OpenWindows ユーザーズガイド (上級編)

第 7 章 メールの使い方

SunOS には、電子メール (email) の送受信に使われる mailx というプログラムがあります。mailx を使って、メッセージの読み取りと書き込み、送信と受信、および保存と削除ができます。mailx プログラムはウィンドウベースではないため、任意の端末上で実行できます。ウィンドウベースのメールのほうが好まれるかもしれませんが、簡単なメッセージを急いで送信する場合は、mailx プログラムのほうが便利です。ユーザ専用のメールエイリアスを設定する場合も、この章を参照してください。


注 -

OpenWindows 環境でメールツールのアイコンが画面に表示されている場合は、メールツールを終了してからこの章の例を実行してください。メールツールを終了しないと、2 つのメールプロセスが有効になるため、エラーメッセージや警告が出されることがあります。コマンドツールやシェルツールのウィンドウ内では正常にメッセージの送受信ができます。しかし、メールを読み取った後でメッセージを保存したり削除すると、受信箱の「トレイ」が影響を受けるため、メールツールの混乱の原因になります。


mailx の基本

この節では、mailx を使うために最低限必要なことについて説明します。この章の後半では、mailx プログラムを効率よく使うための機能と特徴について説明します。

メールの受信者のログイン名とマシン名は、mailx プログラム用の一意のアドレスとして使われます。メールの受信者が送信者と同じマシン上にいる場合は、ログイン名だけ分かれば十分です。各ユーザは、メールを受信するためのメールボックスを持っています。通常、このメールボックスは /var/mail/username ディレクトリ (username は各ユーザのログイン名) にあります。

メールが受信されると mailx プログラムはその旨をユーザに知らせ、メールボックスにメールを収納します。ユーザがメールを読んだ後、mailx はそれらのメールを自動的に mbox という記録ファイルに格納します。mbox ファイルは、ユーザのホームディレクトリにあります。

mailx の起動

mailx を起動するには、プロンプトに対して次のコマンドを入力し、Return キーを押します。

$ mailx

メールボックスにメールがない場合は、次のようなメッセージが画面に表示されます。

No mail for username
$

username は各ユーザのログイン名です。

自分宛てにメールを送信する

mailx の機能を試すには、まず最初に自分自身にメールを送信してみましょう。プロンプトに対して mailx コマンドをもう一度入力しますが、今回は自分のアドレス (ログイン名とマシン名) も指定します。たとえば、ログイン名が rose でマシン名が texas の場合、アドレスは rose@texas となります (@ シンボルは「at」の意味)。ローカルネットワーク上でのログイン名を使うこともできます (疑問点についてはシステム管理者に問い合わせてください)。

$ mailx rose@texas

mailx プログラムは、Subject: という行を表示します。

$ mailx rose@texas
Subject:

ここで、メールの内容を説明する表題を入力して、Return キーを押します。次に、メールの本文を入力します。行の長さは短くおさえて、各行の終わりで Return キーを押します (Return キーを押す前ならば、Back Space キーで後退して再入力することによって文を修正できます)。

メールのサンプルを下記に示します (空白行は、Return キーで作成したものです)。

$ mailx rose@texas
Subject: to someone who really cares

Dear Rosey,

From the ends of your fingers
To the tip of your nose
You're a cool breeze in August
My sweet Texas Rose.


See you soon,

Rose

メールを送信するには、メールの最終行で Return キーを押してから Ctrl-D を押します。メールが送信されると、コマンドプロンプトの状態に戻ります。

自分宛てのメールの読み方

自分宛てのメールを読むには、mailx コマンドをもう一度入力します。画面に以下のようなメッセージが表示されます。

$ mailx
Mail version 4.0 Thu Jan 16 12:59:09 PST 1992  Type ? for help.
"/var/mail/rose": 2 messages 1 new
 U  2 hal@uncertain   Fri Feb 14 12:01   14/318 financial status
>N  1 rose@texas      Mon Feb 17 08:12   21/453 to someone who
&

最初の行には実行中の mail のバージョンが表示され、2 行目には到着するメールが収納されるメールボックス (通常は /var/mail/username にある) の場所が表示されます。この例では 3 行目に、自分に送ったメールに関する情報が表示されています。行の先頭の「N」(new を表す) は、これが「新しい」メールであることを示します。「U」(unread を表す) は、新しいメールが到着したのに、前回 mailx プログラムを実行したときには読まれなかったことを意味します。(この画面の内容については、「メールの読み方」で詳しく説明します。) 各メールには、受信時に番号が割り当てられます。

ユーザ rose の自分宛てのメールには、1 というメール番号が付いています。

メールを読むには、アンパサンド (&) で示される mailx プロンプトに対して次のようにメールの番号を入力します。

$ mailx
Mail version 4.0 Thu Jan 16 12:59:09 PST 1992  Type ? for help.
"/var/mail/rose": 1 message 1 new
>N  1 rose@texas   Fri Jul 14 12:01 21/453 to someone who
& 1

To: rose@texas
From: rose@texas
Subject: to someone who really cares

Dear Rose,

From the ends of your fingers
To the tip of your nose
You're a cool breeze in August
My sweet Texas Rose.


See you soon,

Rose

&

mailx の終了

mailx を使い終えたら、q (quit) または x (exit) コマンドのどちらかを入力してプログラムを終了できます。

今回の例では、mailx プロンプトに対して q と入力して Return キーを押します。

& q

すると、次のようなメッセージが表示されます。

Saved one message in home_directory/mbox.

home_directory は、ホームディレクトリのパス名です。

mailx プロンプトに対して q と入力して mailx を終了した場合、mailx は読み終わったメールをメールボックスから削除してホームディレクトリ内の mbox ファイルに保存します。メールを変更したり削除した場合は、その内容も保存されます。

& x

mailx プロンプトに対して x と入力して Return キーを押した場合、読み終わったメールは mbox ファイルに移動されず、変更や削除の内容も保存されません。

メールの読み方

メールが存在する場合、ユーザがログインするたびに mailx は次のどちらかのメッセージを表示してその旨を知らせます。

You have mail

または

You have new mail

メールを読むには、コマンドプロンプトに対して mailx と入力し、Return キーを押します。メールがない場合は、次のメッセージが表示されます。

No mail for username

メールがある場合は、次のようなリストが表示されます。

$ mailx
Mail version 4.0 Thu Jan 16 12:59:09 PST 1992  Type ? for help.
"/var/mail/rose": 4 messages 1 new 2 unread
    1 rose@texas        Fri Feb 14 12:01 21/453 to someone who
 U  2 hank@fretful      Fri Feb 14 18:31 19/353 so lonely I
 U  3 farmer@freeway    Sat Feb 15 10:22 24/557 looks like my
>N  4 hoover@woofer     Sun Feb 16 23:59 14/280 big old furry
&

最初の行には、mailx プログラム自身に関する情報 (バージョン番号と日付) とヘルプの参照方法 (Type ? for help) が表示されます。

次の行には、メールボックスの場所、受信されたメールの数とその状態が表示されます。

その次の行には、メールボックス内のメールが番号付きで表示されます。各行のカラムの内容は、左から右に以下のとおりです。

メールボックス内のメールの数が多い場合は、このリストにすべてのメールが表示されないこともあります。その場合は、次のように入力します。

メールボックス内の最新のメール (> 付きで表示されたもの) を参照するには、Return キーを押します。Return キーをもう一度押すと、次のメールが表示されます。リスト内の任意のメールを参照するには、その番号を入力して Return キーを押します。

メールの削除と削除の取り消し

メールを読み終えたら、mbox ファイルに保存しないで削除することもできます (デフォルトでは、q コマンドで mailx プログラムを終了すると mbox に保存されます)。

読み終わった最後のメールを削除するには、mailx プロンプトに対して d と入力します。メールボックスから特定のメールを削除するには、次のコマンドを実行します。

d number

たとえば、2 番目のメールを削除するには、mailx プログラム内から次のコマンドを実行します。

& d 2

一度に複数のメールを削除することもできます。1 番目と 3 番目のメールを削除するには、次のコマンドを実行します。

& d 1 3

一定範囲のメールを削除することもできます。たとえば 1 〜 3 番目のメールを削除するには、次のコマンドを実行します。

& d 1-3

mailx を終了する前なら、メールボックスから削除したメールを復元 (削除の取り消し) できます。次の形式のコマンドを入力して Return キーを押します。

u number

たとえば、2 番目のメールを復元するには、次のコマンドを実行します。

& u 2

前回の削除コマンドを取り消すには、削除した直後に mailx プロンプトに対して u と入力します。たとえば、前回の削除コマンドが d 2-5 の場合は、u と入力すると 2 〜 5 番目のメールの削除が取り消されます。

q コマンドで mailx を終了すると、すべての削除操作が確定されます。つまり、削除したメールを復元することはできなくなります。ただし、x コマンドで mailx を終了すればメールボックスを以前の状態に保つことができます。前述のように、x コマンドで mailx を終了すると、読み終わったメールでも U が付けられて表示され、削除したメールも削除されなかったことになります。

メールの印刷

メールをプリンタコマンドにパイプすることによって、メールを印刷できます。メールの印刷には、mailx プロンプトに対して次の形式のコマンドを実行します。

|number lp

| シンボルはパイプと呼ばれます。たとえば、2 番目のメールを印刷するには、次のように入力して Return キーを押します。

& |2 lp

メールの番号が指定されない場合は、現在のメールがプリンタにパイプされます。パイプについての詳細は、第 2 章「SunOS の基本コマンド」「コマンド出力のリダイレクトとパイプ」を参照してください。

メールの送信

mailx プログラムを使ってメールを送信する場合は、メールの受信者のログイン名が必要です。受信者が別のマシン上にいる場合は、そのユーザのマシン名も必要になります。これらの情報を調べるために、whofingerrusers などのコマンドを使うことができます。

who コマンドを入力すると、ファイルサーバに現在ログインしている全ユーザのリストが表示されます。このリストには、ユーザのログイン名、その端末の型、ログインした日付と時間が表示されます。who のリストを次に例示します。

$ who
    elmer       tty15        Feb 20 10:22
    susan       tty04        Feb 20 10:37
    stormy      tty07        Feb 20 11:49
    hankw       tty06        Feb 20 12:02

finger コマンドを入力すると、who コマンドと同様の情報がより詳細に表示されます。システム管理者によるこのコマンドの設定状態によって、表示される情報の内容は異なります。たとえば、次のような情報が表示されます。

$ finger
    Login      Name             TTY        Idle     When
    elmer      Elmer Brown    tty15     43       Thu 10:22
    susan      Susan Lake     tty04              Thu 10:37
    stormy     Stormy Ball    tty07     12       Thu 11:49
    hankw      Hank Wilson    tty06     22       Thu 12:02

rusers コマンドを入力すると、ローカルネットワークに現在ログインしているユーザに関する情報が表示されます。rusers コマンドの使い方についての詳細は、第 9 章「ネットワークの使い方」を参照してください。

必要なユーザ情報を確認できたら、次の手順に従ってメールを送信します。

  1. mailx コマンドの後に続けてユーザのアドレスを入力します。

    $ mailx user@machine
    

    user は受信者のログイン名、machine は受信者のマシン名です。

    • mailx プログラムをすでに起動している場合は、mailx プロンプトに対して m の後に受信者のログイン名とマシン名を @ で区切り入力します。

      & m user@machine
      

    • 同じメールを複数の受信者に送信する場合は、次の例のように各アドレスをスペースかコンマで区切ります。

      $ mailx hank@fretful sally@dakota tex@twister
      

      または

      $ mailx hank@fretful,sally@dakota,tex@twister
      

  2. Return キーを押すと、mailx プログラムはメールの表題を入力するよう subject: と表示してくるので、表題を入力してもう一度 Return キーを押します。

  3. メールの本文を入力します。改行する場合は、Return キーを押します。

    画面上で文が複数行に渡って表示されていても、Return キーを押していなければ改行したとは見なされません。


    注 -

    メールの各行のテキストの最大長は 256 文字です。この制限を超えると、画面が動かなくなります。その場合は、Ctrl-C を 2 回押してメールの入力を中止してください。


  4. メールの入力が終わったら、Return キーを押して改行します。次に、Ctrl-D を押してメールを送信します。

送信できないメール

メールを送信するときに正しくないユーザアドレスを指定すると、システムの応答として次のようなメッセージが表示され、メールはメールボックスに戻されます。

user@machine...User unknown

次回、mailx コマンドを入力したときに、次のように表示されてメールが届かなかった旨が知らされます。

N 1 Mailer-Daemon Fri Jan 3 11:13 8/49 Returned mail: User unknown

また、メールが届かない場合は、ホームディレクトリ内の dead.letter というファイルにそのメールがコピーされます。

送信しないメールの取り消し

送信前ならば Ctrl-C を 2 回押すことによって、メールの入力を取り消すことができます。

カーボンコピーとブラインドカーボンコピーの追加

メールを送信する前に、「カーボンコピー」を To: で指定した受信者以外に送信するよう指定できます。また、「ブラインドカーボンコピー」も送信できます (メールの全受信者は、カーボンコピーの宛先アドレスを読み取ることができますが、ブラインドカーボンコピーのアドレスは読み取れません)。

自分自身にカーボンコピーやブラインドカーボンコピーを送信すれば、独自の記録として送信したメールのコピーを保管できます。

メールと一緒にカーボンコピーを送信するには、次の 3 つの方法があります。

メールやファイルのコピーを挿入する

メールボックス内にある任意のメールのコピーを現在作成中のメールに挿入することができます。同様に、任意のテキストファイルのコピーも挿入できます。

メールの挿入

メールの本文作成中に他のメールを挿入するには、次の形式のコマンドを使います。

‾m number

number は、挿入するメールの番号です。たとえば、メールボックスの 3 番目のメールのコピーを取り込んで新規のメールを作成し、それを他のユーザに送信する場合は、次の手順を実行します。

  1. メールの本文作成中に改行してから ‾m 3 というコマンドを入力し、Return キーを押します。

  2. Interpolating: 3 (continue) というメッセージが mailx によって表示されます。

  3. 送信者の画面には 3 番目のメールの内容は表示されませんが、受信者の画面には表示されます。(continue) の後に続けてメールを入力するか、取り込んだコピーをそのまま送信します。

  4. 取り込んだコピーも含めたメール全体を表示するには、‾p コマンドを入力します。

ファイルの挿入

メールの本文作成中に任意のテキストファイルのコピーを挿入することもできます。そのコマンドの形式は次のとおりです。

‾r filename

たとえば、outline というファイルを挿入するには、次のように入力します。

‾r outline

メールへ応答する

メールに返事を出すには、mailx プロンプトに対して次のコマンドを実行します。

r number

メールの番号を入力しないと、現在のメールへの応答となります。たとえば、2 番目のメールの送信者に応答するには、次のコマンドを実行します。

& r 2

mailx は自動的に応答先のアドレスを指定し、Re: Subject: という行を表示します。この行には応答するメールの Subject: 行の内容が表示されます。この応答のメールは、通常のメールと同様に送信できます。

R コマンドは r コマンドの変形で、送信者だけでなく、応答するメールの受信者全員に対しても応答を送ります。不必要なメールが作成されるのを防ぐため、このコマンドは本当に必要な場合にだけ使うようにしてください。


注 -

前節で説明したのと同様の方法で、応答にもメールのコピーを挿入できます。応答するメールのコピーを挿入するには、メールの番号を指定しないで ‾m コマンドを実行します。


メールの保存と読み取り

メールの送受信の他に、メールを保存しておき、そのメールを後で読むことができます。mailx では、通常のテキストファイルにメールを追加することによってメールを保存できます。また、フォルダと呼ばれる特殊ファイルにメールを追加することもできます。これらの方法について次に説明します。

mailx では、メールの保存とメールのコピーは区別されます。メールを保存すると、そのメールはメールボックスから削除されてファイルやフォルダに追加されます。一方、メールをコピーすると、メールはメールボックス内に残り、そのコピーがファイルやフォルダに追加されます

メールをファイルに保存およびコピーする

メールをファイルに保存するには、mailx プロンプトに対して次の形式のコマンドを実行します。

s number filename

number は保存するメールの番号、filename はメールが保存されるファイル名です。たとえば、3 番目のメールを ‾/notes/finance というファイルに保存するには、次のように入力します。

& s 3 ‾/notes/finance

(パス名中の は、各ユーザのホームディレクトリを示します。)

複数のメールを一度に同じファイルに保存することもできます。たとえば、3、5、6、7、8 番目のメールを ‾/notes/finance に保存するには、次のように入力します。

& s 3 5-8 ‾/notes/finance

指定したファイルが存在しない場合は、mailx によって作成されます。ファイルが存在する場合は、保存するメールはファイルの終わりに追加されます。

メールをファイルに保存すると、そのメールはメールボックスから削除されます。この場合は、保存されたメールの見出しにアスタリスク (*) が表示されます。

3 番目のメールをメールボックスに残したまま別のファイルに追加 (コピー) する場合は、次のように copy コマンドを入力します。

& c 3 ‾/notes/finance

メールをフォルダに保存およびコピーする

フォルダにメールを保存またはコピーする場合は、ファイルのようなフルパス名を指定する必要はありません。フォルダは、フォルダディレクトリに保管されている特殊ファイルです。

フォルダにメールを保存またはコピーすると、同じディレクトリ内にメールが自動的に保管され、長いパス名を入力しなくてもそのディレクトリに簡単にアクセスできます。

フォルダディレクトリの設定

フォルダを使うには、まず最初にフォルダディレクトリ (フォルダ用のディレクトリ) を設定する必要があります。(フォルダディレクトリは通常、ホームディレクトリ内に設定します。) このため以下の 2 つの手順を実行します。

  1. 最初に、mkdir コマンドを使ってディレクトリを作成します。

    たとえば、Letters というフォルダディレクトリを設定するには、次のようなディレクトリを作成します。

    $ mkdir Letters
    

  2. 次に、フォルダディレクトリのパスを設定するために、テキストエディタを使ってホームディレクトリ内の .mailrc ファイルを編集します。.mailrc ファイルには、mailx で使われるオプションが入っています。

    次の例のように、新しく作成したフォルダディレクトリのフルパス名を指定するために、set folder 変数を編集します。

    set folder=/home/austin/rose/Letters
    

    C シェルの短縮名である を使ってホームディレクトリを指定することもできます。

    set folder=‾/Letters
    

これでフォルダディレクトリは、フォルダに保存されるメールを受け取るよう設定されます。(.mailrc ファイルの変更内容は、次回 mailx を起動したときに有効になります。)

フォルダの指定

フォルダにメールを保存またはコピーするときは、ファイルの場合と同じコマンドを使います。ただし、フォルダ名の前にはパス名の代わりにプラス記号 (+) を付けます。+ は、フォルダをフォルダディレクトリ (ここでは Letters) に保存するよう mailx に指示します。

たとえば、3 番目のメールを projects というフォルダに保存するには、次のように入力します。

& s 3 +projects

mailx は、このコマンドを「3 番目のメールを ‾/Letters/projects に保存する」という意味に解釈します。(指定のフォルダが存在しない場合は、mailx によって作成されます。)

メールをフォルダにコピーする場合は、次のように入力します。

& c 3 +projects

ファイルやフォルダにメールを直接送信する方法

メールのコピーは、任意のファイルやフォルダに直接送信できます。フォルダにコピーを送信する場合は、Cc: プロンプトまたは Bcc: プロンプトに対してフォルダ名 (たとえば、projects) を入力するだけです。ファイルにコピーを送信する場合も同様ですが、ファイルのフルパス名を指定する必要があります。

ファイルやフォルダ内のメールを読み取る

ファイル内に保存されたメールを読み取るには、次の形式のコマンドを使います。

mailx -f filename

たとえば、‾/memos/finance ファイル内のメールを読み取るには、次のように入力します。

$ mailx -f ‾/memos/finance

フォルダに保存されたメールを読み取る場合も同じコマンドを使います。その場合は、フルパス名の代わりに + 記号を使います。たとえば、projects フォルダ内のメールを読み取るには、次のように入力します。

$ mailx -f +projects

このコマンドは、指定されたファイルやフォルダに対して mailx を起動し、それらのファイルやフォルダ内に存在するメールの見出しを表示します。読み取るメールを選択するには、mailx プロンプトに対してメールの番号を入力し、Return キーを押します。

mailx プログラム内からもフォルダを操作できます。フォルダのリストを参照するには、mailx プロンプトに対して次のように入力します。

& folders

メールボックスからフォルダに切り換えるには、次の形式のコマンドを使います。

& folder +foldername

メールボックスに戻るには、mailx プロンプトに対して次のように入力します。

& %

mailx を起動したなかで最後に使用したフォルダに戻るには、次のように入力します。

& #

mailx での vi の使い方

mailx の実行中に vi テキストエディタを使ってメールを作成できます。これにより、メールを送信する前にテキストの追加や削除、誤りの修正などができるようになります。vi に慣れていない場合は、第 6 章「vi エディタの使い方」を参照してください。

mailx プログラムでは、vi の標準的なコマンドを使ってテキストの挿入、削除、変更ができます。

vi を使ってメールを作成するには、次の手順に従います。

  1. mailx プロンプト (&) またはコマンドプロンプト ($) に対して、アドレスを指定した mailx コマンドを実行します。

  2. Subject: 行に表題を入力して、Return キーを押します。

  3. 改行してから ‾v コマンドを実行して vi を起動します。vi の画面に /tmp ディレクトリ内の空ファイルが表示されます。

  4. vi のコマンドを使ってメールの本文を入力し編集します。

  5. 編集が完了したら、:wq Return キーまたは ZZ コマンドで vi を終了します。

    vi を終了すると、mailx によって (continue): というメッセージが表示されます。ここで、vi を使わずにメールに何か書き加えるか、または Ctrl-D を押してメールを送信します。

メールエイリアス

メールエイリアスとは、単一の名前によってまとめられたユーザ名の集合です。

メールを同一のユーザグループに繰り返し送信する場合は、メールエイリアスを使うと便利です。たとえば、 hank@fretfulgeorge@lonesomesally@dakota という 3 ユーザに頻繁にメールを送信する場合は、amigos というメールエイリアスを作成できます。それ以降 amigos 宛てにメールを送信すると、この 3 ユーザがすべてそのメールを受信することになります。

メールエイリアスは、次の 2 箇所で設定できます。

.mailrc ファイルで設定されたメールエイリアスと /etc/aliases ファイルで設定されたメールエイリアスとでは、その働きが異なります。それらの相違点は、この節の終わりにある表 7-1 にまとめてあります。

.mailrc ファイルでメールエイリアスを設定する

.mailrc ファイルでメールエイリアスを設定する場合は、次の点に注意してください。

.mailrc ファイルは、各ユーザのホームディレクトリ内にあります。このファイルには、mailx とメールツールの動作を制御する多数の設定が入っています。

.mailrc にメールエイリアスを追加するには、次のように入力します。

$ vi ‾/.mailrc    


注 -

.mailrc ファイルの編集には任意のテキストエディタを使えます。上記の例は、vi エディタを使って編集する方法を示しています。vi に慣れていない場合は、第 6 章「vi エディタの使い方」を参照してください。


各メールエイリアスは、.mailrc ファイル内で 1 行ごとに記述されています。つまり、複数の行に渡っていても、途中にキャリッジリターンが入っていることはありません。各メールエイリアスには、以下の情報をスペースで区切って記述しなければなりません。

下記の例は、2 つのメールエイリアスを示しています。最初の amigos には 3 ユーザ、2 番目の softball には 8 ユーザが含まれています。softball の行では、名前が画面上では複数行に渡って表示されていますが、Return キーが入力されていない限り問題はありません。

alias amigos hank@fretful george@lonesome sally@dakota
alias softball earl@woofer tex@twister elmer@farmhouse
jane@freeway hank@fretful jj@walker sally@dakota steve@hardway

.mailrc ファイル内のエイリアスに含まれるユーザにメールを送信する場合は、そのメールエイリアスをアドレスに指定し、マシン名は指定しないようにします。たとえば、次のようにして送信します。

$ mail amigos
Subject: Let's eat

Hey Compadres. How about
getting together for lunch on Friday?
Anyone interested?

受信者は、次のようなメールを受け取ります。To: の行が展開されていることに注意してください。

To: hank@fretful george@lonesome sally@dakota
Subject: Let's eat

Hey Compadres. How about getting together for lunch on Friday?
Anyone interested?

/etc/aliases でメールエイリアスを設定する

/etc/aliases ファイルでメールエイリアスを設定する場合は、次の点に注意してください。

/etc/aliases で作成されるメールエイリアスの形式は、.mailrc の形式とは若干異なります。/etc/aliases 内の各エイリアスは、次の形式でなければなりません。

/etc/aliases ファイルを変更するには、最初に root ユーザになる必要があります。root がパスワードで保護されている場合は、root のパスワードが必要です。

次のコマンドを入力してシステムの root ユーザになります。

$ su
Password:
#

root ユーザになるとコマンドプロンプトが変わることに注意してください。

次の例は、メールエイリアス softball@texas をデフォルトの /etc/aliases ファイルに追加する方法を示しています。

# vi /etc/aliases     
##
#Aliases can have any mix of upper and lower case on the left-
#hand side,
#but the right-hand side should be proper case (usually lower)
#
#     >>>>>>>>>>The program "newaliases" will need to be run after
#     >> NOTE >>this file is updated for any changes to
#     >>>>>>>>>>show through to sendmail.
#
#@(#)aliases 1.10 89/01/20 SMI
##
# Following alias is required by the mail protocol, RFC 822
# Set it to the address of a HUMAN who deals with this system's
mail problems.
Postmaster: root

# Alias for mailer daemon; returned messages from our MAILER-
DAEMON
# should be routed to our local Postmaster.
MAILER-DAEMON: postmaster

# Aliases to handle mail to programs or files, eg news or vacation
# decode: "|/usr/bin/uudecode"
nobody: /dev/null

# Sample aliases:
# Alias for distribution list, members specified here:
#staff:wnj,mosher,sam,ecc,mckusick,sklower,olson,rwh@ernie

# Alias for distribution list, members specified elsewhere:
#keyboards: :include:/usr/jfarrell/keyboards.list

# Alias for a person, so they can receive mail by several names:
#epa:eric

#######################
# Local aliases below #
#######################
softball@texas: earl@woofer
tex@twister elmer@farmhouse
jane@freeway hank@fretful jj@walker sally@dakota steve@hardway
:wq         (vi を終了して /etc/aliases ファイルを保存する)
# exit      (root ユーザを終了する)
$


注 -

/etc/aliases ファイルの編集には任意のテキストエディタを使えます。上記の例は、vi エディタを使って編集する方法を示しています。vi に慣れていない場合は、第 6 章「vi エディタの使い方」を参照してください。


/etc/aliase ファイル内のポンド記号 (#) は、その後のテキストやエイリアスの例が注釈であることを示しています。先頭にポンド記号が付いた行の情報は、実際のエイリアスとしては処理されません。

意図的にエイリアスを使わないようにする場合以外は、このファイルに追加するエイリアスの前にはポンド記号を付けないでください。

/etc/aliases 内のエイリアスに含まれるユーザに対してメールを送信する場合は、そのエイリアスとマシン名をメールのアドレスとして指定します。たとえば、次のようにして送信します。

$ mail softball@texas
Subject: Practice Today

Let's meet at the diamond
behind Building 4 after work tonight.
Goodness knows we can use the practice for Saturday's game! Be
there as early as you can.

受信者は、次のようなメールを受け取ります。

To: softball@texas
Subject: Practice Today

Let's meet at the diamond behind Building 4 after work tonight.
Goodness knows we can use the practice for Saturday's game! Be
there as early as you can.

To: の行が展開されていないことに注意してください。

/etc/aliases で設定されたメールエイリアスを使ってメールを送信する場合は、そのエイリアスが設定されているマシン名を必ず指定します。たとえば、マシン freeway 上で riders というメールエイリアスを設定した場合は、riders@freeway と指定してメールを送信しなければなりません。

.mailrc で設定されたメールエイリアスと /etc/aliases で設定されたメールエイリアスとの相違点を表 7-1 にまとめます。

表 7-1 .mailrc/etc/aliases のメールエイリアス比較

 

.mailrc

/etc/aliases

変更するために root になる必要性

なし 

あり 

メッセージを送信するときのアドレス 

alias

alias@machinename

To: 行と Cc: 行で受信者の一覧がつくか 

つく 

つかない 

名前をコンマで区切るか 

区切らない 

区切る 

すべての名前を 1 行内に記述するか 

する 

しない 

他のユーザがメールエイリアスを使えるか  

使えない 

使える 

メールエイリアスについての詳細は、システムプロンプトに対して man aliases または man addresses と入力してマニュアルページを参照してください。

チルドコマンド

メールの作成中に、チルドコマンドを使ってさまざまな機能を実行できます。通常、チルドコマンドはチルド文字 () の後に 1 文字を付けたものです。次の表 7-2 では、便利なチルドコマンドをいくつか説明しています。これらのコマンドの一部はすでにこの章で紹介したものです。


注 -

メールにチルド文字そのものを使いたい場合は、チルド文字を 2 つ入力します。これによりチルド文字が 1 つだけ表示されます。


表 7-2 チルドコマンド (mailx)

コマンド 

機能 

‾!command

シェルコマンドを実行する 

‾.

ファイルの終わりを示すCtrl-D と同じ機能 

‾?

チルドコマンドのヘルプメニューを表示する 

‾b username

ブラインドカーボンコピー (Bcc:) のリストにユーザ名を追加する 

‾c username

カーボンコピー (Cc:) のリストにユーザ名を追加する 

‾d

dead.letter ファイルの内容を現在作成中のメールに読み込む

‾f number

 

指定されたメールを送信する。メールの読み取り中にメッセージを送信する場合のみ有効 

‾h

見出し行のプロンプト (Subject:、To:、Cc:、Bcc:) を表示する 

‾m number

 

指定されたメールを現在作成中のメールに挿入する。メールの読み取り中にメッセージを送信する場合にのみ有効 

‾p

画面に入力されたメッセージを表示する 

‾q

Ctrl-C を 2 回押すのと同じ機能。作成中のメッセージ本文が空でない場合は、その内容が dead.letter ファイルに保存される

‾r filename

指定されたファイルを読み込む 

‾s string

表題の行 (Subject:) を string に変更する

‾t name

指定された名前を To: リストに追加する 

‾w filename

現在作成中のメールから見出し行を取り除いたものを指定されたファイルに書き込む 

‾x

mailx を終了する。メッセージが dead.letter ファイルに保存されない点以外は ‾q と同じ

ヘルプコマンド: その他の mailx コマンド

mailx には、コマンドとその機能のリストを表示するヘルプコマンドが 2 種類あります。コマンドモードで使われるコマンドのリストを参照するには、mailx プロンプト (&) に対して ? を入力します。同様に、入力モード (メールの作成中など) では、同等のコマンドである ‾? を入力すれば、チルドコマンド (チルドエスケープとも呼ばれる) のリストを参照できます。

マニュアルページでは、mailx コマンドをより技術的に詳しく説明しています。mailx のマニュアルページを参照するには、次のコマンドを入力します。

$ man mailx

または、『SunOS リファレンスマニュアル』のセクション 1「ユーザコマンド」を参照してください。