Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 管理ガイド

Directory Server のコマンド行ツール

DSCC で実行する作業のほとんどは、コマンド行ツールを使用して実行できます。これらのツールによって、コマンド行から直接 Directory Server を管理し、スクリプトを使用してサーバーを管理できます。

主なディレクトリサーバーのコマンドは、dsadmdsconf です。これらのコマンドを使用して、バックアップ、LDIF へのエクスポート、証明書の管理などを行えます。これらのコマンドについては、dsadm(1M) および dsconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

dpconfdsconfdsmig dsccmondsccreg、および dsccsetup は LDAP ベースのコマンドなので、認証を行うにはこれらのコマンドのユーザーバインド DN とパスワードを指定する必要があります。一方、dpadm コマンドと dsadm コマンドはインスタンスファイルで動作します。

この節では、Directory Server コマンド行ツールの次の情報について説明します。

Directory Server コマンドの場所

Directory Server コマンド行ツールは、デフォルトインストールディレクトリにあります。


install-path/ds6/bin

インストールディレクトリは、オペレーティングシステムによって異なります。すべてのオペレーティングシステムのインストールパスは、「デフォルトのパスとコマンドの場所」に一覧表示されています。

dsconf の環境変数の設定

dsconf コマンドでは、いくつかのオプションが必要となりますが、それらは環境変数によってあらかじめ設定することができます。コマンドを使用する際にオプションが指定されていない場合や、環境変数が設定されていない場合は、デフォルト設定が使用されます。環境変数は次のオプションに対して設定できます。

-D user DN

ユーザーバインド DN。環境変数: LDAP_ADMIN_USER。デフォルト: cn=Directory Manager

-w password-file

ユーザーバインド DN のパスワードファイル。環境変数: LDAP_ADMIN_PWF。デフォルト: パスワード入力用のプロンプトを表示する。

-h host

ホスト名。環境変数: DIRSERV_HOST。デフォルト: localhost

-p LDAP-port

LDAP ポート番号。環境変数: DIRSERV_PORT。デフォルト: 389

-e, --unsecured

dsconf がデフォルトで開くクリア接続を指定します。環境変数: DIRSERV_UNSECURED。この変数が設定されていない場合、dsconf はデフォルトでセキュリティー保護された接続を開きます。

詳細は、dsconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

dsadmdsconf の比較

次の表に、dsadm コマンドと dsconf コマンドの比較を示します。

表 2–1 dsadm コマンドと dsconf コマンドの比較

 

dsadm コマンド

dsconf コマンド

説明 

ローカルホストで直接実行する必要がある管理コマンド。次に例を示します。

  • サーバーの起動または停止

  • サーバーインスタンスの作成

リモートホストから実行できる管理コマンド。次に例を示します。

  • レプリケーションの有効化

  • キャッシュサイズの設定

注 

サーバーは停止している必要があります (dsadm stop コマンドと dsadm info コマンドを除く)。

サーバーはサーバーインスタンスパス (instance-path ) によって特定されます。

サーバーインスタンスパスへの OS アクセス権を持っている必要があります。 

サーバーが実行中である必要があります。 

サーバーはホスト名 (-h)、ポート ( -p) または LDAPS セキュアポート (-P) によって特定されます。

ポート番号を特定しないと、dsconf はデフォルトポート (LDAP の場合は、389) を使用します。

たとえば、ユーザー cn=admin,cn=Administrators,cn=config など設定データへの LDAP アクセス権を持っている必要があります。 

dsadm dsconf を使用するためのヘルプの表示

dsadm コマンドと dsconf コマンドの使用方法についての詳細は、dsadm(1M) および dsconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

dsconf を使用した設定プロパティーの変更

dsconf のさまざまなサブコマンドを使って、ユーザーは設定プロパティーを表示したり、変更したりできます。

個々のプロパティーの詳細は、各プロパティーのマニュアルページを参照してください。マニュアルページは、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 Man Page Reference 』にあります。

dsconf を使用した複数値プロパティーの設定

特定の Directory Server プロパティーは複数の値をとることができます。これらの値を指定する構文は、次のとおりです。


$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name \
 property:value1 property:value2

たとえば、サーバーに対して複数の暗号化方式を設定するには、次のコマンドを使用します。


$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 ssl-cipher-family:SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5 \
 ssl-cipher-family:SSL_DHE_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA

すでに値が含まれている複数値プロパティーに値を追加するには、次の構文を使用します。


$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name property+:value

すでに値が含まれている複数値プロパティーから値を削除するには、次の構文を使用します。


$ dsconf set-container-prop -h host -p port container-name property-:value

たとえば、前述の例で、暗号化方式のリストに SHA 暗号化方式を追加するには、次のコマンドを実行します。


$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 \
 ssl-cipher-family+:TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA

このリストから MD5 暗号化方式を削除するには、次のコマンドを実行します。


$ dsconf set-server-prop -h host1 -p 1389 ssl-cipher-family-:SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5

マニュアルページ

マニュアルページには、Directory Server で使用するコマンドと属性すべての説明が記載されています。さらに、マニュアルページには配備でコマンドを使用する方法についての有効な例もいくつか記載されています。

旧バージョンのツール

旧バージョンのツールは、下位互換性のために通常の Directory Server ツールに含まれています。これらのツールは、含まれてはいますが、推奨されていません。