Sun Java Enterprise System 5 Update 1 技術の概要

サービス品質コンポーネント

Java ES サービス品質コンポーネントにより、システムサービスコンポーネントまたは分散型アプリケーションコンポーネントが提供するサービス品質が向上します。システムがほぼ連続的に稼動することを可能にする可用性コンポーネント、システムサービスへのセキュリティー保護されたエンドユーザーアクセスを可能にするアクセスコンポーネント、また Java ES ソリューションの保守容易性の向上に使用するシステム管理コンポーネントがあります。

Java ES サービスコンポーネントをサポートするコンポーネントは、次のカテゴリにグループ化され、この節で説明しています。

可用性コンポーネント

可用性コンポーネントは、システムサービスコンポーネントおよびアプリケーションコンポーネントがほぼ連続的に稼動することを可能にします。ここでは、次の Java ES 可用性コンポーネントについて説明します。

High Availability Session Store 4.4

Sun Java System High Availability Session Store (HADB) が提供するデータストアを使用すれば、障害発生時でもアプリケーションのデータが利用可能になります。この機能は、クライアントセッションに関連付けられた状態情報の復元に特に重要です。この機能がないと、セッション中に障害が発生した場合、セッションの再確立時にすべてのオペレーションを繰り返す必要があります。

次の Java ES コンポーネントは、セッション状態情報を格納するサービスを提供します。Application Server、Access Manager、および Message Queue。ただし、これらのコンポーネントの中で、障害時にセッション状態を保持するために HADB サービスを使用できるのは Application Server のみです。

Java ES インストーラでは、HADB はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。ただし、HADB サービスを提供するにはサーバーとクライアントの両方のサブコンポーネントが必要です。

Sun Cluster 3.1 8/06 および Sun Cluster エージェント 3.1


注 –

Sun Cluster コンポーネントは、Solaris プラットフォームでのみサポートされます。


Sun Cluster ソフトウェアは、高可用性サービスおよび高スケーラビリティーサービスを、Java ES とJava ES インフラストラクチャーに基づくアプリケーションに対して提供します。

クラスタとは緩やかに結合された一連のコンピュータ (クラスタノード) のことであり、サービス、システムリソース、およびデータの単一のクライアントビューを一括して提供します。クラスタの内部では、冗長コンピュータ、インターコネクト、データ記憶域、およびネットワークインタフェースを使用して、クラスタベースのサービスおよびデータに高可用性を提供します。 Sun Cluster ソフトウェアは、メンバーノードおよびその他のクラスタリソースの健全性を継続的に監視し、障害が発生した場合でも、内部の冗長性を利用してそれらのリソースへのほぼ連続的なアクセスを提供します。

Java ES インストーラでは、Sun Cluster コアサブコンポーネントおよび Sun Cluster エージェントが、個別にインストール可能なコンポーネントとして提供されます。次の Sun Cluster エージェントが Java Enterprise System に含まれます。


注 –

次のリストの HA は、高可用性を表します。



注 –

エージェントのリストは、SPARC と x86 では異なります。Sun Cluster Agents についての詳細は、http://docs.sun.com/app/docs/prod/entsys.5 の Sun Cluster のマニュアルを参照してください。


Sun Cluster Geographic Edition 3.1 2006Q4

Sun Cluster Geographic Edition は、Sun Cluster ソフトウェアを階層的に拡張したものです。この拡張は、地理的に離れた複数のクラスタを使用し、これらのクラスタ間でデータを複製する冗長なインフラストラクチャーを使用することによって、予期しない中断からアプリケーションを保護します。Java ES 5 は、Sun Cluster Geographic Edition を Java ES 製品コンポーネントとして含む最初のリリースです。

Sun Cluster Geographic Edition には、次のサブコンポーネントが含まれます。


注 –

Sun Cluster Geographic Edition は、Solaris x86 ではサポートされていません。


アクセスコンポーネント

アクセスコンポーネントは、システムサービスへのフロントエンドアクセスを可能にし、多くの場合、エンタープライズファイアウォールの外にあるインターネットからのアクセスを可能にします。ここでは、次の Java ES アクセスコンポーネントについて説明します。

Portal Server Secure Remote Access 7.1

Sun Java System Portal Server Secure Remote Access (Portal Server Secure Remote Access) は、Portal Server のコンテンツとサービスに対するブラウザベースのセキュリティー保護されたリモートアクセスを任意のリモートブラウザに対して提供することで、Portal Server を拡張します。これにより、クライアントソフトウェアを用意する必要がなくなります。Portal Server との統合により、ユーザーはセキュリティー保護されたアクセスで、アクセス権があるコンテンツやサービスにアクセスすることができます。

Portal Server Secure Remote Access には、次のサブコンポーネントが含まれます。

Web Proxy Server 4.0.5

Sun Java System Web Proxy Server (Web Proxy Server) は、Web コンテンツのキャッシュ機能、フィルタリング機能、および配信機能を提供します。Web Proxy Server は通常、企業のファイアウォールの内側ではリモートのコンテンツサーバーに対する要求数を低減するために使用され、ファイアウォールの外側では受信されたインターネット要求に対するセキュリティー保護されたゲートウェイを提供するために使用されます。

Java ES インストーラでは、Web Proxy Server はインストール可能な単一のコンポーネントとして提供されます。

監視コンポーネント

Sun Java System Monitoring Console 1.0 (Monitoring Console) には、Java ES 配備内のすべてのノードエージェントに接続するマスターエージェントが含まれます。Monitoring Console は、Sun Java System Monitoring Framework 2.0 (Monitoring Framework) によってサポートされ、監視対象コンポーネントの属性を公開するために、すべての監視対象コンポーネントに必要なインストゥルメンテーションとノードエージェントを提供する、共有コンポーネントです。それぞれの製品コンポーネントは監視可能な属性を表すオブジェクトを公開し、ノードエージェントはホスト上の複数のコンポーネントの表示を集約します。監視についての詳細は、『Sun Java Enterprise System 5 Update 1 Monitoring Guide 』を参照してください。