Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

ポートモニター: TTY モニターとネットワークリスナー

SAF は、将来のモニターや他社製のポートモニターの管理に対応するために総合的な管理方法を提供していますが、Solaris 7 環境では ttymonlisten の 2 つだけが実装されています。

TTY ポートモニター: ttymon

ttymon ポートモニターは STREAMS をベースにしています。このモニターは、ポートを監視し、端末のモード、ボーレート、回線制御手順を設定し、ログインプロセスを起動します。(ttymon は、以前のバージョンの SunOS 4.1 ソフトウェアのもとで getty が提供していたのと同じサービスを Solaris 7 ユーザーに提供します。)

ttymon ポートモニターは SAC プログラムで実行されます。ttymonsacadm コマンドを使用して構成します。ttymon の各インスタンスはそれぞれに複数のポートを監視できます。それらのポートはポートモニターの管理ファイル内に指定します。また、この管理ファイルは pmadm および ttyadm コマンドを使用して構成します。

ttymon とコンソールポート

コンソールサービスを管理するのはサービスアクセスコントローラではなく、また、明示的に ttymon 管理ファイルを実行して管理するのでもありません。/etc/inittab ファイル内のエントリを使用して、ttymon を express モードで使用するコンソールポートを管理します。express モードとは、ttymon の特別なモードのことで、ログインサービスが必要なコマンドによって直接呼び出されます。

/etc/inittab ファイル内のデフォルトのコンソールエントリは、次のようになります。

co:234:respawn:/usr/lib/saf/ttymon -g -h -p "`uname -n` console login: "
 -T terminal_type -d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

co:234:respawn:

co は、エントリをコンソールとして指定する。234 は、動作 respawn の実行レベルを指定する。つまり失敗した場合、あるいは実行レベル 2、3、および 4 でない場合、このコンソールエントリが再起動されるべきであることを示す

/usr/lib/saf/ttymon -g -h

-g オプションを使用するため、正しいボーレートと正しい端末設定をポート上で設定でき、SAC による事前構成なしに、ログインサービスに接続できる。-h オプションは、デフォルトまたは指定した速度に設定する前に、回線速度をゼロに設定することにより、回線をハングアップさせる

-p "`uname -n` console login:

コンソールポート用のプロンプト文字列を指定する 

-tterminal_type

コンソールの端末タイプを指定する 

-d /dev/console -l console -m ldterm,ttcompat

-d オプションは、コンソールデバイスを指定する。-l オプションは、/etc/ttydefs ファイル内の tty 名を指定する。-m オプションは、プッシュする STREAMS モジュールを指定する

ttymon 固有の管理コマンド: ttyadm

ttymon の管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に ttyadm コマンドによっても更新できます。ttyadm コマンドは、ttymon 固有の情報の書式を定義し、それらの情報を標準出力に書き込み、書式付きの ttymon 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、ttyadmttymon を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。詳細は、ttyadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

ネットワークリスナーサービス: listen

listen ポートモニターは SAC プログラムのもとで実行されます。このモニターは、ネットワークを監視してサービス要求がないかを調べ、入ってきたら要求を受け付け、それらのサービス要求に応答してサーバーを呼び出します。

listen ポートモニターは sacadm コマンドを使用して構成します。listen の各インスタンスはそれぞれに複数のサービスを提供できます。それらのサービスは listen ポートモニターの管理ファイルに指定します。この管理ファイルは pmadm および nlsadmin コマンドを使用して構成します。

ネットワークリスナープロセスは、トランスポート層インタフェース (TLI) 仕様に準拠する任意の接続型トランスポートプロバイダで使用できます。Solaris 7 環境では、listen ポートモニターは、inetd が提供しない追加ネットワークサービスを提供します。

listen 固有の管理コマンド: nlsadmin

listen ポートモニターの管理ファイルは、sacadm および pmadm の他に、nlsadmin コマンドでも更新できます。nlsadmin コマンドは、listen 固有の情報の書式を定義して標準出力に書き込み、書式付きの listen 固有のデータを sacadm および pmadm コマンドに提示する手段を提供します。

したがって、nlsadminlisten を直接管理するのではなく、一般的な管理用コマンドである sacadm および pmadm を補足するものです。

各ネットワークには、ネットワークリスナープロセスのインスタンスが少なくとも 1 つは存在します。各ネットワークはそれぞれ個別に構成されます。nlsadmin コマンドは listen ポートモニターの動作状態を制御します。

nlsadmin コマンドは、与えられたネットワークに対して listen ポートモニターを設定し、そのポートモニターの固有の属性を構成し、そのモニターを起動したり、強制終了させたりすることができます。さらに、マシン上にある listen ポートモニターについて報告することもできます。

詳細は、nlsadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。