループオブジェクト、および 3 つのテーブルオブジェクトから構成されています。右側の UNIX ファイルシステムは、3 つのディレクトリと 3 つのファイルから構成されています。
NIS+ の名前空間は UNIX ファイルシステムに似ていますが、重要な違いが 5 つあります。
両方ともディレクトリを使用するが、NIS+ の名前空間でのオブジェクトはテーブルとグループであり、ファイルではない
NIS+ の名前空間は、その目的 (システム管理ツール) のために設計された NIS+ の管理コマンド、または SolsticeTM AdminSuiteTM
ツールなどのグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) を通じてだけ管理され、標準の UNIX ファイルシステムコマンドや GUI では管理できない
UNIX ファイルシステム構成要素の名前はスラッシュで区切られる (/usr/bin) が、NIS+ の名前空間オブジェクト名はドットで区切られる (doc.com.)
UNIX ファイルシステムの「ルート」へは、ディレクトリを右から左にたどっていけば到達する (/usr/src/file1) が、NIS+ の名前空間のルートは左から右にたどって到達する (sales.doc.com.)
NIS+ オブジェクト名は、左から右に構成されているので、完全指定名は常にドットで終わる。また最後に「.」がないものは完全な名前とはみなされず、相対的な名前 (まだ上の階層があるという意味) であるとみなされる。