Portal Server のパフォーマンスは、個々のチャネルの実行速度によって決定されます。また、ポータルに対するユーザーの体感は、ポータルデスクトップが表示される速度に基づきます。ポータルデスクトップは、最低の速度で表示されるチャネルと同じ速度でのみ読み込みを行うことができます。たとえば、10 個のチャネルから構成されるポータルデスクトップを考えてみます。9 つのチャネルが 1 ミリ秒で描画されるが、10 番目のチャネルが 3 秒かかる場合は、ポータルデスクトップはポータルが 10 番目のチャネルを処理するまで表示されません。各チャネルが要求を最短時間で処理できるようにすることによって、ポータルデスクトップのパフォーマンスの向上を実現できます。
速度とスケーラビリティーの向上を目的としてポータルチャネルを実装するために選択できるいくつかの方法を次に示します。
ポータルサーバーではなく、バックエンドシステムおよびアプリケーションサーバーに処理機能を置きます。ポータルサーバーは、ユーザーからの要求の取得を最適化する必要があります。できるかぎり多くのビジネスロジック処理をバックエンドシステムに任せます。可能なかぎり、カスタマイズしたコンテンツを処理するためではなく、ユーザーに配信するためにポータルを使用します。
バックエンドシステムが高度にスケーラブルでパフォーマンスがよい状態になるようにします。ポータルデスクトップは、(チャネルで表示する) 情報の入手先のサーバーと同程度の速度で応答します
プロバイダを設計する際には、データの格納場所、ポータルがデータを入手する方法、プロバイダがデータを入手する方法、およびデータのタイプを理解します。たとえば、データが個々のユーザーに関係する動的なデータであるか、あるいはカスタマイズされたまたはパーソナライズされたデータを取得するのにコードが必要かどうかなどです。また、データが静的であり、小さなグループのユーザーによって共有されるかなどです。次に、データの存在場所 (たとえば、XML ファイル、データベース、フラットファイルなど) とデータの更新の頻度を理解する必要があります。最後に、プロバイダがパーソナライズされたチャネルをユーザーに配信できるように、データの処理にどのようにビジネスロジックが適用されるかを理解する必要があります。
プロバイダの配備を計画するときには、次のことを考慮します。
URLScraperProvider。通常、このプロバイダは、別の Web コンテナの Web ベースのシステムが供給するダイナミックコンテンツにアクセスするために使用します。このプロバイダは、コンテンツを取得するために HTTP および HTTPS 呼び出しを使用します。バックエンドシステムに高いスケーラビリティーと可用性が要求されるので、このプロバイダは、バックエンドシステムに高い要求を課します。 高いパフォーマンスを実現するために、パフォーマンスは 1/10 秒単位である必要があります。このプロバイダは、構成が単純であるため、ポータルの配備の試験段階で考え方が正しいか確認するのに役立ちます。
URLScraperProvider は、ページを取得するたびにある程度の書き換えも実行します。たとえば、チャネルが別の Web サイトにホストされている写真を含むニュースのページを取得する場合、ポータルがその写真を表示できるようになるには、その写真の URL を書き換える必要があります。ポータルはその写真をホストしていないので、URLScraperProvider はポータルのユーザーに表示するためにその写真を書き換える必要があります。
Portal Server の一部である URL スクレイパープロバイダは、ファイルスクレイパープロバイダとしても機能します。
URLScraperProvider をファイルスクレイパープロバイダとして使用するには、次のように URL を指定します。
String name=“url”value="file://path/ filename”
コンテンツの取得速度の観点から見ると、このプロバイダはもっとも優れているプロバイダです。コンテンツの最初の取得では、このプロバイダのパフォーマンスは通常 13 〜 15 ミリ秒程度になります。それ以降の要求に対しては、組み込みのキャッシュメカニズムを使用して、このプロバイダは通常 1 ミリ秒以下でコンテンツを配信できます。適用可能な場合、URL スクレイパープロバイダの代わりにファイルスクレイパープロバイダを使用することを考えてみます。
JSPProvider。JavaServer PagesTM (JSP) 技術を使用します。JSPProvider は、1 つまたは複数の JSP ファイルからコンテンツを取得します。JSP ファイルには、静的なドキュメント (HTML のみ) と、または HTML およびタグに埋め込まれた Java プログラミング言語を含む、標準の JSP ファイルとがあります。JSP ファイルには別の JSP ファイルを含めることができます。ただし、最上位の JSP ファイルのみをディスプレイプロファイルによって設定できます。最上位の JSP ファイルは、contentPage 、editPage、および processPage プロパティーによって定義されます。
LoginProvider。ポータルデスクトップチャネルによって、Access Manager の認証サービスへのアクセスを提供します。このプロバイダは、ユーザーがポータルデスクトップから直接ログインできるように、匿名ポータルデスクトップログインを可能にします。
XMLProvider。XSLT (XML Style Sheet Language) ファイルを使用して、XML ドキュメントを HTML に変換します。XML ドキュメントタイプに一致する適切な XSLT ファイルを作成する必要があります。XMLProvider は、URLScraperProvider を拡張したものです。このプロバイダは、j2se 1.5 が提供する javax.xml.transform クラスを使用します。
SimpleWebServiceProvider。URLScraperProvider のサブクラスである SimpleWebServicProvider は、Simple Object Access Protocol (SOAP) を通じて WSDL ファイルを取得し、関連する Web サービスと通信します。