SunVTS 3.4 テストリファレンスマニュアル

第 21 章 Sun Gigabit Ethernet テスト (gemtest)

gemtest は、Sun Gigabit Ethernet SBus および PCI バスアダプタの動作を検査します。gemtest はループバック (外部/内部) モードで動作します。このテストを行うには、nettest と同時に行われないように手動で選択する必要があります。障害の特定という点で、gemtestnettest より優れています。

gemtest のテストを実行するにはネットワークへの接続は必要ありませんが、Gigabit Ethernet カードと ge デバイスドライバが設置済みであること、ループバックコネクタが正しい位置に取り付けられていること、intervention モードが有効になっていること、以上の条件を満たしている必要があります。gemtest は Sun GigabitEthernet アダプタのネットワークインタフェース構成の状態には依存していませんが、誤ったメッセージの出力を防止するために、コマンド ifconfig (詳細は ifconfig(1M) のマニュアルページを参照してください) を使用して、インタフェースを停止させておいてください。

gemtest は、DLPI RAW モードを使用してデバイスドライバに接続します。このテストでは、パケットは、Ethernet ヘッダーに続く Ethernet データ搭載部と定義されます (IEEE 802.3z を参照)。gemtest は、要求された個数のパケット (調整可能なパラメタ) を生成、送信し、ループバックインタフェース (外部または内部) を介して、同じ数のパケットを受信しようとします。パケット数の不一致または時間切れなどのエラーが発生した場合は、SunVTS コンソールには、そのエラーの種類と考えられる原因、対処方法を示すエラーメッセージが表示されます。

送信データは乱数ジェネレータによって生成され、データバッファーに書き込まれます。送信するパケットをデータバッファーから選択開始する位置はその都度異なるため、連続する 2 つの送信パケット が同じになることはありません。


注 -

nettestgemtest を同時に実行しないでください。


gemtest テストの条件

gemtest を実行するには、Sun Gigabit Ethernet カードにループバックコネクタを接続しておく必要があります。ネットワークインタフェースを生きたネットワークに接続されているときに gemtest を実行することはできません。ただし、リンクは動作中である必要があります。ループバックコネクタは、ネットワークインタフェースドライバを生きたネットワークから切り離した状態で、テストに必要なリンクを提供します。ループバックコネクタは、内部および外部テストのどちらにも必要です。 ループバックケーブルの仕様は、マルチモード、全二重、62.5/125 ミクロン、sc コネクタ、850nm となっています。標準の光ファイバケーブルを縦に 2 つ裂くことによっても、これと同じ仕様のケーブルを作成できます。ループを形成するには、ケーブルの両端はそれぞれ、アダプタの TX ポートおよび RX ポートに接続してください (接続順序は問いません)。

gemtest のオプション

ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 3.4 ユーザーマニュアル』を参照してください。

図 21-1 gemtest のテストパラメタオプションダイアログボックス

Graphic

gemtest のテストパラメタについては、表 21-1 を参照してください。

表 21-1 gemtest のオプション

オプション 

説明 

Configuration 

テスト中のシステムのポートアドレス、ホスト ID、ドメイン名を示します。 

Total Packets 

送信する総パケット数を指定します。デフォルトは 1000 個です。 

Packet size 

送信するパケットのサイズを指定します (単位: バイト)。範囲は 60 〜 1514 バイトです。デフォルトのサイズは 1000 バイトです。 

Loopback 

外部または内部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは内部ループバックモードです。  

Print_Warning 

警告メッセージの出力を有効または無効にします。デフォルトは Disable (無効) です。  

Processor Affinity 

特定のプロセスにテストを結合します。プロセッサが指定されなかった場合は、テストはプロセッサ間を移動します。このオプションは、マルチプロセッサシステムでのみ使用することができます。 

gemtest のテストモード

gemtest は、オフラインの機能テストモードでのみ実行できます。テスト対象のデバイスによってホストがネットワークに接続されていないことが前提となります。

gemtest の実行にはループバックコネクタが必要なので、このテストを選択できるのは intervention モードが有効な時のみとなります。

gemtest のコマンド行構文

/opt/SUNWvts/bin/gemtest 標準引数 -o dev=デバイス名,tpkts=n,pksz=パケットサイズ,lb=Internal,warn=Disable

表 21-2 gemtest のコマンド行構文

引数 

説明 

dev=デバイス名

テストするデバイスを指定します (例: ge0)。

tpkts=n

1 〜 100000 の範囲でループバックさせるパケット数を指定します。 

pksz=パケットサイズ

60 〜 1514 の範囲でパケットサイズを指定します (単位: バイト)。 

lb=Internal

内部または外部ループバックモードのいずれかを選択します。デフォルトは internal です。

warn=Disable

警告メッセージの出力を有効または無効にします。 


注 -

64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは、32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。


gemtest のエラーメッセージ

表 21-3 gemtest のエラーメッセージ

 

エラーメッセージ 

考えられる原因 

対処方法 

6000Timed out for receiving pkt 数値

カードが正しく取り付けられていないか、ドライバが正しく設定されていません。  

ドライバを設定するか、カードを装着し直してください。ループバックコネクタが取り付けられているか確認してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。  

6001system error

システムがメモリー不足になっている可能性があります。  

動作中のプロセスを減らすか、システムメモリーを増設してください。 

6002Data mismatch between transmitted and received pkt data

リンクが失われたか、CRC エラーか、整列エラーです。 

エラーが頻繁に発生する場合は、カードを交換するか、購入先に問い合わせてください。  

8000

デバイスのエラーメッセージ 

カードが取り付けられていません。 

カードが取り付けられているか確認してください。 

8001Memory allocation failure

システムのメモリー不足です。 

動作中のプロセスを減らしてください。システムメモリーを増設してください。 

8002No card found

カードが見つかりません。 

カードを取り付けてください。 

8003Failed to get the link up

ループバックコネクタが接続されていません。 

ループバックコネクタの障害。 ループバックコネクタを調べて、必要ならば、交換してください。エラーがなくならない場合は、購入先に問い合わせてください。  

8004Transmit failed エラー

STREAMS がこれ以上のデータを受け付けることができません。 

STREAMS メモリーが不足していることが考えられます。 システムの負荷を小さくしてください。 

8005Receive failed, error for pkt 数値

 

テストをやり直してください。問題がなくならない場合は、システムエラーです。購入先に問い合わせてください。 

8006

DLPI error for device 文字列

geX に不正なインスタンス番号 X が指定されています。 

正しいインスタンス番号を指定してください。