Solaris のインストール (上級編)

用語集

AutoClient システム

必要なすべてのシステムソフトウェアを OS サーバーから受け取って、キャッシュするシステム。恒久的なデータが存在しないため、AutoClient システムは現場交換可能ユニット (Field Replaceable Unit、FRU) である。スワップと、OS サーバーからの個々のルート (/) と /usr ファイルシステムのキャッシュ用に小容量のローカルディスクが必要である。

begin スクリプト

ユーザーが定義する Bourne シェルスクリプト。rules ファイル内で指定され、Solaris ソフトウェアがシステムにインストールされる前に作業を実行する。このスクリプトはカスタム JumpStart インストールでのみ使用できる。

EISA

Extended Industry Standard Architecture の略。x86 搭載システムのバスタイプの 1 つ。EISA バス標準は ISA バスシステムよりも「高機能」で、システムに提供されている「EISA configurator」プログラムによって構成されると、接続されたデバイスは自動的に検出できる。「ISA」を参照。

/etc

重要なシステム構成ファイルや保守コマンドが収められているディレクトリ

/export

OS サーバー上のファイルシステムで、ネットワーク上の他のシステムと共有される。たとえば、/export ファイルシステムには、ディスクレスクライアント用のルートファイルシステムとスワップ、それにネットワーク上のユーザーのホームディレクトリを収めることができる。ディスクレスクライアントは、起動と実行のために OS サーバー上の /export ファイルシステムに依存する。

fdisk パーティション

x86 搭載システムにある特定のオペレーティングシステム専用のディスクドライブの論理パーティション。Solaris インストールプログラムの実行時には、x86 搭載システム上に少なくとも 1 つの Solaris fdisk パーティションを設定する必要がある。x86 搭載システムは、各ドライブで最高 4 つまでの異なるオペレーティングシステムをサポートするよう設計されている。各オペレーティングシステムは、一意な fdisk パーティション上に存在しなければならない。

finish スクリプト

ユーザーが定義する Bourne シェルスクリプト。rules ファイル内で指定され、Solaris ソフトウェアがシステムにインストールされてから、システムがリブートされるまでの間に作業を実行する。このスクリプトは、カスタム JumpStart インストールでのみ使用できる。

IP アドレス

インターネットプロトコル (Internet Protocol、IP) アドレス。インターネットプロトコルを介して通信するためにネットワークシステムを識別する一意な番号で、ピリオドによって区切られた 4 つの数字から構成される。通常、IP アドレスの各部は 0 〜 225 の番号であるが、最初の番号は 224 未満とし、最後の番号は 0 以外にする必要がある。

IP アドレスは論理的には、ネットワーク (市外局番のようなもの) とネットワーク上のシステム (電話番号のようなもの) の 2 つの部分に分割される。

ISA

Industry Standard Architecture の略。x86 搭載システムのバスタイプの 1 つ。ISA バスシステムは「ダム (dumb)」タイプで、システムがデバイスを自動的に検出して構成できるようなメカニズムは提供していない。

JumpStart インストール

インストール方法の 1 つ。出荷時にインストールされている JumpStart ソフトウェアを使用することによって、Solaris ソフトウェアがシステムに自動インストールされる。

JumpStart ディレクトリ

カスタム JumpStart インストール用にプロファイルフロッピーディスクを使用するときのフロッピーディスク上のルートディレクトリ。このディレクトリには、必要なカスタム JumpStart ファイルがすべて含まれる。カスタム JumpStart インストール用にプロファイルサーバーを使用する場合は、サーバー上のディレクトリで、必要なカスタム JumpStart ファイルがすべて含まれる。

MCA

Micro Channel Architecture の略。x86 搭載システムのバスタイプの 1 つ。MCA バスは、コンピュータ内で高速でデータ転送を行う。接続されたデバイスは、メーカーが提供する参照ディスクを使用して構成されるときは自動的に検出される。MCA バスは、他のバス用のデバイスとは互換性がない。

NIS

Network Information Service (ネットワーク情報サービス) の略。SunOS 3.x、4.x、および Solaris 1.x システムで標準のネームサービス

NIS+

Network Information Service Plus (ネットワーク情報サービスプラス) の略。NIS に代わるもので、情報を自動更新し、承認や認証などのセキュリティ機能が追加されている。NIS+ は Solaris 2.x と Solaris 7 システムでは標準のネームサービス

/opt

Sun 以外のソフトウェア製品や別製品のソフトウェア用のマウントポイントが収められているファイルシステム

OS サーバー

ネットワーク上のシステムにサービスを提供するシステム。ディスクレスクライアントにサービスを提供するには、OS サーバーは、各ディスクレスクライアントごとに、ルートファイルシステムとスワップ領域 (/export/root/export/swap) 用のディスク空間が必要である。AutoClient システムにサービスを提供するには、OS サーバーは各ルート (/) と、スワップとキャッシュに必要な /usr ファイルシステム以外のすべてを提供しなければならない。

rules ファイル

自動的にインストールしたいシステムの各グループ (または、単一のシステム) のルールを含んでいるテキストファイル。各ルールは、1 つ以上のシステム属性に基づいてシステムのグループを区別し、各グループをプロファイルにリンクする。プロファイルは、Solaris ソフトウェアのグループ内の各システムへのインストール方法を定義するテキストファイル。「プロファイル」を参照。

rules.ok ファイル

rules ファイルから生成されたファイル。カスタム JumpStart インストールソフトウェアがシステムをプロファイルに一致させるために必要である。check スクリプトを使用して rules.ok ファイルを作成しなくてはならない。

Solaris CD イメージ

システムにインストールされた Solaris ソフトウェア。Solaris CD、またはインストールサーバーのハードディスクにある Solaris CD のコピーから利用できる。

Solaris インストールプログラム

(1) メニュー方式の対話式プログラム。これにより、システムを設定し Solaris ソフトウェアをインストールできる。(2) Solaris ソフトウェアをシステムにインストールする際に使用されるソフトウェア

/usr

スタンドアロンシステムまたはサーバー上のファイルシステム。標準 UNIX プログラムの多くが収められている。ローカルコピーを保持する代わりに、大きな /usr ファイルシステムをサーバーと共有することにより、システム上で Solaris ソフトウェアをインストールおよび実行するために必要なディスク容量を最小限に抑えることができる。

/var

システムの存続期間にわたって変更または増大が予想されるシステムファイルが収められている (スタンドアロンシステム上の) ファイルシステムまたはディレクトリ。これらのファイルには、システムログ、vi ファイル、メールファイル、uucp ファイルなどがある。

アップグレードオプション

Solaris のインストールオプションの 1 つ。アップグレードでは、新しいバージョンの Solaris が 1 つ以上のディスク上の既存のファイルと結合され、前回 Solaris がインストールされてから加えられたローカルでの変更内容をできる限り残す。

インストールサーバー

インストール用に、Solaris CD イメージをネットワーク上の他のシステムに提供するサーバー (「メディアサーバー 」とも呼ばれる)。Solaris CD をサーバーのハードディスクにコピーするか、Solaris CD をサーバーの CD-ROM ドライブからマウントすることによってインストールサーバーを作成できる。

エンドユーザーシステムサポート

コアソフトウェアグループの他に、エンドユーザーに推奨するソフトウェアが収められているソフトウェアグループ。これには OpenWindows や DeskSet などが含まれる。

開発者システムサポート

エンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループの他に、ソフトウェア開発用ライブラリ、インクルードファイル、マニュアルページ、およびプログラミングツールが収められているソフトウェアグループ

カスタム JumpStart インストール

ユーザーが定義するプロファイルに基づいて、Solaris ソフトウェアがシステムに自動的にインストールされるようなインストール方法。ユーザーやシステムの種類が異なるごとに、カスタマイズされたプロファイルを作成できる。

クライアント

ネットワークに接続されているシステム

クラスタ

ソフトウェアパッケージを論理的にグループ化したもの。Solaris ソフトウェアは 4 つの「ソフトウェアグループ 」に分割され、それぞれがクラスタと「パッケージ」から構成されている。

コア

システムで Solaris オペレーティング環境を起動して実行するのに必要な最小限のソフトウェアが収められているソフトウェアグループ。これには OpenWindows 環境を実行するために必要ないくつかのネットワーク用ソフトウェアとドライバが含まれるが、OpenWindows ソフトウェア自体は含まれない。

サブネット

単一の論理ネットワークをより小さな物理ネットワークに分割して、経路指定を簡素化する方式

サブネットマスク

32 ビット長のビットマスク。IP アドレスから必要なネットワーク情報やシステム情報を判定するために使用される。

時間帯

グリニッジ標準時間を基準に地球の表面を 24 の地域に経度分割したもの

システムタイプ

システムの設定方法の種別。どのタイプであるかによって、システムの実行する Solaris ソフトウェアが異なる。有効なシステムタイプは、スタンドアロンシステム、ディスクレスクライアント、AutoClient システム、OS サーバー。ただし、このマニュアルでは、Solaris インストールプログラムでインストールできる、スタンドアロンシステムと OS サーバーのみを説明している。

初期インストールオプション

Solaris インストールプログラムの実行時に提示される、新バージョンの Solaris でディスクを上書きするオプション。初期インストールオプションはアップグレード可能なシステムでも表示されるが、初期インストールオプションを選択した場合、旧バージョンの Solaris ソフトウェア (ローカルの変更内容も含めて) が含まれているディスクは上書きされる。

スタンドアロンシステム

自分のルート (/) ファイルシステム、スワップ領域および /usr ファイルシステムをローカルディスクに備えたシステム。OS サーバーからのブートサービスやソフトウェアサービスを必要としない。スタンドアロンシステムはネットワークに接続できる。

スライス

1 つの連続したブロックの範囲で構成されるディスク上の領域。スライス 2 以外はディスクの物理的なサブセットである。(スライス 2 の場合だけは、通常ディスク全体を表す。) 1 つのディスクは 8 つのスライスに分割できる。ディスク上にファイルシステムを作成する前に、ディスクをスライスにフォーマットしなければならない。

スワップ領域

システムに現在のプロセスを処理できるだけの十分なシステムメモリーがない場合に、仮想記憶領域として使用されるディスク空間。/swap ファイルシステムまたは swap ファイルシステムとも呼ばれる。

全体ディストリビューション

Solaris のリリース全体が含まれているソフトウェアグループ

全体ディストリビューションと OEM サポート

Solaris のリリース全体と、OEM のための追加ハードウェアサポートを含むソフトウェアグループ。Solaris をサーバーシステムにインストールする場合は、このソフトウェアグループを推奨する。

ソフトウェアグループ

Solaris ソフトウェアの論理グループ (クラスタとパッケージ)。Solaris のインストール時には、コア、エンドユーザーシステムサポート、開発者システムサポート、全体ディストリビューションの各ソフトウェアグループから 1 つをインストールできる。

対話式インストール

インストールの 1 つの形式で、Solaris インストールプログラムと対話を行うことによって Solaris ソフトウェアをシステムにインストールする。

ディスク構成ファイル

ディスクの構造 (たとえば、バイト/セクタ、フラグ、スライス) を表現するファイル。ディスク構成ファイルにより、単一システムから pfinstall を使用して、サイズの異なるディスクについてのプロファイルをテストできる。

ディスクレスクライアント

自分のディスクを持たずに、ソフトウェアやファイルの格納についてサーバーに完全に依存する、ネットワークに接続されたシステム。ディスクレスクライアントは、ファイルサーバーにすでにインストールされているソフトウェアを使用するため、Solaris インストールプログラムを使用する必要はない。

動的プロファイル

カスタム JumpStart インストール時に、begin スクリプトによって動的に作成されるプロファイル

ドメイン

インターネットのネーミング階層の一部。管理ファイルを共有する、ローカルネットワーク上のシステムグループを表す。

ドメイン名

ローカルネットワーク上のシステムグループの識別名。ドメイン名は、ピリオドで区切られた一連の構成要素名から構成される (たとえば、tundra.mpk.ca.us)。ドメイン名は、右側ほど構成要素名は全体的な (通常はリモートな) 管理権限領域を表す。

ネームサーバー

ネットワーク上のシステムに対してネームサービスを提供するサーバー

ネームサービス

ネットワーク上のシステムが互いに通信できるよう、ネットワーク上の全システムについての重要なシステム情報が収められている分散型ネットワークデータベース。ネームサービスを使用することによって、ネットワーク全域にわたるシステム情報を保守、管理、またはアクセスできる。Sun では NIS (以前は YP) と NIS+ のネームサービスをサポートしている。ネームサービスを使用しないと、各システムは (ローカルの /etc ファイルに) システム情報のコピーを保持しなければならない。

ネットワークインストール

CD-ROM ドライブを持つシステムから CD-ROM ドライブを持たないシステムに、ネットワーク上でソフトウェアをインストールする方法。ネットワークインストールを行うには、「 ネームサーバー」と「インストールサーバー」が必要。

ネットワークに接続されていないシステム

ネットワークに接続されていない、または他のシステムに依存しないシステム

ネットワークに接続されているシステム

ハードウェアとソフトウェアによって接続されているシステムのグループ (ホストと呼ばれる)。通信と情報の共用が可能。通常、ローカルエリアネットワーク (LAN) とも呼ばれる。システムをネットワークに接続するには、通常、1 台以上のサーバーが必要。

パッケージ

ソフトウェアアプリケーションを形成する、機能的にグループ化されたファイルとディレクトリ。Solaris ソフトウェアは 4 つの「 ソフトウェアグループ」に分類され、それぞれが「クラスタ」とパッケージで構成される。

ファイルサーバー

ネットワーク上のシステムに対して、ソフトウェアやファイルの記憶領域を提供するサーバー

ファイルシステム

ファイルとディレクトリの集合で、論理階層に組み立てられた場合には、組織化され構造化された情報のセットを構成する。ファイルシステムは、ユーザーのローカルシステムやリモートシステムからマウントできる。

ブートサーバー

同じサブネット上のシステムにブートサービスを提供するサーバー。インストールサーバーの存在するサブネットが、Solaris ソフトウェアをインストールする必要があるシステムと異なる場合は、ブートサーバーが必要。

プラットフォームグループ

特定のソフトウェア用にベンダーが定義するハードウェアプラットフォームのグループ。たとえば i86pc や sun4c など。

プラットフォーム名

uname -i コマンドによって出力される情報。たとえば SPARCstation IPX のプラットフォーム名は、SUNW,Sun_4_50

プロファイル

Solaris ソフトウェアのシステムへのインストール方法 (たとえば、どのソフトウェアグループをインストールするか) を定義するテキストファイル。各ルールは、そのルールが一致したときにシステムがインストールされる方法を定義してあるプロファイルを指定する。通常はルールごとに異なるプロファイルを作成するが、複数のルールで同じプロファイルを使用することも可能。「rules ファイル」を参照。

プロファイルサーバー

すべての重要なカスタム JumpStart ファイルを JumpStart ディレクトリに持つサーバー

プロファイルフロッピーディスク

すべての重要なカスタム JumpStart ファイルを、そのルートディレクトリ (JumpStart ディレクトリ) に持つフロッピーディスク

ホスト名

システムがネットワーク上の他のシステムから識別される名前。この名前は、所定のドメイン (通常、これは 1 つの組織内にあることを意味する) 内にある全システム間で固有でなければならない。ホスト名は、文字、数字、マイナス符号 (-) を任意に組み合わせて作成できるが、先頭と末尾にマイナス符号は使用できない。

ボリューム管理

CD-ROM やフロッピーディスク上のデータへのアクセスを管理および実行するための手段を提供するプログラム

マウント

mount コマンドを実行することによって、リモートまたはローカルのファイルシステムをアクセス可能にするプロセス。ファイルシステムをマウントするには、ローカルシステム上のマウントポイントと、マウントするファイルシステム名 (たとえば /usr) が必要。

マウントポイント

システム上のディレクトリ。ローカルシステムやリモートシステムに存在するファイルシステムをマウントできる。

メディアサーバー

「インストールサーバー」を参照

/ (ルート)

システムの階層型ファイルツリーの最上位にあるファイルシステム。ルートディレクトリには、カーネル、デバイスドライバ、システムの起動 (ブート) に使用されるプログラムなど、システム操作に不可欠なディレクトリやファイルが含まれている。

ルール

1 つ以上のシステム属性をプロファイルに割り当てる一連の値

ロケール

ある地域または地方に関連する特定の言語