ジャンボフレームを有効にするには、仮想スイッチデバイスの最大転送単位 (MTU) を指定します。このような場合、仮想スイッチデバイスとその仮想スイッチデバイスにバインドされているすべての仮想ネットワークデバイスで、指定した MTU 値が使用されます。
特定の状況では、仮想ネットワークデバイス上で MTU 値を直接指定できます。これは、仮想ネットワークデバイスで必要な MTU 値が仮想スイッチによってサポートされる MTU 値よりも小さい場合に行うことがあります。
Solaris 10 5/09 OS では、物理デバイスの MTU は仮想スイッチの MTU と一致するように構成する必要があります。特定のドライバの構成については、Solaris リファレンスマニュアルの 7D 節にある、そのドライバに対応するマニュアルページを参照してください。たとえば、nxge ドライバの情報については、nxge(7D) マニュアルページを参照してください。
OpenSolarisTM OS では、vsw ドライバは物理デバイスの MTU を自動的に構成します。したがって、追加構成は必要はありません。
制御ドメインにログインします。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を取得します。
役割には、承認および特権付きコマンドが含まれます。役割の詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」 を参照してください。
仮想ネットワークで使用する MTU の値を決定します。
1500 ~ 16000 バイトの MTU 値を指定できます。指定する MTU は、仮想スイッチに割り当てられた物理ネットワークデバイスの MTU と一致する必要があります。
仮想スイッチデバイスまたは仮想ネットワークデバイスの MTU 値を指定します。
次のいずれかを実行します。
MTU を mtu プロパティーの値として指定することで、サービスドメインの新しい仮想スイッチデバイスでジャンボフレームを有効にします。
# ldm add-vsw mtu=value vswitch-name ldom |
このコマンドは、仮想スイッチの構成に加えて、この仮想スイッチにバインドされる各仮想ネットワークデバイスの MTU 値を更新します。
MTU を mtu プロパティーの値として指定することで、サービスドメインの既存の仮想スイッチデバイスでジャンボフレームを有効にします。
# ldm set-vsw mtu=value vswitch-name |
このコマンドは、仮想スイッチの構成に加えて、この仮想スイッチにバインドされる各仮想ネットワークデバイスの MTU 値を更新します。
まれに、ldm add-vnet または ldm set-vnet コマンドを使用して、仮想スイッチの MTU 値と異なる MTU 値を仮想ネットワークデバイスに指定する必要がある場合があります。たとえば、VLAN を仮想ネットワークデバイス上で構成し、VLAN の MTU の最大値が仮想スイッチの MTU 値よりも小さい場合、仮想ネットワークデバイスの MTU 値を変更する場合があります。デフォルトの MTU 値のみが使用されているドメインでは、ジャンボフレームをサポートしている vnet ドライバは必要ない場合があります。ただし、ジャンボフレームを使用する仮想スイッチにバインドされた仮想ネットワークデバイスがドメインに存在する場合、vnet ドライバがジャンボフレームをサポートしていることを確認してください。
ldm set-vnet コマンドを使用して仮想ネットワークデバイスで mtu 値を指定する場合、あとで仮想スイッチデバイスの MTU 値が更新されても、仮想ネットワークデバイスには更新値は伝播されません。仮想ネットワークデバイスを再度有効にして仮想スイッチデバイスから MTU 値を取得するには、次のコマンドを実行します。
# ldm set-vnet mtu= vnet-name ldom |
仮想ネットワークデバイスでジャンボフレームを有効にすると、その仮想ネットワークデバイスに割り当てられているハイブリッド I/O リソースでもジャンボフレームが自動的に有効になります。
制御ドメインでは、Logical Domains Manager が、ldm set-vsw および ldm set-vnet コマンドによって設定された MTU 値を遅延再構成処理として更新します。制御ドメイン以外のドメインの MTU を更新するには、ドメインを停止してから ldm set-vsw または ldm set-vnet コマンドを実行して MTU 値を変更する必要があります。
OpenSolaris 2009.06 の dladm set-linkprop コマンドは、Logical Domains 仮想ネットワークデバイスの MTU 値の変更には使用できません。
次の例に、MTU 値が 9000 の新しい仮想スイッチデバイスを追加する方法を示します。この MTU 値は、仮想スイッチデバイスからすべてのクライアントの仮想ネットワークデバイスに伝播されます。
まず、ldm add-vsw コマンドによって、仮想スイッチデバイス primary-vsw0 を MTU 値 9000 で作成します。ネットワークデバイス nxge 0 のインスタンス 0 は、net-dev プロパティーの値として指定されています。
# ldm add-vsw net-dev=nxge0 mtu=9000 primary-vsw0 primary |
次に、ldm add-vnet コマンドによって、クライアントの仮想ネットワークデバイスをこの仮想スイッチ primary-vsw0 に追加します。仮想ネットワークデバイスの MTU は、バインドされている仮想スイッチから暗黙に割り当てられます。そのため、ldm add-vnet コマンドで mtu プロパティーの値を指定する必要はありません。
# ldm add-vnet vnet01 primary-vsw0 ldom1 |
ifconfig コマンドによって、サービスドメイン primary の仮想スイッチインタフェースを plumb します。ifconfig vsw0 コマンドの出力には、mtu プロパティーの値が 9000 であることが示されます。
# ifconfig vsw0 plumb # ifconfig vsw0 192.168.1.100/24 up # ifconfig vsw0 vsw0: flags=201000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4,CoS> mtu 9000 index 5 inet 192.168.1.100 netmask ffffff00 broadcast 192.168.1.255 ether 0:14:4f:fa:0:99 |
ifconfig コマンドによって、ゲストドメイン ldom1 の仮想ネットワークインタフェースを plumbします。ifconfig vnet0 コマンドの出力には、mtu プロパティーの値が 9000 であることが示されます。
# ifconfig vnet0 plumb # ifconfig vnet0 192.168.1.101/24 up # ifconfig vnet0 vnet0: flags=201000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4,CoS> mtu 9000 index 4 inet 192.168.1.101 netmask ffffff00 broadcast 192.168.1.255 ether 0:14:4f:f9:c4:13 |
次の例に、ifconfig コマンドを使用してインタフェースの MTU を 4000 に変更する方法を示します。
インタフェースの MTU は、Logical Domains Manager によってデバイスに割り当てられた MTU よりも小さい値にのみ変更できます。この方法は、VLAN が構成されていて各 VLAN インタフェースに異なる MTU が必要なときに便利です。
# ifconfig vnet0 mtu 4000 # ifconfig vnet0 vnet0: flags=1201000843<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST,IPv4,CoS,FIXEDMTU> mtu 4000 index 4 inet 192.168.1.101 netmask ffffff00 broadcast 192.168.1.255 ether 0:14:4f:f9:c4:13 |