Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 リリースノート(UNIX 版)

Message Queue 3.7 UR1 について

Sun Java System Message Queue は、多くの機能を備えるメッセージサービスで、Java Messaging Specification (JMS) 1.1 に準拠する信頼性の高い非同期メッセージングを提供します。Message Queue では、JMS 仕様を超える機能も用意され大規模企業のシステム配備のニーズにも対応できるようになっています。

Message Queue 3.7 UR1 は Message Queue 3.6 の保守リリースです。バグ修正およびいくつかの小さな機能拡張が含まれます。この節では、次の内容について説明します。

このリリースの新機能

Message Queue 3.7 UR1 に含まれる新機能は次のとおりです。

以降の節で、これらの機能について説明しています。

Platform Edition および Enterprise Edition の機能を 1 つに結合

製品の出荷の効率化を図るため、Sun Java Message Queue の Platform Edition および Enterprise Edition を結合します。Message Queue 3.7 UR1 以降、単一の版のみが利用可能となり、スタンドアロンで配布される場合の機能制限が取り除かれています。これにより、より簡単にこの製品をご利用いただけるようになります。

版を結合することで Message Queue は Solaris Enterprise System とより協調でき、Enterprise Edition の広範囲におよぶ機能を永続的に使用する権利を、サポートや保守、賠償のない状態で提供できます。以前のリリースと同様、サポートおよび保守サービス用にいくつかのライセンスオプションを引き続き提供します。Message Queue は引き続き、Java Enterprise System および Application Platform Suite とともにパッケージ化されます。http://www.sun.com のオンラインストアを確認するか、販売担当者にご連絡いただき、ニーズに最適なオプションをお選びください。次の表は、Message Queue の新しい単一版へのアップグレードのパスを示します。

表 1–2 Message Queue 3.7 UR1 へのアップグレードのパス

以前の版 

アップグレードのパス 

コメント 

Platform Edition 

Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 

3.7 UR1の顧客はすべての機能 (Platform および Enterprise) を利用できます。ライセンスを購入すると、サポートオプションを利用できます。 

Enterprise Edition 

Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 

機能の変更はありません。各種ライセンスおよびサポートのオプションを利用できます。 

Platform Edition サポート契約 

Enterprise Edition サポート契約へのアップグレード 

以前のリリースの Platform Edition 用の既存のサポート契約は、引き続き更新されます。以前の Platform Edition リリースに対して新しい Platform Edition 契約が発行されることはありません。 

Enterprise Edition サポート契約 

変更なし 

既存の契約は引き続き更新されます。新しい契約が発行されます。 

次の表は、さまざまな Message Queue 製品の出荷元の変更を示します。

表 1–3 Message Queue 製品の出荷元の変更点

製品 

以前の出荷元 

新しい出荷元 

コメント 

Open Message Queue 

該当なし 

Sun ダウンロードセンター製品ページ 

スタンドアロンのダウンロード。コミュニティーのサポートのみ。サポート契約は利用できません。 

Message Queue Platform Edition 

Message Queue 製品ページ経由の Sun ダウンロードセンター 

利用できなくなりました 

Platform と Enterprise の機能を結合した単一版の Message Queue のみが利用できます。 

Message Queue Enterprise Edition 試用版 (Platform Edition 経由) 

Message Queue 製品ページ経由の Sun ダウンロードセンター 

試用版ライセンスは不要になりました 

不要になりました 

Message Queue Enterprise Edition 90 日試用版 (Java Enterprise System ダウンロードまたは CD 経由) 

バージョン 3 GA (2006 年 3 月) 以前の Java Enterprise System ダウンロードセンター 

Solaris Enterprise System ダウンロードセンター 

Solaris Enterprise System ライセンス。製品ライセンスがある場合は、サポートオプションを利用できます。(90 日試用版ライセンスは不要になりました。) 

Java Enterprise System 経由で出荷された、SunStore、CD、個別のライセンス、Java Enterprise System ライセンス、Suite ライセンス経由の Message Queue Enterprise Edition  

Java Enterprise System または Suite ダウンロードセンター、メディア 

Solaris Enterprise System または Suite ダウンロードセンター、メディアフルフィルメント 

変更なし。 

C-API および C クライアントランタイムのインタフェースの変更

持続ストアの形式の変更

Message Queue では、パフォーマンスを向上するために持続ストア の形式に 2 つの変更が加えられました。1 つはファイルストアに対する変更で、もう 1 つは JDBC ストアに対する変更です。

これらの変更がストアの互換性にも影響するため、ストアバージョンが 350 から 370 に変更されました。Message Queue 3.7 UR1 は、JDBC の持続ストアとファイルベースの持続ストアの両方で、古い 200 および 350 バージョンから 370 バージョンへの持続ストアの自動変換をサポートしています。imqbrokerd を最初に起動したときに、ユーティリティーが古いバージョンのストアを検出した場合、古いストアはそのままで、ストアを新しい形式に移行します。

このアップグレードをロールバックする必要のある場合は、Message Queue 3.7 UR1 をいったんアンインストールして、以前実行していたバージョンを再インストールします。ストアの古いコピーはそのまま残っているので、ブローカはストアの古いコピーを実行できます。

ハードウェアとソフトウェアの要件

Message Queue のハードウェアおよびソフトウェア要件は、『Sun Java Enterprise System インストールガイド』で提供されています。

Solaris 10 ゾーンでの作業

ゾーンは、マシン上で個別の環境を提供し、それぞれのアプリケーションを論理的に分離する Solaris コンテナのテクノロジです。ゾーンを使用すると、Solaris オペレーティングシステムのインスタンス内で仮想的なオペレーティングシステム環境を作成できます。アプリケーションを異なるゾーンで実行すると、同じマシン上で異なるインスタンスまたは異なるバージョンのアプリケーションを実行でき、同時に集中型の管理および効率的なリソースの共有が可能になります。

この節は、ゾーンの簡単な説明および Message Queue 3.7 UR1 での使用法について説明します。

ゾーンの基本

ゾーン環境には、大域ゾーンおよび 1 つ以上の非大域ゾーンが含まれます。Solaris 10 が最初にインストールされた時点では、1 つの大域ゾーンのみがシステムにインストールされます。管理者は大域ゾーンの子としてほかの非大域ゾーンを作成できます。各ゾーンは Solaris を実行する独立したシステムのように見えます。各ゾーンは、それぞれ独自の IP アドレス、システム設定、実行中のアプリケーションのインスタンス、およびファイルシステムの領域を所有します。

大域ゾーンには、非大域ゾーンで共有することが可能なリソースが含まれます。これにより特定の管理機能を集中させることができます。たとえば、大域ゾーンにインストールしたパッケージは、すべての既存の非大域ゾーンで使用または伝達可能です。これにより、インストール、アップグレードおよびアンインストールなどのライフサイクル管理を集中化できます。同時に、非大域ゾーンが提供する分離機能によってセキュリティーが向上し、同じアプリケーションの異なる設定を行なったインスタンスまたは異なるバージョンを同一マシン上で実行できます。

非大域ゾーンは、完全ルートゾーンまたは疎ルートゾーンのどちらかになります。アプリケーション用にどちらの環境を選択するかは、管理制御とリソースの最適化のバランスをどのように判断するかによって異なります。

Java Enterprise System ゾーンの制限事項

Java Enterprise System を構成するコンポーネントはいくつかの共有コンポーネントに依存しているため、ゾーンで作業する場合にはいくつかの制限事項があります。ゾーン環境では、共有コンポーネントは次の規則に従います。

Java Enterprise System のコンポーネント製品であるためこれらの要件は Message Queue のインストールに影響し、そのためにゾーンの使用にも制限があります。


注 –

Message Queue 製品は /usr ディレクトリにインストールされるため、最初に大域ゾーンでインストールまたはアップグレードする必要があります。


Message Queue の場合

Message Queue が大域ゾーンにインストールされた場合、すべての非大域ゾーンに伝達されます。Message Queue を大域ゾーンにインストールしたあと、同じバージョンのMessage Queue がすべてのゾーンにインストールされます。任意のゾーンにログインしてコマンド pkginfo -l SUNWiqu を実行すると、大域ゾーンと同じバージョンがインストールされているのが確認できます。インスタンス、および /var/etc ディレクトリに保持される設定データを共有しないため、各ゾーンで独立した Message Queue ブローカのインスタンスを実行できます。(ほかの Java Enterprise System コンポーネントの大部分は、大域ゾーンにインストールされても伝達されません。)

Message Queue は非大域ゾーンに伝達されるため、大域インスタンスが永久的に非大域ゾーン内のインストール場所にリンクされます。したがって、大域ゾーン内の Message Queue をアンインストールまたはアップグレードした場合は、非大域ゾーン内で実行中のインスタンスに影響します。このために生じる可能性のある予期しない結果を次に示します。

  1. Message Queue 3.7 UR1 を大域ゾーンにインストールします。これにより Message Queue 3.7 UR1 パッケージはすべての非大域ゾーンにもインストールされます。

  2. 完全ルートゾーン内の Message Queue 3.7 UR1 をアンインストールします。そのあと、完全ルートゾーンに Message Queue 3.6 をインストールします。

    これで異なるゾーンに異なるバージョンの Message Queue が実行されます。この設定が便利な場合もあります。

  3. Message Queue 3.7 UR1 を大域ゾーンからアンインストールします。これにより Message Queue は、完全ルートゾーン内の Message Queue 3.6 インスタンスを含むすべてのゾーンからアンインストールされます。

大域ゾーン内の Message Queue のインストールまたはアンインストールは階層的に行われることに常に注意してください。

次の 2 つの事例は、異なるゾーンに Message Queue の異なるインスタンスおよび異なるバージョンをインストールする方法を説明します。


注 –

Message Queue を Solaris 10、Solaris 10U1、または Solaris 10U2 の完全ルートゾーンにインストールする場合は、最初に Lockhart を大域ゾーンでアップグレードする必要があります。詳細は、バグ 645030 の回避策を参照してください。


Procedure異なるゾーンに同じバージョンの Message Queue をインストールするには

  1. 大域ゾーンにインストールしたいバージョンの Message Queue をインストールします。

    これらのバージョンは、既存の非大域ゾーンに伝達されます。さらに追加の非大域ゾーンを作成する場合は、Message Queue はこれらのゾーンにも伝達されます。(疎ルートゾーンと同様、完全ルートゾーンに異なるインスタンスをインストールできますが、疎ルートゾーンを使用するとより効率的なディスク領域およびリソースの使用が可能になります)。

  2. Message Queue を他のすべての非大域ゾーンに伝達させる場合は、この時点でゾーンを作成します。

  3. それぞれの非大域ゾーンで Message Queue のインスタンスを実行します。

Procedure異なるゾーンに異なるバージョンの Message Queue をインストールするには

  1. Message Queue を大域ゾーンからアンインストールします。

  2. 複数の完全ルートゾーンを作成し、各ゾーンが /usr ディレクトリを共有しないよう、ゾーンの作成時に次の指令を使用します

    remove inherit-pkg-dir dir=/usr
  3. それぞれの完全ルートゾーンに異なるバージョンの Message Queue をインストールします。


    注 –

    大域ゾーンでインストールまたはアンインストールされる Message Queue は、完全ルートゾーンで実行中のすべてのインスタンスおよびバージョンの Message Queue に影響することに留意してください。