Sun Java Enterprise System 2005Q4 配備計画ガイド

パフォーマンス障害の特定

成功する配備設計の鍵の 1 つには、潜在的なパフォーマンス障害を特定し、それらを回避するための戦略を策定することです。パフォーマンス障害は、データにアクセスする速度が指定されたシステム要件に満たない場合に発生します。

システム内のデータアクセスポイントに関する次の表に示されているように、障害はハードウェアのクラス別に分類されます。この表は、各ハードウェアクラスにおける障害に対する対応策も示しています。

表 5–7 データアクセスポイント

ハードウェアクラス 

相対アクセス速度 

パフォーマンス改善のための対応策 

プロセッサ 

ナノ秒 

垂直方向のスケーリング: 処理能力の追加、プロセッサキャッシュの強化を行います 

水平方向のスケーリング: ロードバランス用の並列処理能力を追加します 

システムメモリ (RAM) 

マイクロ秒 

システムメモリを特定の作業専用にします 

垂直方向のスケーリング: メモリを追加します 

水平方向のスケーリング: 並列処理およびロードバランス用に追加インスタンスを作成します 

ディスクの読み書き 

ミリ秒 

ディスクアレイ (RAID) でディスクアクセスを最適化します 

ディスクアクセスを、読み取り専用や書き込み専用など、特定の機能専用にします 

頻繁にアクセスされるデータをシステムメモリにキャッシュします 

ネットワークインタフェース 

ネットワーク上のノードの帯域幅とアクセス速度によって異なります 

帯域幅を増やします 

セキュリティー保護されたデータを転送する際、アクセラレータハードウェアを追加します 

ネットワーク内のノードのパフォーマンスを改善して、データを利用しやすくします 


注 –

「パフォーマンス障害の特定」は、相対アクセス速度に基づくハードウェアクラスを示しています。ディスクなど、低速なアクセスポイントは、障害の原因となる可能性が高いことを意味しています。また、大きな負荷を処理する能力がないプロセッサも、障害の原因となる可能性があります。


通常、配備設計は、配備内の各コンポーネントとそれらの依存関係について、基準となる処理能力の見積りから始めます。その後、システムメモリおよびディスクアクセスに関連する障害の回避方法を決定します。最後に、ネットワークインタフェースを調べて潜在的な障害を特定し、それらを克服する戦略に力を注ぎます。

ディスクアクセスの最適化

配備設計で不可欠な要素の 1 つは、LDAP ディレクトリなど、頻繁にアクセスされるデータセットに対するディスクアクセスの速度です。ディスクアクセスは、データに対する最も低速なアクセスであり、パフォーマンス障害の原因となる可能性があります。

ディスクアクセスを最適化する方法の 1 つは、書き込み操作と読み取り操作を分けることです。書き込み操作が読み取り操作より負荷が大きいばかりでなく、読み取り操作 (LDAP ディレクトリに対する検索操作) は、通常、書き込み操作 (LDAP ディレクトリのデータに対する更新) よりはるかに頻繁に実行されます。

ディスクアクセスを最適化する別の方法は、ディスクをさまざまな種類の入出力操作の専用とすることです。たとえば、トランザクションログやイベントログなどの Directory Server のロギング操作と、LDAP の読み書き操作に別個のディスクアクセスを提供します。

また、読み書き操作専用の Directory Server のインスタンスを 1 つ以上実装すること、読み取りと検索のためのアクセス用に、ローカルサーバーに分散された、レプリケートされたインスタンスを使用することも検討します。連鎖およびリンクのオプションも、ディレクトリサービスへのアクセスを最適化するために利用できます。

ディスクアクセスの計画におけるさまざまな要因については、『Sun Java System Directory Server 5 2005Q1 Deployment Plannning Guide』の第 6 章「Defining System Characteristics」を参照してください。この章では、次の内容が取り上げられています。