TCP/IP とデータ通信

はじめに

本書では、SolarisTM オペレーティング環境で TCP/IP プロトコル群を使用するネットワークの設定、保守、拡張の方法に関する、以下の内容について説明します。

対象読者

本書には、広範な経験を持つネットワーク管理者向きの情報が記載されています。読者が Solaris 環境について十分に理解していること、ローカルマシンのほか、モデムなどの周辺デバイスの管理経験があることを前提としています。

新規のネットワークを設定しようとしているときは、まず本書をお読みになってから、Solaris 7 システム管理マニュアルセットに含まれる他のマニュアルに進んでください。既存のネットワークの管理や拡張を行おうとしている場合は、行いたい作業に該当する章をお読みください。


注 -

Solaris やその他の UNIX ベースのネットワークを一度も使用したことのないサイトで、新規にネットワークを設定する必要がある場合は、Solaris ソフトウェアをインストールする前に、第 3 章「ネットワークの計画」をお読みください。この章には、『Solaris のインストール (上級編)』で説明されているインストール作業に関する重要な補足情報が記載されています。


各章を順番に読み進む必要はありませんが、どの章でも、それ以前の章の内容を理解しているものとして説明が進められています。

お読みになる前に

本書をお読みになる前に、以下のマニュアルの内容を理解しておいてください。

内容の紹介

本書は、以下の章で構成されています。

第 1 章「ネットワーク管理の概要」では、ネットワーク管理者が行う一般的な作業について説明し、ネットワーキングの基本的な概念を紹介します。

第 2 章「TCP/IP プロトコル群」では、TCP/IP プロトコル群を形成するプロトコルを紹介します。

第 3 章「ネットワークの計画」では、新規のネットワークを設計するときに必要な考慮事項、たとえば、インターネットプロトコル (IP) のアドレス指定、ネットワークトポロジなどについて説明します。

第 4 章「ネットワーク上での TCP/IP の構成」では、新規のネットワークにマシンを設定するための手順を示します。

第 5 章「ルーターの構成」では、ルーターを用いてネットワークを拡張する方法について説明します。

第 6 章「TCP/IP の障害追跡」では、TCP/IP に関する問題の診断と修正のためのツールの使用方法について説明します。

第 7 章「PPP の概要」では、モデムと電話回線を使ってネットワークを拡張するために使用できる PPP データリンクプロトコルを紹介します。

第 8 章「PPP 構成の準備」では、特定の PPP 構成を設計するときに必要な考慮事項について説明します。

第 9 章「PPP の構成」では、2 つの基本的な種類の PPP リンクを構成するための手順を示します。

第 10 章「PPP の障害追跡」では、PPP に関する問題の診断と修正の方法について説明します。

第 11 章「PPP リンクの調整」では、複雑な PPP リンクの設定について説明します。

第 12 章「UUCP のデータベースとプログラム」では、UUCP のデータベースファイルを設定する方法について説明します。

第 13 章「UUCP の構成と保守」では、UUCP の起動方法と、UUCP リンクに関する問題への対応方法について説明します。

第 14 章「DHCP の概要」では、動的ホスト構成プロトコルを紹介します。このプロトコルによって、インターネットプロトコル (IP) アドレスと他のインターネット構成パラメータをホストが取得できます。その際、システム管理者が事前に構成を行う必要はありません。

第 15 章「DHCP への移行」では、DHCP と初期のプロトコルの違いと、初期のプロトコルから DHCP への移行方法を説明します。

第 16 章「DHCP の管理」では、DHCP が実行されるネットワークの設定、リース期間の方針の決定、BOOTP リレーエージェントの追加、DHCP で使用される一部のデータベース内でのマクロ作成の方法について説明します。

第 17 章「DHCP の障害追跡」では、DHCP の使用中に発生しうる問題を解決する方法を説明します。

付録 A 「PCNFSpro 用の付録」では、Windows クライアントとして実行される PCNFSPro に固有の障害追跡手法について説明します。

関連マニュアル

ネットワークを設定後、Solaris オペレーティングシステムが提供するネットワークサービスを追加することができます。各種のサービスについては、システム管理マニュアルセットの中の下記のマニュアルに説明されています。

また、以下の書籍には、異種 TCP/IP ネットワークの管理に関するきわめて有用な情報が記載されています。

マニュアルの注文方法

SunDocsTM プログラムでは、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) の 250 冊以上のマニュアルを扱っています。このプログラムを利用して、マニュアルのセットまたは個々のマニュアルをご注文いただけます。

マニュアルのリストと注文方法については、米国 SunExpressTM, Inc. の Web ページ http://www.sun.com/sunexpress にあるカタログセクションを参照してください。

表記上の規則

このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。

表 P-1 表記上の規則

字体または記号 

意味 

例 

AaBbCc123

コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、またはコード例を示します。 

.login ファイルを編集します。

ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。

system%

AaBbCc123

ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力とは区別して示します。 

system% su

password:

AaBbCc123

変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 

ファイルを削除するには、rm filename と入力します。

『 』 

参照する書名を示します。 

『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 

「 」 

参照する章、節、ボタンやメニュー名、または強調する単語を示します。 

第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 

この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 

¥ 

枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を越える場合、バックスラッシュは継続を示します。 

sun% grep `^#define ¥
  XV_VERSION_STRING'

ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。

コード例は次のように表示されます。

[ ] は省略可能な項目を示します。上記の場合、filename は省略してもよいことを示します。

| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。

キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。

ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-DControl キーを押したまま D キーを押すことを意味します。

一般規則