Solaris 共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド

ドラッグ & ドロップの転送先

次のデスクトップ・コンポーネントは、ドロップ先になります。

各コンポーネントは、選択されたテキスト、ファイル、およびバッファのドロップを受け入れます。テキスト・ドロップの転送先のほとんどは、Motif ライブラリによって自動的に提供されます。ファイルまたはバッファ・データのドロップ先がドロップを受け入れるためには、プログラムを追加しなければなりません。

ユーザがファイルからデータをドロップして、そのファイルが何らかの方法で変更されたときには、ファイルの元の保持者へ変更を書き戻すことができます。この動作をセーブバックといいます。ただし、データがバッファからドロップされたときには、データは元のファイルに関する情報を持ちません。つまり、データの元の保持者がないので、バッファからのデータに加えられた変更を書き戻すことはできません。この動作をセーブバックなしといいます。

たとえば、メール・プログラムは、ドラッグ & ドロップを使用して、メール・アタッチメントをエディタにエクスポートできます。アタッチメントがバッファとしてエクスポートされた (セーブバックがない) 場合、エディタでメール・プログラム内の元のアタッチメントを変更する手段はありません。したがって、エディタは、アタッチメントの変更済みの版を新しいファイルに保存するしかありません。

メール・アタッチメントは、すでに別のファイルではない (メール・フォルダ・ファイルに埋め込まれている) ので、バッファとしてエクスポートされるだけで、他のエディタによって保存できません。

アタッチメントがファイルとしてエクスポートされた (セーブバックがある) 場合には、エディタは変更済みのものを同じファイルに保存します。

表 5-3 は、テキスト・エディタ、アイコン・エディタ、カレンダ、メール・プログラムなどのエディタ型コンポーネントへ、選択されたテキスト、ファイル、およびバッファをドロップする場合を示します。

表 5-3 エディタのドロップ先

ドロップ先 

選択されたテキスト 

ファイル 

バッファ 

テキスト・エディタ: メイン・ウィンドウ 

挿入 

挿入 

挿入 

端末エミュレータ: メイン・ウィンドウ 

挿入 

N/A 

N/A 

アイコン・エディタ: メイン・ウィンドウ 

N/A 

読み込み (ファイルがアイコン形式の場合)。セーブバックあり 

読み専用で読み込み (データがアイコン形式の場合)。セーブバックなし 

メール・プログラム: メッセージ・リスト 

N/A 

追加 (ファイルがメール形式の場合) 

追加 (データがメール形式の場合) 

メール・プログラム: メール作成 

挿入 

挿入 

挿入 

メール・プログラム: アタッチメント・リスト 

挿入 

挿入 

挿入 

カレンダ: メイン・ウィンドウ 

N/A 

アポイントをスケジュール (ファイルがアポイント形式の場合) 

アポイントをスケジュール (データがアポイント形式の場合) 

カレンダ: アポイントエディタ 

テキスト・フィールドへ挿入 

アポイント・フィールドに記入 (ファイルがアポイント形式の場合) 

アポイント・フィールドに記入 (データがアポイント形式の場合) 

アプリケーション・ビルダ 

N/A 

読み込み (ファイルが BIX または BIL 形式の場合)。セーブバックあり 

読み専用で読み込み (データが BIP 形式の場合)。セーブバックなし 

表 5-4 は、ファイル・マネージャ内のファイルとフォルダ・アイコンへ、選択されたテキスト、ファイル、およびバッファをドロップする場合を示します。

表 5-4 ファイル・マネージャのドロップ先

ドロップ先 

選択されたテキスト 

ファイル 

バッファ 

ファイル・アイコン 

ターゲット・ファイルとドロップされたテキストに対してドロップ・アクションを呼び出す (ファイルがテキストのドロップを受け入れ、ドロップされたテキストが適切な形式の場合)。セーブバックなし/コピーなし 

ターゲット・ファイルとドロップされたファイルに対してドロップ・アクションを呼び出す (ファイルがファイルのドロップを受け入れ、ドロップされたファイルが適切な形式の場合)。セーブバックあり 

ターゲット・ファイルとドロップされたデータに対してドロップ・アクションを呼び出す (ファイルがデータのドロップを受け入れ、ドロップされたデータが適切な形式の場合)。セーブバックなし/コピーなし 

フォルダ・アイコン 

テキストをフォルダ内の新しいファイルに「タイトルなし」という名前で挿入する 

ファイルをフォルダにコピー/移動する 

データをフォルダ内の新しいファイルに指定された名前 (指定された場合) で挿入する。名前が指定されなかった場合には、「タイトルなし」という名前で挿入する 

アクション・アイコン 

テキストに対してアクションを呼び出す (適切な形式であり、テキストのドロップを受け入れる場合)。セーブバックなし 

ファイルに対してアクションを呼び出す (適切な形式であり、ファイルのドロップを受け入れる場合)。セーブバックあり 

データに対してアクションを呼び出す (適切な形式であり、データのドロップを受け入れる場合)。セーブバックなし 

メール・コンテナ・アイコン 

メールボックスに追加する (テキストがメール形式の場合) 

メールボックスに追加する (ファイルがメール形式の場合) 

メールボックスに追加する (データがメール形式の場合) 

表 5-5 は、フロントパネルのアクション・アイコンへ、選択されたテキスト、ファイル、およびバッファをドロップする場合を示します。

表 5-5 フロントパネルのドロップ先

ドロップ先 

選択されたテキスト 

ファイル 

バッファ 

テキスト・エディタ 

読み専用で読み込む。セーブバックなし 

読み込む。セーブバックあり 

読み込み専用で読み込む。セーブバックなし 

カレンダ 

アポイントをスケジュールする (テキストがアポイント形式の場合) 

アポイントをスケジュールする (ファイルがアポイント形式の場合) 

アポイントをスケジュールする (データがアポイント形式の場合) 

メール 

テキストを接続してメッセージを作成する 

ファイルを接続してメッセージを作成する 

データを接続してメッセージを作成する 

プリンタ 

テキストを印刷する (印刷方法がテキストに対して有効な場合) 

ファイルの内容を印刷する (印刷方法がファイル形式に対して有効な場合) 

データを印刷する (印刷方法がデータの形式に対して有効な場合) 

ごみ箱 

N/A 

ファイルをごみ箱へ移動する 

N/A 

サブパネル: アイコンのインストール 

N/A 

アイコンをインストールする 

N/A 

サブパネル: アクション 

ファイル・マネージャと同じ 

ファイル・マネージャと同じ 

ファイル・マネージャと同じ 

サブパネル:実行形式 

ファイル・マネージャと同じ 

ファイル・マネージャと同じ 

ファイル・マネージャと同じ 

ユーザに対するドラッグ & ドロップの表示方法とガイドラインの詳細は、『共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド』を参照してください。