この章では、Solaris 7 Software CD に含まれている 『Solaris 7 オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルを作成後に明らかになった、実行時のバグ情報と注意事項について説明します。オンラインリリース情報については、「オンラインリリース情報」を参照してください。
Solaris 全般に関する情報と、日本語環境に固有の情報とを分けて説明しています。「Solaris 7 実行時の注意事項とバグ情報」には、Solaris 7 全般に関する情報が記載されています。「Solaris 7 実行時の注意事項とバグ情報 (日本語環境固有)」には、日本語環境に固有の情報のみが記載されています。
この章に記載されている情報は、Solaris 7 Software CD に含まれている『Solaris 7 オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルの内容を補足するものです。
この節では、Solaris 7 実行時の注意事項およびバグ情報について説明します。
Solaris 7 および CDE は、西暦 2000 年に対応しています。システムの日時を変更するには、date コマンドを使用します。テストなどの目的で、システムの日時を 2000 年以降に変更する場合は、システムをいったん停止するかまたはシングルユーザーモードにシャットダウンした後、シングルユーザーモードで date コマンドを使用してください。日時の変更後は、システムをブートしてマルチユーザーモードで使用することができます。
処理速度が遅いシステムでは、sys-suspend(1M) がハングしてスクリーンがリフレッシュされないことがあります。システムが再開後、デフォルトではスクリーンがロックされます。スクリーンロックを解除するためにパスワードを入力しても CDE デスクトップの画面が表示されずに、空白の画面が表示されます。
このような状況になった場合は、スーパーユーザーとしてリモートからシステムにログインし、sys-suspend プロセスに対して kill コマンドを実行すると、CDE セッションを回復することができます。
回避方法 : autoshutdown が実行されて上記の問題が発生する場合には、dtpower(1M) アプリケーションを使用して autoshutdown を無効にしてください。
ロックスクリーンオプションなしで sys-suspend が起動される場合、問題は発生しません。
キーボード上の電源キーで起動する sys-suspend のロックスクリーンオプションを無効にする方法については、『電源管理システム ユーザーマニュアル』を参照してください。
CDE の「ワークスペース」メニューから起動する sys-suspend のロックスクリーンオプションを無効にするには、以下の手順を実行してください。
スーパーユーザーになり、アクションファイル /etc/dt/appconfig/types/locale/sunOW.dt を作成します。
locale には、CDE 起動時に選択した言語オプションを指定してください。
/usr/dt/appconfig/types/locale/sunOW.dt ファイル中の ACTION SDTsuspend { ... } 定義を、 /etc/dt/appconfig/types/locale/sunOW.dt ファイル中にコピーします。
/etc/dt/appconfig/types/locale/sunOW.dt ファイル中に定義されている sys-suspend コマンドに -x フラグを追加します。
いったん CDE セッションを終了してから、ログインし直します。
メールボックス選択ダイアログで、ラジオボタンを「IMAP サーバ」に切り替えて「更新」ボタンをクリックしても、ファイルリスト中に IMAP サーバー側のメールボックス名が表示されずに、ローカルのメールボックス名が表示されます。
回避方法 : ファイルリストには表示されませんが、メールボックス名を入力すれば、IMAP サーバー側のメールボックスにアクセスできます。
「メールボックス」メニューから「メールボックス名の変更」および「メールボックスの削除」を実行しても、次のようなエラーメッセーが表示されて処理が正しく行われません。
メールプログラムはメールボックス **** の名前を変更できません。 |
メールプログラムはメールボックス **** を削除できません。 |
回避方法 : 以下のようにして、コマンド行から直接メールボックスの削除またはメールボックス名の変更を行なってください。
メールボックス名を変更する場合
% /usr/bin/mv <既存のメールボックス名> <新しいメールボックス名> |
メールボックスを削除する場合
% /usr/bin/rm <既存のメールボックス名> |
ファイルシステムのロギング機能が有効な場合、cpr Suspend の後でリブートすると、上記と同じメッセージ、または一部が変更されたメッセージが出力されます。
/ (ルート) ファイルシステムまたは cpr 状態ファイルに選択されたファイルシステムでロギング機能が使用されている場合、cpr Suspend および cpr Resume 機能を、ファイルシステムのロギング機能と併用することはできません。
cpr を使用できる条件は次のとおりです。
/ (ルート) がロギングファイルシステムになっていないこと
cpr 状態ファイルに選択されているファイルシステム (power.conf(4) のマニュアルページを参照) がロギングファイルシステムになっていないこと
回避方法 : cpr 状態ファイルにするファイルシステムには、/ 以外のファイルシステム、およびロギング機能が有効になっていないファイルシステムを選択してください。
64 ビットの libmail ライブラリが提供されていません。このため、このライブラリを使用する 64 ビットアプリケーションは作成できません。
ufsdump(1M) および ufsrestore(1M) コマンドにおけるセキュリティが十分でないことがあります。このセキュリティ上の不備によって、すでにアクセスしたことがある Solaris システムには root としてアクセスすることができます。この問題を修正するために、次のパッチが提供されています。
パッチ ID: 106793-01 (SPARC システム用)
パッチ ID: 106794-01 (x86 システム用)
上記のパッチを適用していない場合は、次の方法でも上記のセキュリティ上の問題を回避することができます。
回避方法 : chmod コマンドを使用して ufsdump および ufsrestore プログラムの set-uid ビットを削除すると、これらのプログラムのセキュリティ機能が修正されます。root になって次のようにコマンドを実行してください。
# chmod 0555 /usr/lib/fs/ufs/ufsdump /usr/lib/fs/ufs/ufsrestore |
Netscape Communicator 4.05 をインストールしたシステムに root でログインしている場合、CDE のフロントパネルで AnswerBook2 を選択しても Netscape Communicator が起動されません。
回避方法 : コマンド行で以下のように入力してから、AnswerBook2 を起動してください。
# xhost + |
C ロケール以外のロケールに関するバグ情報と注意事項について説明します。
Solaris 7 オペレーティング環境でアラビア語の 16 ビットプロポーショナルフォントを使用すると、スクリーン上で文字の一部が切れて表示されます。
回避方法 : モノスペースフォントを使用してください。
静的なテキスト (アイコンのテキストやワークスペースパネルのテキストなど) が、複雑なテキストレイアウト (CTL、Complex Layout Text) の言語では正しく表示されません。このため、英語の静的なテキストをアラビア語やヘブライ語に翻訳した場合、それらのテキストが正しく表示されません。
以下のロケールでは、デスクトップオプションとして OpenWindows を利用できません。
表 5-1 OpenWindows がサポートされていないロケール
ロケール |
使用国名 |
---|---|
en_GB.ISO8859-15 |
イギリス |
de.ISO8859-15 |
ドイツ |
fr.ISO8859-15 |
フランス |
it.ISO8859-15 |
イタリア |
es.ISO8859-15 |
スペイン |
sv.ISO8859-15 |
スウェーデン |
da.ISO8859-15 |
デンマーク |
de_AT.ISO8859-15 |
オーストリア |
en_IE.ISO8859-15 |
アイルランド |
pt.ISO8859-15 |
ポルトガル |
nl_BE.ISO8859-15 |
ベルギー |
nl.ISO8859-15 |
オランダ |
fr_BE.ISO8859-15 |
ベルギー |
fi.ISO8859-15 |
フィンランド |
el_EURO |
ギリシャ |
th |
タイ |
th_TH |
タイ |
he |
イスラエル |
ar |
エジプト |
de.UTF-8 |
ドイツ |
fr.UTF-8 |
フランス |
it.UTF-8 |
イタリア |
es.UTF-8 |
スペイン |
sv.UTF-8 |
スウェーデン |
en_EU.UTF-8 |
ヨーロッパ |
ja_JP.UTF-8 |
日本 |
ja_JP.PCK |
日本 |
ko.UTF-8 |
韓国 |
zh.GBK |
中国 |
zh_TW.BIG5 |
台湾 |
この節では、Solaris 7 Software CD に含まれている 『Solaris 7 オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルを作成後に明らかになった、日本語環境における実行時の注意事項とバグ情報について説明します。
dtmail から通常の形式 (Internet MIME 形式) で送られたメールに日本語文字列を含むアタッチメントが含まれる場合、そのアタッチメントをメールツール上で表示させることができません。
回避方法 : 次のいずれかの手順にしたがってください。
送信者に Sun Mail Tool 形式で再度メールを送信してもらってください。
アタッチメントをファイルに保存し、jistoeuc(1) または iconv(1) コマンドを使用してコード変換を行なってください。
jistoeuc(1) コマンドを使用する場合:
% /usr/bin/jistoeuc <保存したファイル名> |
iconv(1) コマンドを使用する場合:
% /usr/bin/iconv -f ISO-2022-JP -t eucJP <保存したファイル名> |
日本語 OpenWindows 上で「ワークスペース」メニューから AnswerBook2 を選択しても、ブラウザが起動しません。
回避方法 : 次のいずれかの手順にしたがってください。
コマンド行から直接 AnswerBook 2 を起動してください。
% /usr/dt/bin/answerbook2 |
次の手順でリンクを作成してください。
/usr/dt/bin ディレクトリに移動します。
スーパーユーザーになって、以下のようにリンクを作成します。
# ln -s answerbook2 sdt_answerbook2 |
ja_JP.PCK および ja_JP.UTF-8 ロケールは、ja (EUC) ロケールとほぼ同等な機能をサポートしていますが、OpenWindows 環境 (XView、OLIT) をサポートしていないなどのいくつかの制限事項があります。
今回のリリースで提供される Wnn6 は、最大 3 つまでのクライアント (htt や uum など、Wnn6 のかな漢字変換サーバーである jserver に直接接続するプログラム) の同時接続をサポートします。
追加のクライアントライセンスは、別途購入することができます。詳細は、本製品のご購入先にお問い合わせください。
ATOK8 を Solaris CDE 上で使う際、独立したカーソルキー (->、<-、↑、↓) を使用すると、カーソルキー入力の一部が脱落して ATOK8 の変換操作に反映されないことがあります。
回避方法 1 : テンキー上のカーソルキーを使用してください。
回避方法 2 : テキストエディタなどで、dtwmrc ($HOME/.dt/dtwmrc) の 198 行目以下に記述されている Key Bindings Description の Root のカーソルキーに関する エントリを、次のように "#" でコメントアウトして、ワークスペースマネージャ (dtwm) を再起動するか、ログインし直してください。
# Down root f.circle_down # Up root f.circle_up # Right root f.next_workspace # Left root f.prev_workspace |
この設定をした場合、独立したカーソルキーで上記の dtwm の機能は利用できなくなります。
ユーザーが Wnn6/Htt で学習をしないように設定し、その後ユーザーの学習辞書などが削除された場合 (たとえばシステムの再インストールを行なった場合)、Wnn6/Htt が正常に起動せず、日本語入力を行えなくなることがあります。
回避方法 : Wnn6 設定ユーティリティで学習に関する設定を初期状態に戻してログインし直すか、Wnn6/Htt を再起動してください。その後、必要であれば学習に関する設定を行なってください。
回避方法 : 次のいずれかの手順にしたがってください。
ja から ja_JP.PCK および ja_JP.UTF-8 にシンボリックリンクを張ってください。
% mkdir -p ‾/.Xlocale/ja_JP.PCK/fonts ‾/.Xlocale/ja_JP.UTF-8/fonts % cd ‾/.Xlocale/ja_JP.PCK/fonts % ln -s ../../ja/fonts/UDC . % cd ‾/.Xlocale/ja_JP.UTF-8/fonts % ln -s ../../ja/fonts/UDC . |
jpostprint の -u オプションで、ユーザー定義文字の保存ディレクトリを指定してください。
% jpostprint -u ‾/.Xlocale/ja/fonts/UDC/Type1/UDC%d.pfa |
回避方法 : いったんフォントサイズを 14 に変更して表示してから、希望のサイズに変更してください。
回避方法 : ありません。
Solaris 2.6 で作成したユーザー定義文字ファイルが存在する場合、Solaris 7 で Solaris 外字ツール sdtudctool を起動すると次のメッセージが表示され、「了解」ボタンをクリックすると外字ツールが終了してしまいます。
Can't migrate, because the number of bitmap or outline font files are invalid. |
回避方法 : 以下の手順を実行してください。
既存のユーザー定義文字保存ディレクトリを、別ディレクトリに待避します。
% cd ‾/.Xlocale/ja/fonts % mv UDC UDC- |
ログアウトし、再びログインします。
Solaris 外字ツールを起動します。
% sdtudctool |
ダミーのユーザー定義文字を 1 文字登録して保存し、外字ツールを終了します。
待避したディレクトリにある既存のユーザー定義文字フォントファイルを、新たにできたユーザー定義文字フォントファイルのディレクトリへコピーします。
% cd ‾/.Xlocale/ja/fonts/UDC/Bitmaps % cp ../../UDC-/Bitmaps/*.pcf . % cd ‾/.Xlocale/ja/fonts/UDC/Type1 % cp ../../UDC-/Type1/*.pfa . |
本来は sdtudctool の「ファイル」メニューから「辞書登録ツール...」を選択すると、sdtudc_register(1) が起動されてユーザー定義文字を辞書に登録することができますが、ja 以外の日本語ロケールではこの操作を行なっても辞書登録が正しく行われません。
回避方法 : ja ロケールで sdtudctool を起動して、辞書登録を行なってください。
一覧表の「表示」メニューの「コード」を PCK に切り換えた場合、11 ページ以降のコードポイントが正しく表示されません。
一覧表での表示 | 正しいコードポイント | |
---|---|---|
11 ページの最初のコードポイント | 0xf040 | 0xf540 |
20 ページの最後のコードポイント | 0xf4fc | 0xf9fc |
HotJava は、処理によってはパフォーマンスが若干遅い場合があります。このため、結果が多く出ることが予想される検索を AnswerBook2 で行う場合は、HotJava よりも Netscape を利用して AnswerBook2 を参照することをお勧めします。
Netscape Communicator 4.05 は、どの日本語ロケールでログインしても、ja ロケールで起動され実行されます。LANG 環境変数を切り替えて起動する必要はありません。
ただし、ja ロケール以外の日本語ロケール (ja_JP.PCK または ja_JP.UTF-8) でログインして Netscape Communicator 4.05 を使用した場合、ウィンドウのタイトルが文字化けを起こしたり、表示されないことがあります。