TCP/IP とデータ通信

VALIDATE オプション

VALIDATE コマンドは、マシンのセキュリティにとって危険性があると考えられるコマンドを指定するときに、COMMANDS オプションといっしょに使用します (VALIDATE は、コマンドアクセスを開放する方法としては ALL より安全ですが、COMMANDS オプションのセキュリティのレベルを補強するだけのものです)。

VALIDATE は、呼び出し側マシンのホスト名と、そのマシンが使用しているログイン名とを相互にチェックするものであり、呼び出し側の識別情報について、ある程度の検証機能を備えています。次のような文字列を指定したとします。


LOGNAME=Uwidget VALIDATE=widget:gadget 

この例では、widget または gadget 以外のマシンが Uwidget としてログインしようとすると、接続は拒否されます。VALIDATE オプションを使用する場合、権限が与えられたコンピュータは UUCP トランザクション用に固有のログインとパスワードを持っていなければなりません。この認証処理では、このエントリに対応するログインとパスワードを保護することが重要な条件の 1 つです。部外者がこの情報を入手してしまうと、VALIDATE オプションはセキュリティに関する役割をまったく果たさなくなります。

UUCP トランザクションについて、特権を持つログインとパスワードをどのリモートコンピュータに付与するかについては、十分に検討する必要があります。ファイルアクセスとリモート実行の権限をリモートコンピュータに与えるということは、そのリモートコンピュータのすべてのユーザーに対して、ローカルコンピュータに対する通常のログインとパスワードを与えるのと同じことです。したがって、リモートコンピュータに信頼の置けないユーザーがいると判断した場合は、そのコンピュータには特権的なログインとパスワードは付与しないようにしてください。

次のような LOGNAME エントリを指定したとします。


LOGNAME=uucpfriend VALIDATE=eagle:owl:hawk 

この例では、リモートコンピュータが eagleowlhawk のどれかとしてローカルコンピュータにログインする場合は、そのコンピュータはログイン uucpfriend を使用する必要があります。部外者が uucpfriend を入手したとすれば、簡単に偽装することができます。

それでは、MACHINE エントリの中でだけ使われる COMMANDS オプションに対して、このオプションはどのような効果を持つのでしょうか。 このオプションは、MACHINE エントリ (および COMMANDS オプション) を、特権ログインに対応する LOGNAME エントリにリンクします。このリンクが必要なのは、リモートコンピュータがログインしている時点では、実行デーモンはまだ動作していないためです。事実、このデーモンは、どのコンピュータが実行要求を送ったのかを認識しない非同期プロセスです。ここで問題になるのが、実行ファイルがどこから送られてきたのかを、ローカルコンピュータがどのようにして知るかという点です。

各リモートコンピュータは、ローカルマシン上にそれぞれ専用スプールディレクトリを持っています。これらのスプールディレクトリの書き込み権限は、UUCP プログラムだけに与えられています。リモートコンピュータからの実行ファイルは、ローカルコンピュータに転送された後に、このスプールディレクトリに入れられます。uuxqt デーモンが動作するときには、スプールディレクトリ名を使って、Permissions ファイルから MACHINE エントリを見つけ、COMMANDS リストを取得します。Permissions ファイル内に該当するコンピュータ名が見つからない場合は、デフォルトのリストが使用されます。

次の例は、MACHINE エントリと LOGNAME エントリの関係を示しています。

MACHINE=eagle:owl:hawk REQUEST=yes ¥
COMMANDS=rmail:/usr/local/rnews ¥
READ=/ WRITE=/
LOGNAME=uucpz VALIDATE=eagle:owl:hawk ¥
REQUEST=yes SENDFILES=yes ¥
READ=/ WRITE=/ 

COMMANDS オプションの値は、リモートユーザーが、rmail/usr/local/rnews を実行できることを示しています。

最初のエントリでは、リストされているコンピュータのどれかを呼び出したい場合に、実際には eagleowlhawk のどれかを呼び出すということを理解しておく必要があります。したがって、eagleowlhawk のスプールディレクトリに置かれるファイルはすべて、それらのコンピュータのどれかが投入したことになります。あるリモートコンピュータがログインし、この 3 つのコンピュータのどれかであることを主張した場合、その実行ファイルもこの特権スプールディレクトリに入れられます。したがって、ローカルコンピュータでは、そのコンピュータが特権ログイン uucpz を持っていることを確認する必要があります。