この章では、Sun Java System Calendar Server の概要、Calendar Server の配備が役立つビジネス上の理由、および配備プロセスについて説明します。
この章には、次の節があります。
Sun Java System Calendar Server (旧称 SunTM ONE Calendar Server) は、高性能な、インターネット標準ベースのカレンダサーバーで、中規模および大規模な企業から、さらに非常に大規模な電気通信およびインターネットのサービスプロバイダまで各ユーザーの必要に対応したスケーラビリティーを考慮し設計されています。ネイティブな Web ブラウザインタフェースまたはコネクタを使用して、Microsoft Outlook などの他のカレンダクライアントに接続することで Calendar Server は、家庭または職場のコンシューマにグループスケジュール機能および個人用のカレンダ機能を提供すると同時に、インターネットを介して他のユーザーとのカレンダ情報の共有を可能にします。ユーザーインタフェース (UI) をカスタマイズして、電子商取引用の Web リンク、バナー広告、ロゴ、またはカレンダサーバーユーザーのブランドなどを含めることができます。
Calendar Server は、オープンで相互運用可能かつ高性能な、業界最高レベルの時間管 理およびリソース管理ソリューションです。そのスケーラビリティー、パフォーマンス、信頼性によって、ほかのソリューションに比べて低い総所有コストで、必要な機能を得ることができます。iCalendar 標準のネイティブサポートによって、ユーザーは簡単にインターネットで共有できる形式で予定をスケジュールすることができます。Calendar Server は次のような標準規格とプロトコルを採用しています。
Internet Calendaring (iCalendar)
iCalendar Transport-Independent Interoperability Protocol (iTIP)
iCalendar Message-based Interoperability Protocol (iMIP)
Extensible Markup Language (XML)
Lightweight Directory Access Protocol (LDAP)
HyperText Transport Protocol (HTTP)
Calendar Server のアーキテクチャーは、垂直方向 (システムごとの CPU の数を増大させる) と水平方向 (ネットワークにサーバーを追加する) の両方向で、柔軟性に富み、拡張可能で、スケーラブルです。その結果、Calendar Server は、さまざまなニーズに対応した設定が可能なサーバーから構成されるシステムと見なすことができます。スタンドアロンのカレンダサーバーとして単独で使用することもでき、さまざまなサービスをサーバー間で重複または分割させる、多くのインスタンスで設定することもできます。
Calendar Server は、プラグインを利用して外部のサービスを取得します。さらに、Calendar Serverは、LDAP ベースおよび ID ベースの配備もサポートしており、Sun Java System Access Manager (旧称 Identity Server)、Sun Java System Portal Server (旧称 Sun ONE Portal Server)、および Sun Java System Instant Messaging (旧称 Sun ONE Instant Messaging) と統合して追加の機能を提供します。
Web ベースのグループスケジュール機能、空き時間 - 予定ありの検索、および企業のディレクトリの検索
XML ベースのカスタマイズ機能 (配色、ログイン、ユーザーインタフェース、ロゴ、ブランド設定など)
XML または iCalendar 形式で配信される標準ベースの予定およびカレンダデータフィードのサポート。これによって通信機能が強化され、商取引リンクやバナー広告から新しい収入の可能性が提供される
他のディレクトリサービス用の API を含む、ネイティブ LDAP のサポート
Microsoft Outlook などの追加カレンダクライアントへのコネクタ。これによって、クライアントは Calendar Server 上でスケジュール機能を実行することができる
ホストしているドメインのサポート
システム管理、オンラインのバックアップと復元、およびデータベース全体のバックアップと復元の簡略化
仕事、家族、友人などの複数のカレンダのサポート
公開および非公開のカレンダのサポートのほか、公開、非公開、および機密の個々の予定のサポート
カレンダの階層化表示のサポート。これによってユーザーは 2 つ以上のカレンダを 1 つの表示に統合でき、コミュニケーションや生産性を向上することができる
選択した受信者にアポイント、出席依頼、およびアラームの電子メール通知が自動的に送信され、Sun Java System Instant Messaging との統合でポップアップアラームが自動的に提供される
各カレンダで複数の所有者がサポートされ、プロジェクトチームやコミュニティーグループでコミュニケーションが簡単になり生産性が向上する
一次所有者の代わりに行使する他者にカレンダの所有権を委託する機能
日ごと、週ごと、月ごと、年ごと、および比較の各ビュー
スケーラブルで、ネットワーク化された、サーバー間、クライアントサーバーアーキテクチャーによって、何十万ものユーザーをサポート
Secure Sockets Layer (SSL) 暗号化、LDAP 認証、認証プラグイン、および Access Manager でアイデンティティ対応のシングルサインオン (SSO) をサポート
Calendar Server の概念の詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6 2005Q4 Administration Guide』を参照してください。
配備プロセスは、次の基本フェーズから構成されており、ソリューションライフサイクルと呼ばれます。
ビジネス要件の分析
技術要件の分析
論理アーキテクチャーの設計
配備アーキテクチャーの設計
配備の実行
配備の運用
配備フェーズは固定的なものではなく、配備プロセスは反復して行われます。
Calendar Server やその他の Java Enterprise System コンポーネントの配備プロセスの詳細については、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 Deployment Planning Guide』を参照してください。
Calendar Server の配備計画を開始する前に、次のことを確認してください。
組織が Calendar Server を配備するのはなぜでしょうか
次のようにいくつかの理由が考えられます。
コストの削減:ユーザーごとの総所有コストが市販されている他のカレンダ製品を使用するより低くなります。
生産性の向上:カレンダユーザーは、自分の予定や作業を管理できるほか、組織内の他の職員との会議や約束を予定することができます。また、ユーザーはカレンダグループと、会議室や機器などのリソースを管理できます。さらに、カレンダを PDA などのモバイルデバイスや Microsoft Outlook と同期させることもできます。
スケーラビリティーおよび可用性の向上:Calendar Server は垂直と水平の両方向で拡大縮小します。組織が拡大すると、サーバーをアップグレードしたり、さらにサーバーを追加したりすることによって簡単に設定をアップグレードできます。
セキュリティーの向上:Solaris システムに Calendar Server を配備すると、その組織は、Windows 環境でよく見られる多くのウィルスや他のセキュリティー上の危険を回避できます。
高可用性 (HA) 設定:Sun Cluster ソフトウェアとの統合によって、Calendar Server で高可用性サービスが行えるように設定できます。ソフトウェアやハードウェアの障害が発生すると、Calendar Server は二次サーバーへフェイルオーバーします。
通常、Calendar Server の配備には、それぞれが異なる役割と責任を受け持つ何人かの人員が必要です。小規模な組織では、1 人でいくつかの役割を兼任することがあります。考慮すべき役割の中には次のものがあります。
プログラムマネージャは、Calendar Server 配備全体を監督し、その成功や失敗に責任を持ちます。
Calendar Server 管理者は、Calendar Server を管理するための毎日の管理業務を行い、さらに Calendar Server のインストールやアップグレードの責任者となる場合もあります。
パフォーマンスエンジニアは、試験的配備および本稼働における配備の Calendar Server のパフォーマンスをテストおよび監視し、配備条件を満たしているかを確認します。
開発エンジニアリングでは、Calendar Server のアプリケーションやプラグインを記述し、必要に応じて、Calendar Server のユーザーインタフェース (UI) をカスタマイズします。
マニュアルスペシャリストは、管理者やエンドユーザー向けにカスタマイズされたあらゆるマニュアルを執筆します。
教育およびトレーニングでは、実務講習と教材を開発します。
サポートスペシャリストは、試験的配備および本稼働における配備の両方をサポートします。
エンドユーザーは、Calendar Express Web クライアント、Communications Express Web クライアント、または Sun Java System Connector for Microsoft Outlook を使用することによって Calendar Server に接続できます。
サイトのエンドユーザーについて、次のことを確認します。
サイトには、全部で何人の Calendar Server のエンドユーザーがいますか。
エンドユーザーはどのようにして Calendar Server に接続しますか。Calendar Express を使用しますか。Communications Express を使用しますか。Microsoft Outlook を使用しますか。それともそれらのクライアントを組み合わせますか。
地理的な場所はいくつ含まれていますか。エンドユーザーはすべて同じまたは違うタイムゾーンにいますか。
エンドユーザーは、毎日、同じ時間に Calendar Server にログインしますか。
配備では、ピーク使用時のアクティブなエンドユーザーは何人いますか。
エンドユーザーベースはどのくらいの速さで拡張しますか。
Calendar Server エンドユーザーに特有のパフォーマンス要件は何ですか。
シングルサインオン (SSO) 要件は何ですか。
ユーザーの中に、NetscapeTM Calendar 4.x から移行しているユーザーがいますか。
エンドユーザー向けに Calendar Server UI のカスタマイズを計画していますか。
サイトにプロキシサーバーの使用を計画していますか。
エンドユーザーに特有のパフォーマンス要件は何でしょうか。例:
どのくらいのエンドユーザーの応答時間が許容されますか。
ピークロード時に予想されるパフォーマンスの低下を許容できますか。
配備で使用することを計画しているのはどのような構成ですか。Calendar Server の構成シナリオには、次のものが含まれます。
1 つの Calendar Server インスタンス
単一のフロントエンドサーバーと単一のバックエンドデータベースサーバー
LDAP CLD プラグインによる複数のフロントエンド/バックエンドサーバー
高可用性 (HA) 構成
複数のフロントエンドサーバーの設定を計画している場合、どのようにエンドユーザーの分散を計画するでしょうか。
複数のバックエンドデータベースサーバーの設定を計画している場合、どのようにデータベースの分散を計画するでしょうか。たとえば、サーバーを地理的に分散するなどの方法があります。
どのような拡張計画があるでしょうか。フロントエンドとバックエンドの両方についてはどうでしょうか。