NIS と NIS+ は、いくつかの同じ作業を行います。ただし NIS+では、NIS では提供されない階層ドメイン、名前空間セキュリティ、その他の機能が使用できます。NIS と NIS+ の相違点の詳細は、 「NIS+ と NIS の違い」を参照してください。
NIS 管理者は、以下に示す原則および条件下で NIS を NIS+ と共に使用できます。
同一ドメインに NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方が存在する
NIS 管理者は同一ドメインで NIS サーバーと NIS+ サーバーの両方を動作させることは可能ですが、このような動作を長時間行わせることは望ましくありません。一般に、同一ドメイン内での NIS サーバーと NIS+ サーバーを両方使用するのは、NIS から NIS+ への短い移行期間だけに制限するべきです。クライアントから NIS サービスの要求があった場合に、NIS 管理者は、 NIS+ を NIS 互換モードで動作させることができます。詳細は、「Solaris 1.x と NIS 互換モード」を参照してください。
サブドメイン
NIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS 管理者は、すべてのサーバーで NIS が動作しているサブドメインを設定できます。NIS 管理者のルートドメインのマスターサーバーで NIS が動作している場合は、NIS 管理者はサブドメインの設定はできません。この操作は、NIS 管理者が NIS から NIS+ に切り換えるときに有用であるかもしれません。たとえば、互いに独立した複数の NISドメイン (ドメインは地理的に別々のサイトに置かれていることもあります) を持った会社の中で、NIS 管理者がそれらのドメインをすべてリンクさせて NIS+ の下に1つの階層型マルチドメイン名前空間を構築するケースを考えてみます。この場合、NIS 管理者はまずルートドメインを NIS+ 下に設定し、次に従来の NISドメインをサブドメインとして指定できます。これらのサブドメインでは、NIS+ への切り換えが行われるまで NIS が継続して動作します。
同一ドメインに複数のマシンが存在する
同一ドメイン内のサーバーで NIS+ が動作している場合は、NIS+、NIS、または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、ドメイン内の各マシンを設定できます。NIS+ サーバーが NIS クライアントのニーズに応えるには、この NIS+ サーバーは、『Solaris ネーミングの設定と構成』で説明されていように NIS 互換モードで動作していなければなりません。
同一ドメイン内のサーバーで NIS が動作している場合は、NIS または /etc ファイルを使ってネームサービス情報を取得するように、このドメイン内の各マシンを設定できます (各マシンは NIS+ を使用することはできません) 。
さまざまなネームサービス情報を取得するためにマシンがどのサービスを使用するかは、そのマシンの nsswitch.conf ファイルで制御されます。このファイルは、「スイッチ」ファイルと呼ばれています。詳細は、第 2 章「ネームサービススイッチ」を参照してください。