Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 管理ガイド

ユーザー、グループ、ロール、およびレルムについて

Application Server は次のエンティティーに対して認証および承認ポリシーを実施します。


注 –

ユーザーおよびグループは Application Server 全体で指定されますが、各アプリケーションは独自のロールを定義します。アプリケーションがパッケージ化されて配備される場合、次の図に例示されているように、アプリケーションはユーザーまたはグループとロールとの間のマッピングを指定します。


図 9–1 ロールマッピング

図は、ユーザーをグループに割り当てる方法、ユーザーやグループをロールに割り当てる方法、およびアプリケーションがグループやロールを使用する方法を示しています。

ユーザー

「ユーザー」とは、Application Server によって定義された個人またはアプリケーションプログラムの ID です。ユーザーは 1 つのグループと関連付けできます。Application Server の認証サービスは、複数のレルムでユーザーを管理できます。

グループ

「J2EE グループ」(または単にグループ) は、肩書きや顧客のプロファイルなど、共通の特性で分類されたユーザーのカテゴリです。たとえば、E コマースアプリケーションのユーザーは CUSTOMER グループに属しますが、お得意様は PREFERRED グループに属します。ユーザーをグループに分類すると、ユーザーからの大量のアクセスを制御することが容易になります。

ロール

「ロール」は、ユーザーが、どのアプリケーションのどの部分にアクセスできるかと、何を実行できるかを定義します。つまり、ロールによってユーザーの承認レベルが決まります。

たとえば、人事アプリケーションの場合、電話番号とメールアドレスにはすべての社員がアクセスできますが、給与情報にアクセスできるのは管理職だけです。このアプリケーションでは少なくとも 2 つのロールが定義されます。employeemanager です。そして、manager ロールのユーザーだけに給与情報の表示が許可されます。

ロールはアプリケーション内での役割を定義するのに対し、グループはある方法で関連付けられているユーザーの集まりに過ぎません。この点で、ロールとユーザーグループは異なります。たとえば、人事アプリケーションには、full-timepart-time、および on-leave などのグループがありますが、これらすべてのグループのユーザーは employee ロールに所属します。

ロールはアプリケーション配備記述子で定義されます。反対に、グループはサーバーおよびレルム全体に対して定義されます。アプリケーション開発者または配備担当者は、配備記述子により各アプリケーション内で、ロールを 1 つまたは複数のグループに割り当てます。

レルム

「セキュリティーポリシードメイン」または「セキュリティードメイン」とも呼ばれている「レルム」とは、サーバーによって共通のセキュリティーポリシーが定義および適用される範囲のことです。実際には、レルムとはサーバーがユーザーおよびグループの情報を格納するリポジトリです。

Application Server では、3 つのレルムが事前に設定されています。file (初期のデフォルトレルム)、certificate、および admin-realm です。さらに、ldap レルム、solaris レルム、またはカスタムレルムも設定できます。アプリケーションは、その配備記述子でレルムを指定して使用できます。レルムを指定しない場合、Application Server はデフォルトレルムを使用します。

file レルムでは、サーバーはユーザー資格を keyfile という名前のファイルにローカルで格納します。管理コンソールを使用して file レルムのユーザーを管理できます。詳細については、「file レルムユーザーの管理」を参照してください。

certificate レルムでは、サーバーはユーザー資格を証明書データベースに格納します。certificate レルムを使用する際、サーバーは HTTP プロトコルを使う証明書を使用して Web クライアントを認証します。証明書の詳細については、「証明書および SSL の概要」を参照してください。

admin-realmFileRealm でもあり、管理者ユーザーの資格を admin-keyfile という名前のファイルにローカルで格納します。file レルムでユーザーを管理するのと同じ方法で、管理コンソールを使用してこのレルムのユーザーを管理してください。詳細については、「file レルムユーザーの管理」を参照してください。

ldap レルムでは、サーバーは Sun Java System Directory Server などの LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) サーバーからユーザー資格を取得します。LDAP とは、一般のインターネットまたは会社のイントラネットのどちらであっても、ネットワークでの組織、個人、およびファイルやデバイスなどその他のリソースの検出をだれにでもできるようにするプロトコルです。ldap レルムのユーザーおよびグループの管理については、LDAP サーバーのドキュメントを参照してください。

solaris レルムでは、サーバーは Solaris オペレーティングシステムからユーザー資格を取得します。このレルムは Solaris 9 OS 以降でサポートされています。solaris レルムのユーザーおよびグループの管理については、Solaris のドキュメントを参照してください。

カスタムレルムとは、リレーショナルデータベースやサードパーティー製のコンポーネントなどその他のユーザー資格のリポジトリです。詳細については、「カスタムレルムの作成」を参照してください。