メールシステムの管理

sendmail プログラム

sendmail プログラムは、TCP/IP や UUCP などの異なる通信プロトコルを使用できます。また SMTP サーバー、メッセージキュー、メーリングリストも実装します。名前の解釈は、ドメインベースのネーミングとその環境で指定されている規則の両方を処理できるパターンマッチングシステムで制御されます。

sendmail プログラムは、ドメインベースのネーミングと任意の (古い) 名前構文を受け入れて、指定されている補完方法を使用して曖昧さを解決します。sendmail は共通点のないネーミングスキーム間でメッセージを変換することもできます。ドメインの手法は、物理的なネーミング対論理的なネーミングの問題を分離します。インターネットドメインのネーミングの規則の詳細は、『TCP/IP とデータ通信』を参照してください。

他のネットワーク上のホストに対してローカルのように見えるネットワーク名を提供するなど、その環境で指定されている技法によって特殊な場合を処理できます。

Solaris オペレーティング環境では、sendmail プログラムをメールルーターとして使用します。sendmail は、電子メールメッセージの受信と配信を担当します。これは、mailmailxmailtool といったメール読み取りプログラムと、uucp のようなメールトランスポートプログラムの間のインタフェースです。sendmail プログラムは、ユーザーが送った電子メールメッセージを制御し、受信者のアドレスを判断し、適切な配信プログラムを選び、配信エージェントが処理できるフォーマットにアドレスを書き直し、必要に応じてメールヘッダーをフォーマットし直し、最後に変換したメッセージを配信のためのメールプログラムに渡します。


注 -

Solaris 2.4 以前の旧リリース版には、sendmail.mx と呼ばれるバイナリが含まれていました。現在このプログラムは sendmail プログラムに含まれており、これを有効にするには、/etc/nsswitch.conf のホストエントリに dns フラグを追加します。詳細は、「DNS を設定して sendmail で作業する方法」 を参照してください。


sendmail プログラムでは、メールルーティングに必要な 3 つのメカニズムをサポートしています。どのメカニズムを選択するかは、サーバーまたはドメイン全体の変更なのか、または単に 1 人のユーザーの変更であるかによって決まります。また、異なる再ルーティングメカニズムを選択することにより、必要な管理レベルに変更できます。

1 つめの再ルーティングメカニズムはエイリアシングです。エイリアシングとは、使用するファイルのタイプに基づいて、サーバー全体、または名前空間全域ごとに名前をアドレスに対応させるメカニズムです。名前空間の別名ファイルを使用すると、メール再ルーティングの変更を単一のソースで管理できますが、この変更が伝達されるときに、遅延時間が発生する可能性があります。また、名前空間管理は、通常、システム管理者の選択グループに限定されるため、一般ユーザーが実行できる変更ではありません。サーバーの別名ファイルを通じて処理された再ルーティングは、そのサーバーのスーパーユーザーによって管理されます。通常、この変更の伝達に関連した遅延時間はほとんどみられませんが、この変更はローカルサーバーにしか反映されません。この制約事項は、メールのほとんどが 1 つのサーバーに送信される場合には問題ありませんが、この変更を多数のメールサーバーに配信する場合には、ネームサービスを使用した方が簡単です。これも一般ユーザーが実行できる変更ではありません。

次のメカニズムは、転送と取り込みです。このメカニズムを使用すると、ユーザーはメールの再ルーティングを実行できます。転送を使用すると、ローカルユーザーは、着信メールを他のメールボックス、別のメールプログラム、あるいは他のメールホストにルーティングし直すことができます。このメール再ルーティングの形式は、.forward ファイルを使用することによりサポートされます。これらのファイルの詳細は、.forward ファイル」を参照してください。

最後の再ルーティングメカニズムは取り込みで、これを使用すると、別名リストを、ルートアクセスを要求する代わりに、ユーザーによって保守できます。このメカニズムを提供するには、スーパーユーザーは、サーバー上の別名ファイル内に適切なエントリを作成する必要があります。このエントリが作成されると、ユーザーは必要に応じてメールをルーティングし直すことができるようになります。取り込みの詳細は、/etc/mail/aliasesを参照してください。

図 1-4 は、sendmail がユーザー別名をどのように使用するかを示します。/usr/bin/mailx のようなメールを読み取るプログラムは、プログラム自身の別名を持つことができ、それらはメッセージが sendmail に達する前に展開されます。sendmail の別名は、多くの名前空間ソース (ローカルファイル、NIS、NIS+) からのものでも構いません。検索順序は nsswitch.conf ファイルによって決定されます。nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。

図 1-4 sendmail が別名を使用する方法

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