Sun Java System Portal Server の配備には、Web コンテナが必要になります。Web コンテナはポータルアプリケーションのコンポーネントを管理するもので、通常は Sun Java System Application Server または Sun Java System Web Server のいずれかです。
Portal Server は、3 つのアプリケーションサーバーをサポートしています。JavaTM Web Server ソフトウェアに加えて、Web アプリケーションコンテナとして使用されるアプリケーションサーバーは次のとおりです。
Sun Java SystemApplication Server 8.2
BEA WebLogic ServerTM Server 8.1 SP4 および 8.1 SP5
IBM WebSphere® Application Server 5.1.1.6
Portal Server をアプリケーションサーバーで実行すると、次のことが可能になります。
アプリケーションサーバープラットフォームからポータルプラットフォームを切り離す。これにより、組織に最適の Portal Server とアプリケーションサーバーの組み合わせを選択できる
アプリケーションサーバーコンテナで実行される Enterprise JavaBeansTM アーキテクチャーおよびその他の J2EETM 技術を呼び出す
セッションフェイルオーバー クラスタ内の を使用する (BEA WebLogic Server およびApplication Server Enterprise Edition でのみ現在利用可能)
ポートレットセッションフェイルオーバーを提供する
ここでは、Application Server Enterprise Edition ソフトウェア、BEA WebLogic Server、および IBM WebSphere Application Server がアプリケーションサーバークラスタをどのように管理するかを説明します。アプリケーションサーバークラスタは、各サーバーがホストするサービスへの共有アクセスを可能にするために協力するアプリケーションサーバーの粗結合グループです。クラスタは、スケーラビリティーを実現するために、リソース要求、リソースの高可用性、およびアプリケーションロジックのフェイルオーバーのバランスをとることを目標にします。Portal Server および Access Manager は純粋な Web アプリケーションではありません。これらのアプリケーションは、マシンに存在するローカルファイルと、17 個のデフォルト Web アプリケーションから構成されています。デフォルト Web アプリケーションの多くはポートレットです。デフォルトのアプリケーション数は次のとおりです。
portal
amserver
ampassword
amcommon
amconsole
search1
psconsole
communityportlets
filesharing
portletsamples
ipc1
ipc2
rssportlet
guessnumber
wsssoportlet
surveys
wiki
Java Enterprise System は、ローカルファイルをインストールして設定し、ローカルアプリケーションサーバーを設定してから WAR ファイルをローカル Web アプリケーションコンテナに配備します。WAR ファイルは、自己完結型のファイルではありません。WAR ファイルは、サービスを提供するためにマシン上のローカルファイルおよびディレクトリを利用します。
アプリケーションサーバークラスタは、異なるマシンでホストされる可能性がある、多くのアプリケーションサーバーインスタンスをグループ化する論理エンティティーです。純粋の Web アプリケーションは、アプリケーションサーバー固有の配備ツールを使用してクラスタに配備されます。クラスタに配備されると、Web アプリケーションはクラスタを構成するすべてのサーバーインスタンスに配備され、集中管理されます。
Portal Server はローカルアプリケーションとして、また Web アプリケーションとしての 2 つの性質があるため、次の手順を実行して Portal Server をアプリケーションサーバーにインストールします。
同じ構成の設定を使用してすべてのマシンに Portal Server をインストールします。
Web アプリケーション (ポータル、amserver、および psconsole . . .) をクラスタに配備します。
次のセクションでは、Portal Server をアプリケーションサーバークラスタで実行可能にするのにはどのような意味があるのかについて説明します。
Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8 は、エンタープライズアプリケーションを開発、配備、および管理するための堅牢な J2EE プラットフォームを提供しています。主要な機能としては、トランザクション管理、パフォーマンス、スケーラビリティー、セキュリティー、統合性などが挙げられます。この Application Server は、Web パブリッシングから企業規模のトランザクション処理までのサービスをサポートします。
この Application Server には、Platform Edition と Enterprise Edition が用意されています。Platform Edition は無償で配布され、ソフトウェア開発および部門レベルの本稼動環境を構築するために使用できます。Enterprise Edition は、ミッションクリティカルなサービスと大規模な本稼動環境向けに設計されており、ロードバランサとクラスタ管理によって水平方向のスケーラビリティーとサービスの継続性をサポートしています。また、Enterprise Edition は、高可用データベース (HADB: Highly Available Database) によってセッションの継続性もサポートしています。詳細は、次の Application Server Enterprise Edition のマニュアルを参照してください。
http://docs.sun.com/db/coll/1310
BEA WebLogic Server 製品は、次の定義を使用します。
ドメイン。1 つの単位として管理される WebLogic Server リソースの相互関係のある集合。ドメインには、1 つ以上の WebLogic Server が含まれ、WebLogic Server クラスタが含まれる場合もあります。
管理サーバー。管理サービスを実行する WebLogic Server。管理サービスは、ドメイン全体の設定および監視の集中制御を可能にします。管理サーバーは、ドメインに対する管理操作を実行するためには、そのドメインで稼働している必要があります。
管理対象サーバー。複数の WebLogic Server があるドメインでは、1 つのみが管理サーバーであり、他のサーバーは管理対象のサーバーと呼ばれます。WebLogic の各管理対象サーバーは、それぞれの設定を起動時に管理サーバーから入手します。
詳細については、次のマニュアルを参照してください。
http://edocs.beasys.com/wls/docs81/cluster/overview.html#1000572
次のコマンドで管理サーバーを起動します。
install_dir/config/domain_name/startWeblogic.sh
ローカルサーバーは、その設定を install_dir /config/domain_name/config.xml ファイルから取得します。
管理対象サーバーを起動するには、次のコマンドを使用します。
install_dir/config/domain_name/startManagedWebLogic.sh servername admin_server_url
管理サーバーは、その設定を install_dir /config/domain_name/config.xml ローカルファイルから取得するのではなく、HTTP を使用して管理サーバーから取得します。
Portal Server を BEA WebLogic Server にインストールするためにサポートされているデフォルトの構成は、ドメインの管理サーバーでもある単一サーバーです。
BEA クラスタは同じドメイン内の、WebLogic コンソールでクラスタとして宣言された管理対象サーバーの集合です。Web アプリケーションを配備するときには、個々のサーバーの名前ではなく、クラスタの名前を使用します。配備後、Web アプリケーションは、クラスタ内のすべてのマシンに同じように配備されます。
BEA のセッションフェイルオーバーについては、次のマニュアルに説明があります。
http://edocs.beasys.com/wls/docs81/cluster/failover.html#1022034
HTTP セッション状態のためにメモリー内レプリケーションを使用するには、次の前提条件を満たす必要があります。
Portal Server が、メモリー内セッションレプリケーションで WebLogic Server クラスタの使用をサポートする。それらのクラスタの設定方法については、BEA のマニュアルを参照してください。BEA に同梱される HttpClusterServlet を使用するクラスタ用のロードバランサの構成については、『Sun Java Enterprise System 2005Q5 インストールガイド』を参照してください。BEA のマニュアルに記載されているその他のロードバランスのハードウェアおよびソフトウェアも同様に設定できます。
セッションのデータは直列化可能である必要がある。
セッションの状態を変更するのに、setAttribute を使用する。
BEA クラスタをインストールするには、クラスタに参加する各マシンに対する BEA ライセンスは特別な BEA クラスタライセンスである必要があります。BEA ライセンスの取得および HttpClusterServlet を使用した BEA クラスタの設定手順については、BEA のマニュアルを参照してください。
IBM WebSphere Application Server 製品は、次の定義を使用します。
配備マネージャー: 中心的な管理マネージャーです。WebSphere Application Server の基本製品をほかのマシンにインストールしません。配備マネージャーは 1 台のシステムでのみホストされます。
セル: 配備マネージャーによって管理されるノードエージェントを含むノード (サーバー) によって構成されています。配備マネージャーは、WebSphere Application Server の基本ノードを連携させるため、管理対象のセルを拡張します。
クラスタ: 組み合わせて使用できるサーバーのグループを指し、アプリケーションサーバー構成を追加で作成するか、またはほぼ同じコピーを作成することで作業負荷を分散させます。このグループは BEA クラスタに相当します。クラスタは、Application Server の複数の同一コピーです。詳細は、次の IBM WebSphere Application Server のマニュアルを参照してください。http://www-306.ibm.com/software/webservers/appserv/was/library/library51.html
WebSphere Application Server Network Deployment Edition は、複数サーバーの本稼動環境で実行されるアプリケーションサーバーに対応しています。基本的なクラスタおよびキャッシュのサポートに加え、集中管理も提供します。
WebSphere Advanced Server Network Deployment は、データベースを備えているため、より強力なクラスタを実現可能にします。Advanced Server では、すべてのサーバーが設定情報用のデータベースを使用します。WebSphere 管理コンソール、Swing アプリケーション、またはコマンド行ユーティリティーの XMLConfig および wscpthen を使用してサーバーを管理できます。