組織コンテキストを作成するには、コンテキストタイプに org を指定します。複合名には、使用しているネームサービスによって以下のいずれかにする必要があります。
「NIS+」の場合
すでに存在している NIS+ ドメイン (またはサブドメイン) の名前。 NIS+ ドメインとは、org_dir サブディレクトリを含む NIS+ ディレクトリオブジェクトのことです。ドメインの org_dir サブディレクトリには、そのドメインの生成された host テーブルと passwd テーブルが必要です。
「NIS」の場合
/etc ファイルの場合
NIS+ のルートドメインが doc.com で、sales.doc.com というサブドメインがあるとします。sales というサブドメインに対応する sales という組織コンテキストを作成するには、以下のコマンドを入力します。
fncreate -t org org/sales/
新しいコンテキストの作成時には、ドメインである sales.doc.com の下に ctx_dir というディレクトリが作成されます。すでに ctx_dir が存在する場合は作成されません。
上記の例では -t オプションだけを使用し、-o オプションは使用しません。これによって複合名 org/sales/ の組織コンテキストが作成されると同時に、サブコンテキストとして hostname、username、service が作成されます。また host コンテキストと user コンテキスト、ホストとユーザーの service サブコンテキストも作成されます。実際には以下のコマンドが実行されます。
fncreate -t hostname org/sales/host/ fncreate -t username org/sales/user/ fncreate -t service org/sales/service/
代わりに fncreate -o -t org を使用すると、org コンテキストだけが作成されます。hostname、username、service のコンテキストは作成されますが、host コンテキストと user コンテキストの生成はされません。
org コンテキストの所有者となるのは、fncreate コマンドを実行した管理者です。この点は、hostname、username、service といったサブコンテキストについても同様です。ただし、host コンテキスト、user コンテキストとそのサブコンテキストの所有者となるのは、コンテキストの作成対象となったホストおよびユーザーです。管理者が引き続き host コンテキストや user コンテキストを処理するには、fncreate を実行する時に NIS_GROUP
環境変数を適宜設定する必要があります。たとえば、 C シェルの場合、NIS_GROUP
を以下のように fns_admins.doc.com に設定します。
rootmaster# setenv NIS_GROUP fns_admins.doc.com