Sun NFS サーバーの調整

097. LADDIS ベンチマーク

SPEC SFS 1 (097.LADDIS) ベンチマークは、アプリケーションの抽象化と NFS の操作群、NFS 操作要求率に基づく総合的な NFS の作業負荷テストです。このベンチマークによって生成される作業負荷は、NFS プロトコルレベルで集中的なソフトウェア開発環境をエミュレートします。LADDIS は、サーバーに対して直接 RPC 呼び出しを行い、実際に使用されている NFS クライアントの差を排除します。結果として、操作群や作業負荷の制御が簡単になるため、ベンダー同士の結果比較の際に有用です。ただし、この方法は同時に、キャッシュファイルシステムクライアントのように、個々のクライアントの持つ特長を隠すという側面もあります。

NFS 操作群の各操作の割合を以下にまとめます。示した値は、各操作の呼び出し数の相対値です。

表 A-4 呼び出し別の NFS 操作群

NFS 操作 

割合 

Lookup

34 

Read

22 

Write

15 

GetAttr

13 

ReadLink

ReadDir

Create

Remove

Statfs

SetAttr

NFS ファイルシステム用の LADDIS ベンチマークでは、書き込み操作が 15 % の操作群が使用されています。このため、実際の NFS クライアントが 1 〜 2 % の書き込み操作しか行わない場合は、性能は低く見積もられることになります。実際の操作が、操作群の割合に近いほど、NFS 操作の最大スループットは基準としてより信頼性が高くなります。

LADDIS ベンチマークを行うには、NFS 負荷ジェネレータとして、テスト対象のサーバーに少なくとも 2 台のクライアントが、独立したネットワークで接続されている必要があります。1 つのネットワークでは、サーバーの最高の性能に達する前に飽和することがあるため、複数のネットワークをサポートすることは非常に重要です。1 台のクライアントを、LADDIS 第 1 負荷ジェネレータとして指定し、そのクライアントによって、すべての負荷生成クライアントでの LADDIS 負荷生成コードの実行を制御します。一般的に、ベンチマークも、第 1 負荷ジェネレータが制御します。また、第 1 負荷ジェネレータは、作業負荷のそれぞれのポイントでスループットと応答時間データを収集し、結果を生成することもできます。

応答時間を短くするには、NFS サーバーに NVRAM-NVSIMM Prestoserve NFS アクセラレータを追加してください。NVSIMMは、直接高速のメモリーサブシステムに記憶領域を確保しますから、待ち時間が大幅に短くなり、より少ないディスク入出力で、求めるレベルの性能を得ることができます。

NVSIMM との間では、余分なデータコピーがやりとりされるため、最高のスループットは抑えられます。しかし、NFS の負荷によって最高のスループットが維持されることはないため、NVSIMM を使用して応答時間を短くすることをお勧めします。Prestoserve NFS アクセラレータについての詳細は、「Prestoserve NFS アクセラレータ」を参照してください。