Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) は、多くの Sun のサーバー側製品を 1 つのソフトウェアシステムに統合し、分散型のエンタープライズアプリケーションのサポートに必要なサーバーソフトウェアを提供します。このマニュアルでは、これらの製品を「Java ES コンポーネント」と呼びます。Java ES コンポーネントをさまざまな組み合わせでインストールするための単一のインストーラが用意されています。これらのコンポーネント間には複雑な相互関係が存在するため、それらをインストールする際には、単一のコンポーネントをインストールする場合よりも多くのインストール前作業やインストール後作業が必要となります。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
2005Q4 リリースに関連付けられた Java ES ソフトウェアに含まれる選択可能なコンポーネントは、次のとおりです。(名前とバージョンの後に、このマニュアル内で使用する省略名を示す。)
Communication Services Delegated Administrator 6.3 (Delegated Administrator)
Service Registry 3.0
Sun Cluster 3.1 8/05 (Sun Cluster ソフトウェア)
Sun Cluster Agents for Sun Java System (Sun Cluster エージェント)
Sun Java System Access Manager 7.0 (Access Manager)
Sun Java System 管理サーバー 5.2P4 (管理サーバー)
Sun Java System Application Server 8.1 Enterprise Edition + パッチ (Application Server)
Sun Java System Calendar Server 6.2 + パッチ (Calendar Server)
Sun Java System Communications Express 6.2 + パッチ (Communications Express)
Sun Java System Directory Preparation Tool 6.3P2 (Directory Preparation Tool)
Sun Java System Directory Server 5.2P4 (Directory Server)
Sun Java System Directory Proxy Server 5.2P4 (Directory Proxy Server)
Sun Java System Instant Messaging 7.0.1 (Instant Messaging)
Sun Java System Message Queue 3.6 Enterprise Edition SP3 (Message Queue)
Sun Java System Messaging Server 6.2 + パッチ (Messaging Server)
Sun Java System Portal Server 6.3.1P3 (Portal Server)
Sun Java System Portal Server Secure Remote Access 6.3.1P3 (Portal Server Secure Remote Access)
Sun Java System Web Server 6.1 SP5 (Web Server)
Sun Java System Web Proxy Server 4.0 (Web Proxy Server)
High Availability Session Store (HADB) 4.4.2
Java ES インストーラに表示されるサービスおよびサブコンポーネントの完全な一覧については、付録 A 「このリリースの Java ES コンポーネント」を参照してください。この付録では、今回のリリースで提供する共有コンポーネントの一覧も示します。
Java ES インストーラは、Solaris pkgadd、Linux rpm のいずれかのユーティリティーを使ってJava ES ソフトウェアをシステムに転送するためのインストールフレームワークです。Java ES のインストールは、対話的に実行することも、再利用可能なスクリプトを使用して実行することもできます。
グラフィカルモード (対話式): グラフィカルワークステーションへの Java ES ソフトウェアのインストール作業の手順を示す、対話式のグラフィカルウィザードを提供します。
テキストモード (対話式): グラフィカルモードと同じ機能を提供しますが、端末ウィンドウのコマンド行で 1 行ごとに応答が求められます。
サイレントモード: 入力を指定するために生成した状態ファイルを使用して、複数のホスト上でインストーラを実行するオプションを提供します。
ソフトウェアをインストールせずに Java ES インストーラを実行することができます。これは、サイレントインストール用の状態ファイルを作成したり、既存のホスト上の Java ES ソフトウェアを調査したりする場合に便利です。
対話式インストーラは、オペレーティングシステムのロケール設定で指定されている言語で実行されます。次の言語を利用できます。
英語
フランス語
ドイツ語
日本語
韓国語
スペイン語
簡体字中国語
繁体字中国語
オペレーティングシステムの言語がこのリストに含まれていない場合、インストーラは英語で実行されます。
インストーラにより、英語版の Java ES のコンポーネントがすべて自動的にインストールされます。さらに、コンポーネントパッケージをリスト内のいずれかの言語でインストールできます。インストールセッションでは、インストールするすべてのコンポーネントに選択した言語が適用されます。ある言語で一部のコンポーネントをインストールし、別の言語でその他のコンポーネントをインストールする場合は、インストーラを複数回実行する必要があります。
Solaris OS 上では、オペレーティングシステムの言語が一覧に含まれていた場合、その言語が自動的にコンポーネントインストール用として選択されます。ただし、別の言語を選択することも可能です。
以前にインストールしたコンポーネントに対し、Java ES インストーラを使用して追加言語パッケージをインストールすることはできません。ただし、pkgadd または rpm ユーティリティーを使用することで、いつでも言語を追加できます。
インストール時に、Java ES インストーラは、インストールするホスト上にすでにインストールされているソフトウェアを調べ、次のコンポーネントを識別します。
互換性のある Java ES 製品コンポーネント。
互換性のあるコンポーネントは再インストールの必要がなく、またインストーラでは選択できません。
互換性のない Java ES 製品コンポーネント。
インストーラが選択したコンポーネントとすでにローカルにインストールされているコンポーネントとで互換性がないことを確認した場合、すでにインストールされている互換性のないコンポーネントを削除またはアップグレードするよう求められます。これらの互換性のないコンポーネントが処理されるまで、インストーラを続けて実行することはできません。これらのコンポーネントの処理を行なってから、コンポーネントの選択リストを更新し、インストールを続行することができます。
互換性のない Java ES 共有コンポーネント。
J2SE や NSS など、各種バージョンの Java ES 共有コンポーネントが既存のホストにすでに含まれていることはよくあることです。インストーラがインストールしようとする Java ES のバージョンと互換性のない共有コンポーネントのバージョンを検出した場合、これらの共有コンポーネントがリスト表示されます。インストールを続行すると、インストーラにより共有コンポーネントが互換性のあるバージョンにアップグレードされます。
コンポーネントの多くは、主要な機能を提供するために、ほかのコンポーネントの存在に依存しています。インストール時に選択したコンポーネントが共同して正常に機能するように、インストーラはコンポーネント間のチェックを広範囲に行います。このため、インストーラは、ユーザーが選択するコンポーネントに応じて、特定のコンポーネントをインストールに含めるよう求められます。
通常、Java ES インストーラは、次の規則を使用して Java ES コンポーネント間の依存性を処理します。
コンポーネントの選択: インストールするコンポーネントを選択すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントを自動的に選択します。
また、インストーラは、選択したコンポーネントが依存するコンポーネントとサブコンポーネントも選択します。たとえば、Application Server を選択すると、インストーラは Message Queue を自動的に選択します。
コンポーネントの選択の解除: コンポーネントの選択を解除すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントの選択を自動的に解除します。
選択している別のコンポーネントがローカルまたはリモートに必要とするコンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
サブコンポーネントの選択: サブコンポーネントを選択すると、インストーラはそのサブコンポーネントが属するコンポーネントを自動的に選択しますが、その他のサブコンポーネントは選択しません。
選択したサブコンポーネントがほかのコンポーネントまたはサブコンポーネントに依存する場合、依存関係にあるこれらのコンポーネントは自動的に選択されます。
サブコンポーネントの選択の解除: サブコンポーネントの選択を解除すると、インストーラはそのサブコンポーネントの選択のみを解除します。その他のサブコンポーネントの選択は解除しません。
選択している別のコンポーネントがローカルまたはリモートに必要とするサブコンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
Java ES のコンポーネント製品の多くは、インストール時にある程度の設定を行う必要があります。インストール時に実行する設定の範囲は、選択したコンポーネントおよびインストールオプションの種類によって異なります。
インストーラで、次の設定オプションを使用できます。
「あとで設定」: インストール時は、インストールに必要な最小限の値だけを入力し、インストール後に詳細な設定を行います。
「今すぐ設定」: インストール時に、インストール中の設定が可能なコンポーネント製品を設定できます。指定する情報は、いくつかの共通パラメータだけの場合もあれば (共通サーバー設定)、コンポーネントに固有の詳細なパラメータを含む場合もあります (コンポーネント設定)。
「共通サーバー設定」は、複数のコンポーネントが使用するパラメータを設定します。たとえば、ほとんどのコンポーネントでは、管理 ID およびパスワードを指定する必要があります。これらの共通の値を設定することで、すべてのコンポーネントの管理 ID とパスワードのデフォルト値を設定できます。「コンポーネント設定」は、特定のコンポーネントに適用するパラメータを設定します。これらの設定は、インストール時に「今すぐ設定」オプションを選択した場合にのみ要求されます。これらの設定の一部は、共通サーバー設定から取り込まれます。
Java ES には、Java ES インストーラを使用してローカルホストにインストールしたコンポーネント製品を消去するためのアンインストールプログラムが用意されています。Java ES アンインストーラは、アンインストーラが稼働しているホストで製品の依存関係をチェックし、他の製品への依存が検出された場合は警告メッセージを出力します。
アンインストーラは、グラフィカル、テキストベース、またはサイレントの各モードで実行できます。
Java ES インストールの完了後、アンインストーラは次の場所に格納されています。
Solaris OS の場合: /var/sadm/prod/SUNWentsys4
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-entsys4