Sun Java Enterprise System 2005Q4 配備計画ガイド

使用パターンの分析

使用パターンの分析では、設計しているソリューションを利用するさまざまなユーザーを特定し、それらのユーザーの使用パターンを特定します。収集した情報は、システムの負荷状況を見積もるための基礎となります。使用パターンの分析結果は、「ユースケース」で説明するユースケースに重みを割り当てる上でも役立ちます。

使用パターンを分析するときは、できるだけ多く機会を設けてユーザーにインタビューし、使用パターンに関する既存のデータを収集する必要があります。また、従来のシステムの構築者や管理者にもインタビューします。次の表は、使用パターンの分析時に考慮すべき要因を示しています。

表 3–1 使用パターンの分析で考慮すべき要因

項目 

説明 

ユーザーの人数と種類 

ソリューションがサポートするユーザーの人数を特定し、必要に応じてユーザーを分類します。 

例: 

  • B2C (企業対顧客) ソリューションでは、訪問者は多いが、登録し、ビジネストランザクションに参加する人数は少ない可能性があります。

  • B2E (企業対従業員) ソリューションでは、通常は各従業員に対応します。 ただし、一部の従業員は社内ネットワークの外からのアクセスを必要とします。B2E ソリューションでは、管理職の従業員は一般従業員がアクセスできない領域へのアクセス権を必要とする場合があります。

アクティブユーザーと非アクティブユーザー 

アクティブユーザーと非アクティブユーザーの使用パターンと使用率を特定します。 

アクティブユーザーは、システムにログインし、システムサービスと対話しているユーザーです。非アクティブユーザーは、ログインしていないユーザー、ログインはしていてもシステムコンポーネントと対話していないユーザー、データベースには存在するものの一度もログインしていないユーザーなどです。 

管理ユーザー 

配備を監視、更新、サポートするために、配備されたシステムにアクセスするユーザーを特定します。 

技術要件に影響する可能性のある管理上の使用パターンをすべて特定します。 たとえば、ファイアウォール外からの配備の管理などです。 

使用パターン 

各種ユーザーがシステムにどのようにアクセスするかを特定し、想定される用途の対象を特定します。 

例: 

  • 使用状況が急上昇するピーク時刻は存在するか。

  • 通常の業務時間帯はいつか。

  • ユーザーはグローバル規模で分散しているか。

  • ユーザーの想定接続時間はどれくらいか。

ユーザー数の成長 

ユーザーベースのサイズは固定されているか、ユーザー数の増加を想定した配備が必要となるかを調べます。 

ユーザーベースの成長が予想される場合は、妥当性のある成長の見込みを立てます。 

ユーザートランザクション 

サポートする必要のあるユーザートランザクションの種類を特定します。ユーザートランザクションは、ユースケースに変換することができます。 

例: 

  • ユーザーはどのようなタスクを実行するか。

  • ログインしたユーザーのログイン状態は維持されるか。一般的には、いくつかのタスクを実行したらログアウトするのか。

  • ユーザー間の重要な共同作業において、共通のカレンダ、Web 会議室、内部 Web ページの配備を必要とするか。

ユーザーに関する調査と統計データ 

既存のユーザー調査などの情報に基づいて、ユーザーの行動パターンを調べます。 

多くの企業や組織にはリサーチ結果が用意されており、ユーザーに関する有用な情報をそこから抽出できます。既存のアプリケーションのログファイルにも、システムの概数の算出に使用できる統計データが含まれている可能性があります。