Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド

Java ES インストーラの動作

ここでは、インストール計画に影響する Java ES インストーラの一部の動作について説明します。

インストーラはローカルである

Java ES インストーラは、コンポーネントソフトウェアを一度に 1 台のコンピュータにインストールします。ほとんどのソリューションは分散構成であり、インストーラを複数回実行する必要があります。インストール計画には、インストールの実行のたびに行う手順を含める必要があります。ここでは、アーキテクチャーを実装するためにインストーラを実行する必要がある回数を、配備アーキテクチャーの分析に基づいて決定する方法について説明します。

ソリューションの中には 1 台のコンピュータにのみインストールされるものがあり、そのようなソリューションのインストール計画は、インストーラを 1 回だけ実行するための手順を定義します。インストーラの実行が 1 回で済むのは次のようなソリューションです。

ほとんどのソリューションは、複数のコンピュータに分散されます。そのようなソリューションのインストール計画では、ソリューション全体をインストールおよび設定するために、複数回のインストーラ実行を記述する必要があります。そのようなソリューションを分析するには、次のガイドラインを使用します。

この節の目的は、インストール計画では時として、1 台のコンピュータ上でのインストーラと設定ウィザードの実行、または、1 台のコンピュータ上での複数回のインストーラ実行を記述しなければならないという概念を紹介することです。さまざまなコンポーネントの組み合わせに対する実際のインストール手順の詳細については、「インストール計画の作成」を参照してください。

インストーラの動作モード

インストーラは、「今すぐ設定」と「あとで設定」の 2 つの異なるモードで動作します。2 つのモードの違いは次の点です。

選択した設定オプションは、インストールセッション全体に適用されます。「今すぐ設定」モードと「あとで設定」モードで一部のコンポーネントをコンピュータ上にインストールしたい場合は、インストーラを複数回実行する必要があります。

インストーラの互換性チェック

Java ES インストーラでは、依存性と互換性に関するいくつかのチェックが実行されます。ただし、インストーラでチェックできるのはローカルコンピュータのみです。たとえば、分散ソリューションで Access Manager をインストールする場合、インストーラでは、インストールする Access Manager との互換性がリモート Directory Server にあるかどうかのチェックを行うことはできません。

同じ Java ES リリースのすべてのコンポーネントを含む完全に新規のソリューションをインストールし設定する場合、互換性が問題になることは考えられません。確立済みのソリューションに新しいコンポーネントを追加している場合や、既存のコンポーネントの周囲に Java ES ソリューションを構築している場合、そのことが問題となる可能性があります。たとえば、すでに Directory Server を使用しており、Access Manager と Portal Server を使用するソリューションを既存の Directory Server の周囲に構築している場合、コンポーネント間の互換性が問題となります。新しいコンポーネントのインストールと設定を開始する前に、コンポーネントの互換性を確認する必要があります。

インストールに関するその他の問題

この節では、一部のソリューションで発生するいくつかの固有の問題を、詳細な情報の参照先とともに示します。

表 3–2 考慮する必要のあるインストールの問題

ソリューションに必要なもの 

ガイドラインまたは取扱説明書 

Solaris 10 ゾーンの使用 

Solaris 10 ゾーンへのインストールを予定している場合、付録 A 「Java ES と Solaris 10 ゾーン」を参照してください。

Directory Server 暗号化の使用 

Directory Server インスタンス上で LDAPS (SSL over LDAP) を設定します。 

Access Manager でのサードパーティー製 Web コンテナの使用

サードパーティー製 Web コンテナ (BEA WebLogic Server または IBM WebSphere Application Server) を Portal Server および Access Manager と組み合わせて使用できます。これらのコンテナは、コンテナに依存する Java ES コンポーネントをインストールする前にインストールして実行する必要があります。

Access Manager SDK に対してサードパーティー製 Web コンテナを使用するには、インストール後に Access Manager SDK を手動で設定する必要があります。『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』「コンテナの設定を使用する Access Manager SDK の例」を参照してください。

注意: Portal Server は、Solaris OS 上ではサードパーティー製 Web コンテナのみを使用できます。 

注意: Access Manager と Portal Server では同じ種類の Web コンテナを使用することが推奨されます。 

負荷分散プラグインに対する Apache Web Server の使用

Apache Web Server は、Application Server の負荷分散プラグインで使用することができます。この場合、Apache Web Server は、このサーバーに依存する Java ES コンポーネントをインストールする前にインストールし、実行する必要があります。 

スキーマ 1 LDAP の使用

スキーマ 1 配備については、Access Manager を使用できません。 

シングルユーザーエントリとシングルサインオンの設定

シングルサインオンを行うには Access Manager が必要です。 

HADB を使用した高可用性の設定 

高可用性のための HADB の設定手順の概要は、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』「Web とアプリケーションサービスの例」に記載されています。

Application Server 負荷分散 

Application Server の負荷分散プラグインの使用手順の概要は、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』「Web とアプリケーションサービスの例」に掲載されています。

非ルート所有権 

Application Server または Web Server に対して非ルート所有権が必要な場合は、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』「root 以外のユーザーでのインストール例」を参照してください。