レプリカの昇格と降格は、レプリケーショントポロジで、レプリカの役割を変更することを意味します。専用コンシューマをハブに変更したり、ハブをマスターに変更したりできます。また、マスターをハブに変更したり、ハブを専用コンシューマに変更したりすることもできます。ただし、マスターを直接コンシューマに格下げしたり、コンシューマを直接マスターに格上げすることはできません。
マルチマスターレプリケーションのメカニズムでレプリカの役割を変更できることで、トポロジがとても柔軟になります。コンシューマレプリカが処理を担当していたサイトの負荷が増え、複数のレプリカを持つハブによる処理が必要になることもあります。レプリカの内容に対して多数の変更が含まれるときは、ハブをマスターに昇格させることで、ローカルな変更に迅速に対応し、その変更を他のサイトの他のマスターにレプリケートできます。
レプリカを昇格または降格させる場合は、次のことに注意します。
コンシューマを昇格させると、ハブになります。ハブを昇格させると、マスターになります。サーバーをコンシューマからマスターに直接昇格させることはできません。まずコンシューマをハブに昇格させてから、ハブをマスターに昇格させる必要があります。同様に、マスターをコンシューマに降格させる場合、マスターをハブに降格させてから、ハブをコンシューマに降格させる必要があります。
マスターをハブに降格させると、レプリカは読み取り専用となり、残りのマスターに対してはリフェラルを送信するように設定されます。新しいハブは、設定されているすべてのコンシューマをハブまたは専用コンシューマとして維持します。
シングルマスターレプリケーションでマスターをハブに降格させると、マスターレプリカの存在しないトポロジが作成されます。新しいマスターを定義することを前提として、Directory Server でもこのような変更が可能です。ただし、マスターを降格させる前にマルチマスターとして新しいマスターを追加し、初期化できるようにしておくことをお勧めします。
ハブをコンシューマに降格させる前に、ハブとのすべてのレプリケーションアグリーメントを無効にするか、削除しておく必要があります。これを実行しないと、降格操作が次のエラーによって失敗します: LDAP_OPERATIONS_ERROR “Unable to demote a hub to a read-only replica if some agreements are enabled”。
そのハブのコンシューマが他のハブまたはマスターによって更新されるように設定されていない場合、そのコンシューマは更新されなくなります。これらのコンシューマが更新されるように、残りのハブまたはマスターに新しいアグリーメントを作成する必要があります。
コンシューマをハブに昇格させると、更新履歴ログが有効になり、コンシューマとの間に新しいアグリーメントを定義できるようになります。
ハブをマスターに昇格させると、レプリカは更新要求を受け付けるようになり、他のマスター、ハブ、または専用コンシューマとの間に新しいアグリーメントを定義できるようになります。
このタスクは DSCC を使用して実行することができます。詳細については、「Directory Service Control Center のインタフェース」および DSCC オンラインヘルプを参照してください。