この章では、Solaris 7 - 11/99 Software CD に含まれている 『オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルを作成後に明らかになった、実行時のバグ情報と注意事項について説明します。オンラインリリース情報については、「オンラインリリース情報」の説明を参照してください。
Solaris 全般に関する情報と、日本語環境に固有の情報とを分けて説明しています。「Solaris 7 - 11/99 実行時の注意事項とバグ情報」には、Solaris 7 - 11/99 全般に関する情報が記載されています。「Solaris 7 - 11/99 実行時の注意事項とバグ情報 (日本語環境固有)」には、日本語環境に固有の情報のみが記載されています。
この章に記載されている情報は、Solaris 7 - 11/99 Software CD に含まれている『オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルの内容を補足するものです。
この節では、Solaris 7 - 11/99 実行時の注意事項およびバグ情報について説明します。
ru、 hr、 pl など、ロケールが ISO-8859-1 以外の場合、dtmail で電子メールを印刷することができません。
日本語のロケールは、このバグの影響を受けません。
回避方法: 電子メールをファイルに保存し、 そのファイルを、dtpad または lp コマンドを使用して印刷してください。
Solaris 7 オペレーティング環境で Motif プログラムをコンパイルする時に、Solaris 2.4、2.5、2.5.1、2.6 のいずれかのオペレーティング環境でコンパイルした Motif API を使用している共有ライブラリにリンクすると、コアダンプが発生します。これは、上記の旧バージョンの Solaris オペレーティング環境でコンパイルされた共有ライブラリは Motif 1.2 を使用しており、Solaris 7 オペレーティング環境でコンパイルされたプログラムは Motif 2.1 を使用しているためです。これはバイナリ互換の問題ではないので、Solaris 2.4、2.5、2.5.1、2.6 オペレーティング環境でコンパイルしたアプリケーションは、Solaris 7 オペレーティング環境において問題なく動作します。
回避方法 : Motif ライブラリに直接リンクされている古いバージョンの共有ライブラリがある場合に、Motif ライブラリとその古いバージョンの共有ライブラリの両方にリンクされているプログラムをコンパイルするには、次のようなコンパイル行を使用してください。
cc foo.c -o foo -DMOTIF12_HEADERS -I/usr/openwin/include -I/usr/dt/include -lXm12 -lXt -lX11 |
foo には、コンパイルするプログラムの名前を指定してください。
次のイベントが PDA Sync ログファイルに記録されません。
デスクトップからレコードを削除し、同じレコードを PDA デバイス上で変更した場合、変更後のレコードが、同期処理後にデスクトップと PDA デバイスの両方に現われる。
PDA デバイスおよびデスクトップの両方で同じレコードを変更した場合、変更が反映された 2 つのレコードが、同期処理後にデスクトップと PDA デバイスの両方に現われる。
上記のどちらも PDA Sync の正しい動作です。この動作は、PC 上で動作する Palm デバイスの HotSync と同じです。ただし、PDA Sync ではこの処理がログファイルに記録されないという点が、HotSync と異なります。
デスクトップから最後のエントリ (たとえば、カレンダの最後のアポイントメント、アドレス帳の最後のアドレスなど) を削除した後に、PDA デバイスに対して同期処理を実行すると、最後のエントリが PDA デバイスからデスクトップに復元されてしまいます。
PDA Sync アプリケーションから警告が出力され、最後のエントリがデスクトップに復元されます。
回避方法: PDA デバイスから最後のエントリを削除してください。
国際化 (複数バイト文字) 対応の PDA デバイスと Solaris CDE とで、日本語などの複数バイト文字のデータを交換すると、両方の環境において、交換した複数バイト文字データが壊れる場合があります。
回避方法 : PDA Sync を実行する前に必ず、PDA デバイスに付属しているバックアップ機能やバックアップユーティリティを使用して、PC などにデータの完全なバックアップをとってください。間違ってデータ交換をしてしまった場合には、バックアップデータからデータを復旧させてください。
コンジットを追加または削除した後、コンジットリストがコンジットタブウィンドウに表示されません。コンジットリストは内部で更新されますが、更新されたリストが GUI に表示されません。
回避方法: 更新されたコンジットリストを再表示するには、「同期処理(Synchronization)」タブまたは「ログ」タブをクリックし、「コンジット(Conduit)」タブをクリックしてください。コンジットタブウィンドウにコンジットリストが表示されます。
PC の Microsoft Windows オペレーティング環境における HotSync と比較して、Solaris 7 - 11/99 オペレーティング環境における PDA Sync アプリケーションは、パフォーマンス全般が遅いことが確認されています。これは、次に示すようなアーキテクチャの違いが原因となっています。
PDA Sync のカレンダコンジットは、ネットワーク経由でカレンダサーバーに接続して、カレンダアポイントにアクセスします。一方 Palm デバイスの HotSync は、ローカルにあるテキストファイルのデータベースを読み取って、カレンダアポイントにアクセスします。
PDA Sync は、PalmPilot 上の各レコードをデスクトップ上では別々のファイルとして (メモ帳やアドレス V カードそれぞれを別々のファイルとして) 扱います。このため、ユーザーは CDE デスクトップからこれらのファイルにアクセスすることができます。一方 Palm デバイスの HotSync は、各データベースのレコードを 1 つの大きなファイルに格納しています。たとえば 1000 個のレコードにアクセスする時、PDA Sync はデスクトップ上で 1000 個のファイルを読み取りますが、Palm デバイスの HotSync は 1 つの大きなファイルを読み取ります。
定期的に繰り返されるアポイントのインスタンス 1 つをデスクトップから削除した場合に、PDA Sync を起動してデスクトップと PalmPilot PDA デバイスを同期処理しても、PalmPilot PDA デバイス上のアポイントが削除されずに残ります。
回避方法: PalmPilot PDA デバイスを使用してアポイントのインスタンスを 1 つ削除してください。
ファイル・マネージャを使用してフロッピーディスクのフォーマットをする場合、フォーマットウィンドウが繰り返し表示されて、フォーマットができないことがあります。
回避方法 : 以下のようにして、いったんコマンド行からフロッピーディスクを取り出し、フォーマットウィンドウを終了してください。
% eject |
netinstall 実行後の最初のブートに関する情報を表示した場合、 /var/adm/messages ファイル中のシステム時間が不正確です。 /var/adm/messages ファイルの一部を例として示します。この例では、システム時間が後の (遅い) 時刻になっていることがわかります。
Jun 1 22:05:07 sunergy2 unix: mem = 49152K (0x3000000) Jun 1 22:05:07 sunergy2 unix: avail mem = 44359680 Jun 1 22:05:07 sunergy2 unix: root nexus = SUNW,SPARCclassic Jun 1 17:39:59 sunergy2 unix: iommu0 at root Jun 1 17:39:59 sunergy2 unix: : Jun 1 17:39:59 sunergy2 unix: obio 0x10000000 Jun 1 17:39:59 sunergy2 unix: Jun 1 17:39:59 sunergy2 unix: sbus0 at iommu0 |
回避方法 : 不正確なメッセージを削除するか、またはシステムをリブートしてください。
UE10000 ボードがディスクレスクライアントとして設定されていて、Solstice AutoClient サーバーおよび Solstice AdminSuite デーモンが実行されている場合、動的再構成 (Dynamic Reconfiguration) を使用してボードを切り離すことができません。ボードを切り離そうとすると、次に示すようなエラーメッセージが表示されます。
dr> complete_detach 2 Completing detach of board 2. DR Error: detach_board: UNCONFIGURE ioctl failed PIM (errno #5): /sbus@48,0/SUNW,hme@0,8c00000 Board detachment failed. Retry the COMPLETE or ABORT the operation. dr> |
回避方法 : UE10000 ボードが、ディスクレスクライアントおよび Solstice AutoClient システムにサービスを提供するサーバーとして設定されている場合、動的再構成の処理を実行する前に、次の手順を行なってください。
/rplboot を /rplboot_orig に変更します。
# mv /rplboot /rplboot_orig |
NFS サーバーを停止します。
# /etc/init.d/nfs.server stop |
NFS サーバーを起動します。
# /etc/init.d/nfs.server start |
in.rarpd デーモンを強制終了します。
# kill -9 PID |
PID には、in.rarpd デーモンのプロセス ID を指定します。
rpc.bootparamd デーモンを強制終了します。
# kill -9 PID |
PID には、rpc.bootparamd デーモンのプロセス ID を指定します。
これで、動的再構成を実行して UE10000 ボードを問題なく切り離すことができます。動的再構成の処理中は、ディスクレスクライアントや AutoClient システムにサービスを提供できません。動的再構成の処理後、サービスの提供を再開するには、次のようにしてください。
/rplboot_orig を /rplboot に変更します。
# mv /rplboot_orig /rplboot |
NFS サーバーを停止します。
# /etc/init.d/nfs.server stop |
NFS サーバーを起動します。
# /etc/init.d/nfs.server start |
in.rarpd デーモンを実行します。
# /usr/sbin/in.rarpd -a & |
rpc.bootparamd デーモンを実行します。
# /usr/sbin/rpc.bootparamd & |
キャリアが失われたとき、つまり (ログイン時に経由したデフォルトのコンソール上または補助コンソール上にはない) シリアルポートとの接続が切れたときに、そのシリアルポートから init コマンドを実行してシステムをシングルユーザーモードまたは管理モードにした場合、システムをリブートする前にそのシリアルポート上にキャリアが再確立されていることを確認してください。(init コマンドの実行対象となったポート上のみの) システムをブートする実行レベルを入力するためのプロンプトが表示されます。
回避方法: キャリアが失われた時には、シリアルポートに再接続してから、システムをリブートしてください。
init コマンドを使用するシステム管理作業を行なっているとき、reboot コマンドを実行すると init 状態 (実行レベル) を変更したデバイス上に不適当なメッセージが出力されることがあります。init s を実行するとリモートコンソール上にシングルユーザーシェルが確立され、その後システムをリブートすると、以下のようなメッセージが出力されます。
Enter run level |
回避方法: 上記のような場合は、メッセージを無視してください。
デフォルトの実行レベルにするために、スーパーユーザーで Control-D キーを押すかまたはスーパーユーザーのログインプロンプトから root としてログインした後に exit コマンドを実行すると、デフォルトの実行レベルを入力するためのプロンプトが表示されます。プロンプトは、Control-D キーまたは exit コマンドが実行されたコンソール上ではなく、init コマンドが最初に実行されたコンソール上に表示されます。
pty から init コマンドを実行した場合は、/dev/console がデフォルトのデバイスになり、このデバイス上に実行レベルを入力するためのプロンプトが表示されます。リモートコンソールを実行中にスーパーユーザーとしてログインし、Control-D キーを押してシステムをブートすると、実行レベルを入力するためのプロンプトが補助コンソール上ではなくそのコンソール上に表示されます。
1 つまたはそれ以上の補助コンソールを構成している場合に、init コマンドが実行された補助コンソールに対する接続をキャリアが切断し、別の補助コンソールまたはデフォルトコンソールから sulogin シェルが終了した場合、キャリアが接続を切断したポート上に接続を再確立した後、以下のプロンプトが表示されません。
ENTER RUN LEVEL |
実行レベルを指定するためのプロンプトが表示されませんが、システムは実行レベルが入力されるのを待機しています。
回避方法: キャリアが接続を切断したポートに対して接続を再度確立し、プロンプトが表示されていなくても任意の実行レベルを入力してください。
デーモンまたはコマンドは、メッセージを表示するために明示的に /dev/console を使用することがあります。そのようなメッセージは、コンソールに表示されるその他のメッセージの中で表示される頻度が低いです。
回避方法: すべてのメッセージは /dev/console に出力されるので、これを監視できます。また、syslog のログファイルを監視することもできます。
syslogd がコンソール上にエラーメッセージを表示する必要がある場合、これらのエラーメッセージはデフォルトの場所 /dev/syscon にリダイレクトされます。エラーメッセージは、機能パッチ中に含まれている構成済み補助コ ンソール上には表示されません。
ディスク入出力中に、次に示すようなエラーメッセージが表示され、UFS ファイルシステムのパニックが発生することがあります。
panic, ufs_fault_v+0x4c:, call, real_panic_v, alloccgblk: can't find blk in cyl ..... |
回避方法 : システムをリブートし、影響を受けたファイルシステムに対して fsck コマンドを実行してください。パニックからシステムが回復します。
スワップ領域が十分にない場合、Java アプリケーションでコアダンプが発生し、次のバスエラーが表示されます。
not enough space |
回避方法 : システムで動作しているほかのアプリケーションを終了するか、スワップ領域を追加してください。スワップ領域の追加方法については、『Solaris のシステム管理 (第 1 巻)』を参照してください。
仮想マシンを実行しているマシン以外のホストに環境変数 DISPLAY を設定しているとき、ブラウザでの下線付きテキストの表示が、下線が付いていないテキストよりもかなり遅くなります。
回避方法 : リモートディスプレイを使用しないでください。
JDK 1.2 では、テキストのレンダリング (描画) が JDK 1.1.7 およびそれ以前のリリースよりも遅くなっています。cg6 および ffb フレームバッファーなど、ダイレクトグラフィックスアクセス (Direct Graphics Access, DGA) をサポートしているプラットフォーム上でも、同様のパフォーマンス低下が起こります。
回避方法 : ソケット書き込みを 64 K バイトよりも小さい値にしてください。
韓国語、簡体字中国語、繁体字中国語のページは、AnswerBook2 の印刷機能で印刷することができません。
回避方法 : 上記のロケールの AnswerBook2 ページを印刷するには、ご利用のブラウザの印刷機能を使用してください。
ab2cd コマンドで AnswerBook2 サーバーを起動したときに LC_ALL の値が C または空白に設定されている場合、次に示すようなエラーメッセージが表示されます。
Internal Server Plugin Error ../dwinterp/dwinterp.cc reported TCL script exception: File not found: "/tmp/.ab2/data/config/dynaweb.dwc" ------------------------------ Please notify your System Administrator.../dwsp/dwspns.cc reported "Null Pointer" exception caught in ../dwsp/dwspns.cc, line 244 Please notify your System Administrator. |
回避方法 : ab2cd コマンドを実行する前に、以下のコマンドを実行してください。
# unsetenv LC_ALL |
コレクションの追加や削除を行なった後に「再起動」を実行しても、コレクションに対する変更内容が個人用ライブラリに反映されません。
回避方法 : コマンド行で以下のように実行して、再起動してください。
# /usr/lib/ab2/bin/ab2admin -o restart |
man コマンドでマニュアルページ netstat(1M) を表示しようとしても、途中までしか表示されません。これは C ロケールだけで発生する nroff のバグが原因です。man コマンドによって生成される nroff ファイル中に、コアダンプを発生させる不正な文字が含まれるからです。
マニュアルページ netmask(1M) および m64config(1M) の表示でも、同様の問題が起こります。
回避方法 : マニュアルページ netstat(1M)、 netmask(1M)、 m64config(1M) を完全に表示するには、AnswerBook2 の Solaris 7 Reference Manual Collection 『man Pages(1M): System Administration Commands』をご覧ください。
このマニュアルの作成時点では、Solaris 7 - 11/99 Software CD に含まれている 『オンラインリリース情報』の runtime_bugs ファイルを作成後に明らかになった、日本語環境固有の実行時の注意事項およびバグ情報はありません。