次に示すのは、複数の形式が別々に管理されている C プログラム用のメークファイルの例です。まず .INIT という特殊ターゲットが、debug_dir および profile_dir というサブディレクトリを (まだ作成されていなければ) 作成します。これらのサブディレクトリには、デバッグ用およびプロファイル用のオブジェクトファイルと実行可能ファイルが含まれます。
make は、メークファイルが読み込まれた後に .INIT ターゲットの規則を実行します。
実行可能ファイルは、VARIANTS.o
マクロで指定されているオブジェクトファイルに依存します。このマクロにはデフォルトでは OBJECTS の値が指定され、後に条件付きマクロ定義によって値が再度割り当てられます。このとき、debug_dir/ または profile_dir/ の接頭辞が追加されます。サブディレクトリ内の実行可能ファイルは、同じサブディレクトリ内に構築されるオブジェクトファイルに依存します。
次に、両方のサブディレクトリに含まれているオブジェクトファイルが作業中のディレクトリにあるソース (.c) ファイルに依存するように、パターンマッチングの規則が追加されます。これは、1 つのソースファイル群から 3 つの形式すべてを構築し管理するために必要です。
最後に、サブディレクトリの debug_dir と profile_dir は一時的に作成されたものであるため、clean ターゲットが更新されてこれらのサブディレクトリとその内容が再帰的に削除されます。これは、各形式用のサブディレクトリは一時的なものであるため、派生ファイルはそのソースと同一のディレクトリ内に構築するという慣例に従っています。
表 4-14 デバッグ用およびプロファイル用のプログラムを別々に扱うためのメークファイル