この章では、NIS+ スクリプトについて説明し、スクリプトの実行する作業と実行しない作業について解説します。
「設定および構成の前に」の手順を必ず実行してから、NIS+ スクリプトを実行してください。
3 つの NIS+ スクリプト nisserver、nispopulate、nisclient を使用すれば、NIS+ 名前空間を設定できます。NIS+ スクリプトは NIS+ コマンド群を実行する Bourne シェルスクリプトであり、NIS+ コマンドを個別に入力する必要はありません。各スクリプトの動作内容を表 3-1 に示します。
表 3-1 NIS+ スクリプト
NIS+ スクリプト |
機能 |
---|---|
nisserver |
ルートマスターサーバー、非ルートマスターサーバー、複製サーバーをレベル 2 のセキュリティ (DES) で設定する |
nispopulate |
NIS+ テーブルを、対応するシステムファイルまたは NIS マップから指定されたドメイン内に生成する |
nisclient |
ホストとユーザーの NIS+ 資格を作成し、NIS+ のホストとユーザーを初期設定する |
NIS+ スクリプトといくつかの NIS+ コマンドと組み合わせることで、NIS+ 名前空間の設定に必要な作業を実行できます。NIS+ スクリプトとそのオプションについての詳しい説明は、nisserver(1M)、nispopulate(1M)、nisclient(1M) のマニュアルページを参照してください。第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」では、NIS+ スクリプトを使用した NIS+ 名前空間の設定方法について説明しています。
-x オプションを使用して、コマンドを実際に実行せずに各スクリプトを実行できます。このオプションを使用すると、スクリプトが呼び出すコマンドとおおよその結果をシステムを変更せずに確認できます。最初に、-x オプションを使用してスクリプトを実行しておけば、予期しない結果を最小限にできます。
NIS+ スクリプトを使用すれば NIS+ 名前空間の作成に必要な作業が軽減されるとはいえ、スクリプトですべての NIS+ コマンドを代行できるわけではありません。スクリプトは、NIS+ の一部の機能を提供するだけです。NIS+ にまだ慣れていない場合、この節を省略して、NIS+ 名前空間のサンプルを作成してからこの節を読むこともできます。
nisserver スクリプトは、標準のテーブルとアクセス権 (承認) で NIS+ サーバーを設定するだけです。このスクリプトでは次のことは実行しません。
NIS+ 管理グループへ NIS+ 主体を追加する
NIS+ スクリプトではなく nisgrpadm コマンドを使用して、NIS+ 管理グループに特別な NIS+ 主体を追加する方法については、第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」を参照してください。
NIS+ スクリプトではなく rpc.nisd コマンドを使用して、NIS+ クライアントマシンを非ルートサーバーに変更する方法については、第 4 章「スクリプトを使用した NIS+ の設定」を参照してください。
nisclient スクリプトは、DNS を使用してホスト名を検索するように NIS+ クライアントを設定することはありません。この設定を必要とするクライアントの場合、DNS を明確に設定しなければなりません。