この節では、Mobile Access ソフトウェアの次の機能を理解し、これらの機能により Portal Server ソフトウェアの機能を拡張する方法について説明します。
ポータルサイトでは、標準ポータルデスクトップ、モバイルポータルデスクトップ、音声ポータルデスクトップの 3 種類のデスクトップが提供されます。これらのポータルデスクトップは、Mobile Access ソフトウェアのコンポーネントの 1 つであるワイヤレスデスクトップディスパッチャによって制御されます。Portal Server デスクトップサーブレットによって、ワイヤレスデスクトップディスパッチャに要求が転送されます。
ワイヤレスデスクトップディスパッチャでは、表示プロファイルの設定データを使用して、ユーザー要求のルーティング先として適切なポータルデスクトップ (標準、モバイル、または音声) が決定されます。
ユーザーのポータルサイトへのアクセス方法にかかわらず、ポータルデスクトップはユーザーのポータルサイトのデフォルトインタフェースになります。ポータルサイトのユーザーがモバイル機器を使用してポータルサイトにアクセスすると、モバイルポータルデスクトップが表示されます。電話を使用してポータルサイトにアクセスした場合は、音声ポータルデスクトップが応答します。
デフォルトでは、次のチャネルをモバイルポータルデスクトップ上でデフォルトで利用および表示できます。
ユーザー情報
ブックマーク
個人用ノート
サンプル XML
モバイルポータルデスクトップの詳細については、第 4 章「モバイルポータルデスクトップの管理」を参照してください。
Mobile Access ソフトウェアは、市販されているほとんどすべてのモバイル機器をサポートしています。各モバイル機器 (クライアント) は、クライアントプロファイルを使用して識別されます。各クライアントには、モバイル機器のブラウザで使用されるデバイスマークアップ言語に基づいて、クライアントタイプと呼ばれる一意の識別子が割り当てられます。
モバイル機器で使用されるマークアップ言語には、次のようなものがあります。
HDML (Handheld Device Markup Language)
cHTML (compact Hypertext Markup Language)
iHTML (i-mode Hypertext Markup Language)
JHTML (J-Sky Hypertext Markup Language)
XHTML (Extensible Hypertext Markup Language)
VoiceXML (Voice Extensible Markup Language)
WML (Wireless Markup Language)
Mobile Access ソフトウェアでは、Nokia 6310i クライアントに対する WML サポートおよび Handspring Treo 180 クライアントに対する cHTML サポートが保証されています。ただし、ユーザーは、これらのマークアップ言語のいずれかを使用するモバイル機器でポータルコンテンツにアクセスできます。
クライアントプロファイルの管理には、Access Manager の管理コンソールの一部である「クライアントマネージャー」が使用されます。モバイルクライアントタイプおよび機器の検出の詳細については、第 2 章「モバイル機器の管理」を参照してください。
Mobile Access ソフトウェアでは、Portal Server ソフトウェアによって提供される認証モジュールのサポートに加え、ユーザーに次のことを許可することも可能です。
モバイルポータルデスクトップへのログイン時にパスワードプロンプトを省略する。
匿名ユーザーとしてログインする。
これらの認証モジュールの使用については、第 3 章「モバイル認証の設定」を参照してください。
Mobile Access ソフトウェアは、 VoiceXMLアプリケーションのフレームワークを提供します。音声機能にアクセスするには、音声認識、テキスト読み上げ、および VoiceXML ブラウザに対応するように音声サーバーを設定する必要があります。
音声アクセスの詳細については、第 6 章「音声アクセスの設定」を参照してください。
Mobile Access ソフトウェアでは、プロバイダ、チャネル、およびコンテナを使用して、コンテンツをモバイルポータルデスクトップに表示します。
このトピックには、次の情報が含まれます。
チャネルによって、コンテンツがモバイルポータルデスクトップに表示されます。チャネルは、プロバイダオブジェクト、設定、およびチャネルをサポートするために必要なデータファイル (テンプレートなど) から構成されています。
コンテナ (コンテナチャネル) は、ほかのチャネルのコンテンツを集めることにより、コンテンツをモバイルポータルデスクトップに表示するチャネルです。Mobile Access ソフトウェアを使用すると、Portal Server ソフトウェアに含まれているコンテナチャネルに次のデフォルトコンテナチャネルが追加されます。
JSPNativeContainer
JSPRenderingContainer
TemplateNativeContainer
VoiceJSPDesktopContainer
WirelessDesktopDispatcher
プロバイダは、モバイルポータルデスクトップ上でユーザーにチャネルコンテンツを提供するための基盤の実装です。プロバイダは、汎用リソースのインタフェースを適合させます。
プロバイダのコンテンツソースには、次のものが含まれます。
ファイル内のコンテンツ
アプリケーションからの出力
サービスからの出力
プロバイダは、モバイル機器のタイプごとに適切な形式でコンテンツを配信する Java クラスファイルです。モバイルポータルデスクトップが作成されると、関連するチャネルのコンテンツについて各プロバイダにクエリーが実行されます。
デフォルトのプロバイダには次のものが含まれます。
JSPRenderingProvider
RenderingWrappingProvider
次の新しいプロバイダがデフォルトコンテナに追加されます。
JSPRenderingContainerProvider
JSPSingleRenderingContainerProvider
WirelessDesktopDispatcherProvider
WirelessJSPDesktopProvider
WirelessTemplateClientConfigProvider
WirelessTemplateContentProvider
WirelessTemplateDesktopProvider
WirelessTemplateLayoutProvider
モバイルポータルデスクトップを設定するためのチャネル、コンテナ、およびプロバイダの使用については、第 4 章「モバイルポータルデスクトップの管理」を参照してください。
モバイル機器を使用すると、ポータルサイトユーザーは HTML ブラウザを使用してアクセスするときと同じコンテンツにアクセスできます。これを可能にする処理は、レンダリングと呼ばれる変換処理です。レンダリングにより、コンテンツを一度だけ作成して、さまざまなモバイル機器に適切に表示することができます。
モバイルレンダリングコンポーネントは、機器を検出し、モバイル機器に表示するために出力をフォーマットします。このコンポーネントは、次の 4 つのサブコンポーネントから構成されています。
クライアントディテクション: ポータルへのアクセスに使用される各モバイル機器の機能および特徴を決定します。これを実行するために、CC/PP (Composite Capability and Preference Profiles) 仕様、UAProf、または事前設定データが使用されます。
レンダリングフィルタ : コンテンツをレンダリングエンジンに渡し、JavaServer Pages™ (JSPTM) ソフトウェアテンプレートで設定されているコンテンツタイプの値を使用して、変換された機器固有のコンテンツをクライアントに渡します。レンダリングフィルタは、すべての認証およびアプリケーション JSP ソフトウェアテンプレートに適用されるサーブレットフィルタです。
レンダリングエンジン : AML (機器独立マークアップ言語) を、クライアントに適した機器固有のマークアップ言語に変換します。
レンダリングされたコンテンツが、対象となる機器のページサイズを超えた場合、レンダリングエンジンは改ページ位置を調整し、それらのページを応答バッファーに保存します。
応答 バッファー : 制限されたデバイスバッファーに収まるように、サイズの大きな出力ストリームを小さいサイズの応答に分けて保存します。応答バッファーは、認証、デスクトップ、モバイルアプリケーションの各コンポーネントで使用されます。
クライアント機器が別のページを要求すると、応答バッファーは次のページで応答します。
Mobile Access ソフトウェアは、ネイティブとレンダリングの両方のチャネルおよびコンテナをサポートしています。ネイティブチャネルは、JSP テクノロジと、Nokia WML クライアントに固有のテンプレートに基づいています。HTML、VoiceXML、および WML をサポートするクライアントは、ネイティブポータルデスクトップのテンプレートを使用します。
レンダリングチャネルでも JSP テクノロジが使用されます。レンダリングチャネルにより、ユーザーはポータルデスクトップを表示して、特定のモバイル機器に固有のレンダリングコンテンツを表示することができます。この機能は、Mobile Access ソフトウェアのレンダリング処理を通過した AML (Abstract Markup Language) テンプレートを使用することにより、可能になります。cHTML、iHTML、JHTML、XHTML、および HDML をサポートするクライアントには、レンダリングされたポータルデスクトップの AML テンプレートが必要です。
Mobile Access ソフトウェアには、ユーザーがモバイルポータルデスクトップでアクセスできる 4 つのデフォルトアプリケーションが用意されています。デフォルトアプリケーションは、次のとおりです。
アドレス帳
カレンダ
メール
FAX
これらのアプリケーションは、モバイルポータルデスクトップがユーザーインタフェースの役目をして、バックエンドサーバーで実行されます。アプリケーションへのリンクが確立されると、Portal Server ソフトウェアの管理外で実行されます。ユーザーは、アプリケーションの使用を終了したら、モバイルポータルデスクトップに戻って他のプロバイダを使用できます。