この章は、以下の節から構成されています。
SunVTS は、サンのオンライン検査機能により、大部分のハードウェアコントローラ、デバイス、プラットフォームの構成と動作に問題がないかどうかを検査します。
変更可能なテストインスタンス数と Processor Affinity 機能により、デスクトップからサーバーまでのいろいろなマシン上で動作させることができます。
SunVTS 3.0 は、32 ビットまたは 64 ビットのいずれの Solaris 環境でもデバイスのテストを行うことができます。SunVTS は、運用環境 (32 または 64 ビット) を判断し、その環境に合わせて適切なテストを初期化します。
開発、製造、受け入れ検査、障害追跡、定期的な保守、システムやサブシステムの負荷テストといった検査に SunVTS を使用することができます。
SunVTS には、テストの設定や状態の監視を行うことができる、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) があります。このユーザーインタフェースは、SunVTS が動作しているのとは別の、ネットワーク上のシステムの SunVTS テスト状況を表示することができます。また、GUI を使用することができない環境用の TTY モードのインタフェースも用意されています。
SunVTS は、広範囲のサン製品や周辺機器に対応する多数のテストから構成されています。
SunVTS のテストは、大きく分けて以下のように分類されます。
オーディオテスト
通信テスト (シリアルおよびパラレル)
グラフィック / ビデオテスト
メモリーテスト
ネットワークテスト
周辺機器テスト (ディスク、テープ、CD-ROM、プリンタ、フロッピーディスク)
プロセッサーテスト
記憶装置テスト
SunVTS が最大限の効果を発揮できるよう、正しいテストモードとオプションを選択する必要があります。このマニュアルでは、SunVTS のすべてのテストモードとオプションを説明しています。個々のテストの設定については、『SunVTS 3.0 テストリファレンスマニュアル』を参照してください。
SunVTS 3.0 は、Solaris 7 操作環境で動作するように設計された SunVTS の最初のバージョンです。
SunVTS は、以下のユーザーインタフェースから実行することができます。
ウィンドウインタフェース - CDE または OPEN LOOK 環境のいずれかを使用することができます。図 1-1 は、SunVTS の CDE インタフェースを示しています。
Solstice(TM) SyMON(TM) - SunVTS を実行可能なシステム監視ツールです。
TTY インタフェース - Solaris のコマンド行から SunVTS を操作するためのコマンド行インタフェースです。このインタフェースを使用して、端末、シェルツール、シリアルポートに接続されたモデムから SunVTS を実行することができます。
個々の SunVTS テスト - コマンド行から個々の SunVTS テストを実行します。
これらのユーザーインタフェースについては、第 4 章「SunVTS のユーザーインタフェース」と Solstice SyMON のマニュアルを参照してください。
SunVTSでは、以下の 2 つのモードでテストを実行することができます。
.接続テスト (Connection Test) モード - デバイスの使用可・不可、接続を調べる低負荷のテストを実行します。
機能テスト (Functional Test) モード - テストの実施に必要な、すべてのシステム資源を使用して、より内容の充実したテスト機能を提供します。このモードでは、他のアプリケーションが実行されていないことが前提になります。
Solstice SyMON から機能テストモードを実行した場合は、システム資源が強制的に使用されることはなく、他のアプリケーションが大きな影響を受けることはありません。
テストによっては使用できないモードがあります。この場合はテストは無効となり、グレー表示されて選択することはできません。
SunVTS アーキテクチャーは、SunVTS カーネル、ユーザーインタフェース、ハードウェアテストの 3 つの部分に分かれています。図 1-2 は、SunVTS のアーキテクチャーを表わしています。
SunVTS カーネルの主な機能は以下のとおりです。
起動時にシステムのハードウェア構成を調べ、その情報を保存する。
テストから報告されたメッセージを記録する。
実行中のすべてのテストの状態を保持する
ユーザーインタフェースや他のアプリケーションからの状態要求や、制御コマンドを監視する
ユーザーにより有効にされたテストの実行予定を立てる
バックグラウンドプロセス (デーモン) として動作する
SunVTS カーネルには、以下の 2 つのバージョンがあります。
32 ビットカーネル: /opt/SUNWvts/bin/vtsk
64 ビットカーネル: /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/vtsk
SunVTS ユーザーインタフェースは、SunVTS カーネルとは異なるプロセスです。アプリケーションプログラミングインタフェース (API) を介して SunVTS カーネルと通信します。これにより、SunVTS は、システムの環境に基づいて適切なインタフェース (CDE、OPEN LOOK、TTY) を実行することができ、ユーザーインタフェースは、テスト中のシステム以外のシステムで動作することができます。
SunVTS アプリケーションには、多くのテストがまとめられています。各テストは、SunVTS カーネルからは独立したプロセスとして動作します。
SunVTS を起動すると、SunVTS カーネルが自動的にシステムカーネルを調査し、接続されているハードウェアデバイスを特定し、デバイスの情報が SunVTS 制御パネルに表示されます。このとき、各デバイスに適切なテストやテストオプションが表示されるため、システムのハードウェア構成を確認することができます。このため、実際のシステム構成に適さないテストを実行する無駄がなくなります。
テスト中、すべての SunVTS ハードウェアテストは、プロセス間通信 (IPC) プロトコルを使用して SunVTS カーネルにテスト状態とメッセージを SunVTS カーネルに送信します。カーネルは、その状態をユーザーインタフェースに渡し、メッセージを記録します。
SunVTS には、個々のテスト専用の調査ルーチンを含む共用オブジェクトライブラリがあります。SunVTS カーネルは、実行時に調査ルーチンに動的にリンクして呼び出し、個々のテスト専用の情報でそのデータ構造を初期化します。このため、SunVTS のソースコードを再コンパイルすることなく SunVTS 環境に新しいテストを追加することができます。
SunVTS 3.0 では、SunVTS カーネルと大部分のテストは、32 ビットおよび 64 ビット運用環境の両方をサポートしています。sunvts コマンドを使用して SunVTS を起動すると、SunVTS インタフェースに、運用環境に適したバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) のテストが表示されます。
テストは各々独立したプログラムであるため、各テストはコマンド行から直接実行することができます。その場合は、動作中のオペレーティングシステム (32 ビットまたは 64 ビット) に対応していないバージョンのテストを実行しないでください。32 ビットバージョンと 64 ビットバージョンのテストの格納場所は異なります。
32 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/テスト名
64 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名
sunvts コマンドを使用して、コマンド行からではなく、特定のユーザーインタフェースで SunVTS を起動した場合は、実際の Solaris 操作環境に基づき、SunVTS によって自動的に適切なバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) のテストが割り当てられます。
動作中のオペレーティングシステムのバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) が不明な場合は、Solaris 7 のシステム管理に関するマニュアルを参照してください。 Solaris 7 では、以下のコマンドを使用して、システムアプリケーションのサポートを調べることができます。
# isainfo -v |
isainfo コマンドは、Solaris 2.6 以前のバージョンが動作するシステムでは提供されていません。