SunVTS 3.0 テストリファレンスマニュアル

第 28 章 SunVideo テスト (rtvctest)

rtvctest は、SunVideo(TM) SBus カードの機能を検査します。SunVideo は、ビデオ入力をリアルタイムに取り込んで圧縮し、標準の Ethernet ネットワークを介してリアルタイムのビデオ会議を行うことを可能にする技術です。

rtvctest は、customtest として提供されています。SunVTS ユーザーインタフェースにテストを表示するには、以下の作業を行う必要があります。

  1. SunVideo の bin ディレクトリにある、.customtest_OtherDevices ファイルをエディタで開きます。

  2. SunVideo というラベルから始まる行のコメント指定を外します。

rtvctest は、元々 SunDiag(TM) 用に作成されたものです。テストのメッセージは、SunVTS コンソールの SunVTS INFO メッセージラッパー内に表示されます。

rtvctest は、OtherDevices グループに属しており、機能テスト (Functional Test) モードでだけ実行することができます。

rtvctest のサブテスト

rtvctest は、PROMCheck、Memory、Jalapeno、CL4000 の 4 つのサブテストから構成されます。PROMCheck サブテストは、SunVideo カードの PROM を検査します。Memory テストは、CL4000 圧縮エンジンの 2MB のメモリーや Jalapeno 特定用途向け IC (ASIC) のメモリーなどの、カード上のすべてのメモリーを検査します。また、 Jalapeno サブテストは、SBus と A/D 変換チップ、CL400 圧縮エンジン間のインタフェース論理回路を検査し、CL4000 サブテストは、圧縮エンジンの ASIC が A/D 変換チップからのデジタルビデオデータを圧縮し、そのデータを Jalapeno ASIC を介して SBus に送信できるかどうかを調べます。

rtvctest は、49 個のテストモジュールから構成されています。表 28-1 は、それらのモジュールとテスト処理順番号の対応を示しています。

表 28-1 rtvctest のテストモジュール

SunVideo の検査モジュール名 

テスト処理順番号 

RTVC SUNDIAG 起動 

RTVC 検査合計 

RTVC Jalapeno SMEM 

RTVC CL4000 DMEM 

RTVC Jalapeno SBus 割り込みマスク 

RTVC CL4000 割り込みマスク 

RTVC DVMA 制御レジスタ 

RTVC DVMA 転送サイズカウンタ 

RTVC DVMA メモリアドレスカウンタ 

RTVC DVMA 仮想メモリアドレスカウンタ 

RTVC DVMA スレーブ SBus 再実行レジスタ 

10 

RTVC IIC 制御レジスタ 

11 

RTVC IIC データレジスタ 

12 

RTVC ビデオ DMA 制御レジスタ 

13 

RTVC ビデオ DMA 転送サイズカウンタ 

14 

RTVC ビデオ DMA メモリアドレスカウンタ 

15 

RTVC ユーザー割り込み 0 

16 

RTVC ユーザー割り込み 1 

17 

RTVC ユーザー割り込み 2 

18 

RTVC ユーザー割り込み 3 

19 

RTVC ビデオ制御および状態レジスタ 

20 

RTVC ビデオ制御フィールド線割り込み 1 

21 

RTVC ビデオ制御フィールド線割り込み 2 

22 

RTVC ビデオスキャン線マスクレジスタ 

23 

RTVC ビデオ入力形式の種類 

25 

RTVC ビデオ水平ロック 

26 

RTVC ビデオ偶数奇数フィールド 

27 

RTVC CL4000 ホスト制御 

28 

RTVC CL4000 ホストロック 

29 

RTVC CL4000 ビデオポート A 制御 

30 

RTVC CL4000 ビデオポート B 制御 

31 

RTVC CL4000 ビデオポート A FIFO 

32 

RTVC CL4000 ビデオポート B FIFO 

33 

RTVC CL4000 アドレスメモリーレジスタ 

34 

RTVC CL4000 命令メモリーアクセスレジスタ 

35 

RTVC タイムスタンプレジスタ 

36 

RTVC CL4000 レジスタメモリー 

37 

RTVC CL4000 スクラッチメモリー 

38 

RTVC CL4000 DMA モード 

39 

RTVC CL4000 モーション予測レジスタ 

40 

RTVC CL4000 PSW 

41 

RTVC CL4000 可変長コーダーレジスタ 

42 

RTVC CL4000 チャネルメモリーレジスタ 

43 

RTVC CL4000 CPU 制御 

44 

RTVC CL4000 乗算制御 

45 

RTVC CL4000 DMA 割り込み制御 

46 

RTVC CL4000 ブロック転送モード 

47 

RTVC CL4000 アキュミュレータの MSB 

48 

RTVC CL4000 JPC フィールド 

49 

RTVC SUNDIAG 終了 

50 

rtvctest のオプション

図 28-1 rtvctest のオプションメニュー

Graphic

SunVideo カードは、入力ポートにビデオ装置 (カメラ、ビデオディスクプレイヤー、VTRなど) を接続しなくてもテストすることができます。カードにビデオ装置を接続した場合は、ビデオソースの方式と、装置を接続した入力ポートを指定する必要があります。


注 -

ビデオソースと入力ポートのいずれか一方を指定しなかった場合は、エラーが返され、テストは終了します。


Source Format

テストに使用するビデオソースの方式を選択します。表 28-2 のソースから選択することができます。

表 28-2 rtvctest のソース形式オプション

ビデオソース 

定義 

None 

ビデオソースなし 

NTSC 

NTSC 方式 (米国/日本標準ビデオ方式) 

PAL 

PAL 方式 (ヨーロッパ標準ビデオ方式) 

Ports

ビデオソースを選択した場合は、SunVideo カードにビデオ装置を接続するために使用する入力ポートを選択します。表 28-3 のポートから選択することができます。

表 28-3 rtvctest のポートオプション

入力ポート 

定義 

None 

入力ポートを使用しない 

CV1 

コンポジットビデオ入力ポート 1 (RCA タイプ) 

CV2 

コンポジットビデオ入力ポート 2 (RCA タイプ) 

SVHS 

S-VHS 入力ポート 

rtvctest コマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/rtvctest [fmt=none|ntsc|pal] [port=none|cv1|cv2|svhs] dev=rtvc デバイス

表 28-4 rtvctest コマンド行構文

引数 

説明 

fmt

テストに使用するビデオソースの方式を選択します。NTSC (米国/日本標準ビデオ方式) PAL (ヨーロッパ標準ビデオ方式) のいずれかを選択してください。

port

ビデオソースを選択した場合は、ソースを SunVideo カードに接続するのに使用している入力ポートを選択する必要があります。以下のいずれかのポートを選択することができます。 

  • cv1 コンポジットビデオ入力ポート 1 (RCA タイプ)

  • cv2 コンポジットビデオ入力ポート 2 (RCA タイプ)

  • svhs S-VHS ポート

dev

コマンド行から rtvctest を実行するときは、SunVideo デバイスを指定する必要があります。rtvcn の形式で rtvc デバイスを指定します。n は、テストする SunVideo カードのデバイス番号 (0 〜 31) です。


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


rtvctest のエラーメッセージ

表 28-5 rtvctest のエラーメッセージ

エラーメッセージ 

説明 

SunVideo 10

メッセージ

メッセージは、以下のいずれかです。

Missing REQUIRED argument D=rtvc[0..31]

SunVideo 20

メッセージ Error # 数値

メッセージは、以下のいずれかです。

ioctl RTVC_CMD_RESET fault

ioctl RTVC_CMD_SET_VIDEO fault

ioctl RTVC_CMD_GET_VIDEO fault

open /dev/rtvc fault

close /dev/rtvc fault

open /dev/rtvcctl fault

close /dev/rtvcctl fault

Unknown Jalapeno Version

数値は、以下のいずれかです。

ioctl error

module version

SunVideo 30

メッセージ 名前 Error # 数値

メッセージは、以下のいずれかです。

memory map fault for

memory unmap fault for

selected /dev/rtvc and /dev/rtvcc1 not available

名前は、以下のいずれかです。

prom

sram

buses

reset

dmem

rtvc

数値は、エラー番号です。

SunVideo 40

RTVC Fault Detected via module 名前

Physical Address Expected Value Actual Value

RTVC Sundiag Module number 数値

Location 位置

Message: メッセージ

名前は、テスト中のモジュールの名前です。

は、物理アドレスと期待値、実際の値です。

数値は、テストしている SunDiag モジュールです。

位置は、不良部品の U 位置です。

メッセージは、補足メッセージです。

SunVideo 41

RTVC Fault Detected via module 名前

名前は、テストしているモジュールの名前です。

SunVideo 42

メッセージ 値1 Actual 値2

メッセージは、以下のいずれかです。

Video Format Expected

Video Port Expected

値1 は、期待値です。

値2 は、実際の値です。

SunVideo 50

メッセージ 数値

メッセージは、以下のいずれかです。

Unknown RTVC CL4000 test module

Unknown RTVC Jalapeno test module

Unknown RTVC test module

Unknown RTVC memory test module

Unknown Start Bit

数値は、モジュール番号または開始ビット位置です。