クライアントマシン、ユーザー、アプリケーション、あるいはプロセスは、アクティブな NIS+ サーバー (マスターまたは複製) を検索して、そこから必要な情報を取り込みます。巨大なネットワーク、サブネットを多く持ったネットワーク、あるいは広域リンクにまたがったネットワークでは、サーバーの使用法をカスタマイズすることにより NIS+ の性能を強化できます。
カスタマイズ前の状態で、nisprefadm コマンドによるサーバーの優先順位設定がなにも設定されていなければ、クライアントは、まず自分自身のローカルサブネット上の NIS+ サーバーから情報を入手しようとします。そのサブネットにアクティブなサーバーが見つかれば、応答のあった最初のローカルサーバーから必要な情報を入手します。ローカルサブネットにサーバーがない場合、次にクライアントは、ローカルサブネットの外部を検索し、応答のあった最初の遠隔サーバーから必要な NIS+ 情報を入手します。
ネットワークが大規模で、混雑している場合、上記のデフォルトの検索動作では NIS+ の性能を十分に発揮させることができないことがあります。それは次のような理由によります。
サブネット上の複数のサーバーが多数のクライアントに情報の配布を行なっている場合、クライアントのデフォルト検索パターンがランダムなために、他にあまり使われていないサーバーがあるのに、いくつかのサーバーの負荷が高くなりすぎる可能性があります。
ローカルサブネットの外で NIS+ サーバーを検索する際、クライアントは、オーバーワークしているサーバーであっても、低速な広域ネットワーク接続方式 (たとえば、モデム) や、すでにトラフィック多い専用回線によってリンクされているサーバーであっても、最初に応答したものから情報を入手します。
Solaris 7 リリースには、新規機能 (サーバーの使用のカスタマイズ) が搭載されています。この機能を使用すると、クライアントが NIS+ サーバーを検索する順序をコントロールできます。この新規機能では、次のような方法でサーバーの使用の度合いをバランスよくカスタマイズできます。
クライアントが特定のサーバーを優先的に選択する (検索する) ように指定します。
使用できるローカルサーバーがない場合、クライアントが遠隔サーバーを使用してもよいかどうかを指定します。
指定した検索基準は、ドメイン内のすべてのクライアント、サブネット上のすべてのクライアント、またはマシンごとに独立したクライアントに適用できます。
サーバー使用の優先順位を特定のマシンに設定すると、この優先順位は、そのマシンで実行中のユーザー、アプリケーション、処理、または他のクライアントすべてに適用されます。同じマシン上の別のクライアントに、異なるサーバー使用のパターンを設定できません。