メッセージは、ヘッダー、プロパティー、および本体の 3 つの部分で構成されています。 メッセージを正しく作成し、特定のメッセージング動作を設定するために、この構造を理解する必要があります。
すべての JMS メッセージにはヘッダーが必要です。ヘッダーには、あらかじめ定義された 10 のフィールドがあります。これらについて、表 2–3 で説明します。
表 2–3 JMS 規定のメッセージヘッダー
この表からわかるように、メッセージヘッダーフィールドは、さまざまな目的に使用されます。たとえば、メッセージの識別、メッセージのルーティングの設定、メッセージ処理に関する情報の提供などです。
もっとも重要なフィールドの 1 つである JMSDeliveryMode によって、メッセージ配信の信頼性が決まります。このフィールドは、メッセージが持続かどうかを示します。
持続メッセージは、必ず 1 回だけ配信されてコンシュームされることが保証されています。持続メッセージは、メッセージサービスで障害が発生しても消失しません。
非持続メッセージは、1 回は配信されることが保証されています。非持続メッセージは、メッセージサービスで障害が発生した場合に消失する可能性があります。
メッセージヘッダーフィールドにはプロバイダ (ブローカまたはクライアントランタイム) が設定するものも、クライアントが設定するものもあります。メッセージプロデューサは、特定のメッセージング動作を得るために、ヘッダー値を設定する必要が生じる場合があります。メッセージコンシューマは、メッセージがどのようにルーティングされ、どのような追加処理が必要かを認識するために、ヘッダー値を読み込む必要が生じる場合があります。
ヘッダーフィールド (JMSDeliveryMode JMSExpiration および JMSPriority) は、次の 3 つの異なるレベルに設定できます。
コネクションファクトリから生成されたすべてのコネクションから出されるメッセージ用。
プロデュースされた各メッセージ用。
特定のメッセージプロデューサから出されるすべてのメッセージ用。
これらのフィールドを複数のレベルに設定した場合、コネクションファクトリに対して設定された値は、個々のメッセージに対して設定された値をオーバーライドします。特定のメッセージに対して設定された値は、メッセージのプロデューサに対して設定された値をオーバーライドします。
メッセージヘッダーフィールドに使用する定数名は、実装されている言語によって異なります。詳細は、『Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 Developer’s Guide for Java Clients』または『Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 Developer’s Guide for C Clients』を参照してください。
メッセージは、プロパティーと呼ばれるオプションのヘッダーフィールドも含めることができます。このフィールドは、プロパティー名とプロパティー値のペアとして指定されます。クライアントとプロバイダはプロパティーを使用して、メッセージヘッダーを拡張し、メッセージの識別と処理に役立つすべての情報を含めることができます。受信側クライアントは、メッセージプロパティーを使用して、指定された基準に適合したメッセージだけを配信するように要求できます。たとえば、コンシューミングクライアントは、ニュージャージーで働くパートタイム従業員の給与に関するメッセージが必要であることを示すことができます。プロバイダは、指定された基準に適合しないメッセージを配信しません。
JMS 仕様では、9 つの標準プロパティーが規定されています。クライアントが設定するプロパティーもあれば、プロバイダが設定するプロパティーもあります。その名前は予約文字「JMSX」で始まります。クライアントまたはプロバイダは、これらのプロパティーを使用して、メッセージの送信者、メッセージの状態、メッセージが配信された回数および時間を判断できます。これらのプロパティーは、プロバイダがメッセージをルーティングしたり、診断情報を提供したりする際に役立ちます。
Message Queue でもメッセージプロパティーが定義されています。これらのプロパティーは、圧縮されたメッセージを識別し、そのメッセージを配信できない場合の処理方法を識別するために使用されます。詳細は、『Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 Developer’s Guide for Java Clients』の「Managing Message Size」を参照してください。
メッセージ本体には、クライアントが交換しようとするデータが含まれます。
表 2–4 に示すように、JMS メッセージのタイプによって、本体に含まれる内容と、コンシューマによる処理方法が決まります。セッションオブジェクトには、メッセージ本体の各タイプに応じた作成メソッドが含まれます。
表 2–4 メッセージ本体のタイプ
タイプ |
説明 |
---|---|
本体に Java プリミティブ値のストリームを含むメッセージです。順番に入力され、読み取られます。 |
|
本体に名前値のペアを含むメッセージです。エントリの順番は定義されていません。 |
|
本体に、XML メッセージなどの Java 文字列を含むメッセージです。 |
|
本体にシリアライズされた Java オブジェクトを含むメッセージです。 |
|
本体に未解釈バイトのストリームを含むメッセージです。 |
|
ヘッダーとプロパティーは含むが、本体は含まないメッセージです。 |
Java クライアントは、送信するメッセージの本体をクライアントランタイムで圧縮するように、プロパティーを設定することができます。コンシューマ側の Message Queue ランタイムは、メッセージを圧縮解除してから配信します。